ベトナムの生活情報や医療事情
ベトナムの基礎知識
名称 | ベトナム社会主義共和国 | 日本国(ご参考) |
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面積 | 32万9,241㎢ | 37万8,000㎢ |
人口 | 約9,370万人 | 1億2,659万人 |
首都 | ハノイ | 東京(人口1,383.2万人) |
通貨 (2019年4月) |
ベトナムドン (1VND=約0.00466円) |
円 (1米ドル=約109.30円) |
時差 | -2時間 | – |
言語 | ベトナム語 | アルタイ語系の日本語 |
民族 | キン族(越人)約86%、他に53の少数民族 | アジア人種の日本民族・朝鮮人・中国人・北海道に少数のアイヌ人 |
宗教 | 仏教(80%)、カトリック、カオダイ教他 | 仏教・神道・キリスト教 |
気候 | 亜熱帯モンスーン気候に属しているため四季があるが、南北に長い国土のために北部のハノイ市と南部のホ-チミン市では若干差がある。北部ベトナムは、4月は短い春、5~10月が夏、11~12月が秋、1~3月が冬で10℃近くまで気温が下がる。一方、南部ベトナムは四季がなく、5~10月が雨季、11~4月が乾季になる。 | 南部は温帯気候、北部は冷帯気候。モンスーンの影響が強く、6~8月は南東モンスーンにより多量の雨がもたらされる。11~3月は大陸からの北西モンスーンにより、北部は厳しい寒さとなり、日本海に面した地域には多量の雪が降る。 |
代表的な 都市の気温 |
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電化製品 |
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在留邦人数 | 17,266人(2017年10月現在) | – |
出国・入国するときの注意事項
下記は2019年5月現在の情報です。最新情報については、外務省・駐日ベトナム大使館等のウェブサイトを参照してください。
査証(ビザ)
有効なパスポート(旅券)を保持する日本国民に対しては、15日以内の滞在であれば査証取得が免除されます。ただし、ベトナム入国時点でパスポートの有効期間が6か月以上あり、帰国またはトランジット出国のチケットを保持し、ベトナム国内法により入国禁止措置を受けていないこと、さらに前回のベトナム出国から30日以上経過していること(査証免除により入国した場合のみ)が条件となります。
これらの目的、期間または条件を満たしていない場合はあらかじめ査証を取得する必要があります。前回のベトナム出国から30日以上経過していなくても、一定の条件を満たしていれば、観光目的の場合に限り、ベトナム到着時に空港でビザを取得することができます。
また、査証免除により入国を認められた場合、原則として滞在期間の延長は認められませんが、引き続き観光目的でベトナムに滞在することを希望する場合は、国際旅行業の営業許可を有するベトナムの旅行会社の保証があれば、一定の条件の下、1回のみ15日以内の期間で延長が認められます。
なお、査証を取得して入国した場合であっても、一部例外を除き、原則としてベトナム入国後に滞在資格を変更することはできません。資格変更が必要な場合は、いったんベトナムを出国し、ベトナムの在外公館で適正な査証を取得した上で再度入国する必要があります。
出入国審査
入国の際は、空港ターミナルのイミグレーションカウンターにおいて入国審査官に旅券を提出します。一般に出入国審査は旅券写真と本人の照合を含め、かなり入念に行われます。国際空港を利用する場合、入出国カードの提出は不要ですが、陸路で入国する場合など地方都市のイミグレーションでは入出国カードの記入及び提出が求められることがあります。
外貨申告
入国時の外貨持ち込み額に制限はありませんが、現金5,000米ドルあるいは同額相当の外貨、または1,500万ドンのいずれかを超えて所持して入国する場合は、空港で申告する必要(申告用紙は税関係官に請求)があります。この申告をせず、出国時に上記の額を超える現金を持ち出そうとした場合、所持金を没収される可能性があります。なお、10万米ドル以上あるいは同額相当の外貨持ち込み、持ち出しについては10万ドンの手数料が徴収されます。
ベトナム滞在中に外貨から両替した現地通貨(ドン)の外貨への再両替については、500米ドルあるいは同額相当の外貨までは旅券及び航空券の提示のみ、それ以上の額の場合は更に外貨をドンに両替した際の外貨交換証(記名のあるもの)の提示が必要です。ただし、再両替の規定は流動的なため、外貨からドンへの両替は必要最小限に留めておくことが肝要です。
また、ベトナム居住者は、ベトナム国内で銀行から引き出した外貨のうち、限度額(5,000米ドル)を超える額をベトナム国外に持ち出す場合、当該銀行から許可証の発給を受け、それを携行する必要があります。
通関
空港の税関検査では、原則エックス線による検査を受けることとなります。
持ち込み及び持ち出しが禁止されているものは、銃、爆発物、麻薬等違法薬物、骨董品、ベトナム人のモラルに悪影響を及ぼす恐れのある出版物・写真・ビデオ等があります。
なお、ビデオテープ、DVD、CD等の持ち込みはその内容のチェックを受けることになり、わいせつ物と判断された場合は多額の罰金を科されることがあります。内容のチェック時に物品が紛失する等の可能性を考慮し、必要な物以外は持ち込まないことをお勧めします。
その他、別送荷物、免税範囲を超えるアルコール類、タバコ、金などについても申告が必要です。
免税範囲は以下の通りです。
- アルコール類:度数22度以上のものは1.5リットルまで、それ未満の度数のものは2リットルまで
- タバコ:400本まで、葉巻100本まで、葉たばこ500グラムまで
- 金:300グラムまで
申告書(薄緑色)は航空機内で配布されませんので、空港税関係官に請求の上、入手してください。税関申告書は審査が終了すると検証印が押されて申告者に渡されますが、この申告書は出国の際、あるいは別送荷物通関手続きの際に提出する必要があるので、大切に保管してください。
検疫
日本から直接入国する際に必要となる「検疫予防接種」はありませんが、黄熱流行地域(アフリカ中部/中南米)を経て入国する1歳以上の旅行者には「黄熱ワクチン接種証明」が求められます。
なお、2003年のSARS、2009年の新型インフルエンザ発生の際は、入国者全員に検温(赤外線体温感知器使用)が実施されるとともに、問診票(通常、機内で配布されます)の提出が求められました。その際、体温が38度以上あった者は、検査のため指定病院に移送されたことがあります。
また、2014年からエボラ出血熱対策として入国者に対して検温(赤外線体温感知器使用)が実施されています。今後、同様の疾病が流行した際には同じような措置がとられますので、ご留意ください。
滞在許可証
滞在する場合は、管轄の公安局に対し滞在登録を行う必要があります。1日の滞在であっても滞在登録義務は生じますが、通常はホテルが行っています。
現地に到着したら
在留届
旅券法第16条により、外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在する日本人は、住所または居所を管轄する日本の大使館または総領事館(在外公館)に「在留届」を提出するよう義務付けられています。住所等が決まりましたら、必要事項を記入の上、速やかに最寄りの在外公館へ提出してください(世帯ごとに届出をすることもできます)。
提出はFAXまたは郵送、インターネットで可能です。提出にあたっては、「在留届」用紙の注意事項をよく読んで提出してください。
- ※ 住所その他届出事項の変更およびベトナムを去る(一時的な旅行を除く)ときはその旨の届出(変更および帰国届)を行ってください。
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者(海外旅行者・出張者など)についても、現地での滞在予定を登録できるシステムとして、2014年7月より外務省海外旅行登録「たびレジ」の運用を開始しています。登録者は、滞在先の最新の海外安全情報や緊急事態発生時の連絡メール、また、いざというときの緊急連絡などの受け取りが可能です。
注意が必要な生活環境
各種取締法規
旅行制限
軍事関連施設については、事前許可を取得した場合を除き、立入禁止となっています。
写真撮影
軍事関連施設を除き、特に制限はありません(制限のある場所には撮影禁止の掲示があります)。
麻薬
麻薬等違法薬物の所持、使用は厳しく取り締まられており、違反した場合、厳罰に処せられます。外国人といえども厳しく処罰され、過去に外国人がヘロイン密輸で死刑判決を受けています。
就労許可
外国人が許可を受けずに就労することは禁止されています。なお、観光目的の査証で入国した旅行者が就労すると資格外活動となり、1,500万~2,500万ドンの罰金が科せられる場合があります。
売買春
都市部を中心に女性が接待するカラオケバーが数多くありますが、これらのバーは売春やわいせつ行為を目的として営業しているものもあり、治安当局も取り締まりを厳しくしていることから、軽率な行動は慎んでください。
飲酒
飲酒に関しては宗教上の制約も特になく、社会習慣的にも寛容です。レストランや市場で洋酒、外国製ビール等を購入できますが、中には古いものやニセ物もあるので注意してください。ベトナム製のビールもあり、おいしく飲めますが、手作りのビールや酒を飲んで死亡する事故も発生しているので、銘柄のわからないアルコール飲料には注意してください。
賭け事
賭博はベトナムにおいて違法行為です。たとえ誘われても絶対に断りましょう。
両替
ベトナム国内には貴金属店などのヤミ両替所が数多く存在します。ヤミ両替は違法行為です。両替は銀行など正規の両替所で行うようにしてください。
その他
所持禁制品(わいせつ図書)
ベトナムでは、肌の露出度が高いグラビア写真や性的な表現のある漫画等が掲載された雑誌などは、ポルノ雑誌等と同等の所持禁制品(わいせつ図書)として扱われる場合があり、罰金(300万ドン以上、4,000万ドン以下)が科されることがあります。
日本ではどこでも手に入る週刊誌等も「わいせつ図書」として取り締まりの対象となる可能性がありますので、携行する書籍・雑誌類は慎重に選定するようにしてください。
輸入制限品
酒類、化粧品、携帯電話機の個人輸入は禁止されています(入国時の携行輸入は可)。中古品(特に電気製品や自動車・バイク)については、輸入不可あるいは没収されることがありますので、輸入する場合は、あらかじめベトナム税関当局に確認しておくことをお勧めします。
国家への批判
ベトナムの政治体制や情勢等に関し、批判的な言動をとることは、取り締まりの対象となる場合があり、注意が必要です。
風俗・習慣・国民性
ベトナム人は民族の独立と自主を尊ぶ国民です。社会制度上、民族、性別、職業・職種の違いにかかわりなく国民はすべて平等となっており、一般的にそうした意識が定着しています。
健康・医療
ベトナム(ホーチミン) 医療事情
(ジェイアイ傷害火災調べ 2016年8月時点)
項目 | 内容 | 日本(ご参考) |
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救急車の料金 |
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初診料 | 7,500円~9,200円 | 2,820円 |
病院部屋代 (1日当たり) |
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虫垂炎手術の治療費 |
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骨折時の治療費 (橈骨末端閉鎖性骨折) |
18,100円 | 20,000円 |
ファミリードクター制度 | あり
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なし
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乳児死亡率 (1,000人当たり) |
19人 | 2人 |
平均寿命 | 76歳 | 84歳 |
注意事項
- ① 全体
- 海外では自由診療となるため、治療費は受診する医療機関や治療内容等によって大きく異なります。一覧は目安として下さい。
- 日本人旅行者が利用することが多い私立の医療機関を中心に調査しているため、その国一般の相場と異なる場合があります。
- ② 項目別
- 1. 公営の救急車は原則行き先を指定できません。距離加算の記載がない場合は、原則同一市内の料金となります。
- 2. 初診時の最短時間(通常10~20分程度)の診察料となります。別途医療通訳費が必要な場合があります。
- 3. 部屋の使用料のみとなり、実際に入院する際には、その他に医師の診察料、薬剤費等が必要となります。
- 4. 腹膜炎を併発していない手術を想定しており、術式等は医療機関により異なります。
- 5. 転倒し、手をついた際に骨折しやすい箇所となります。レントゲン検査、固定処置を行い1回のみの外来診療を想定しています。
(帰国後に継続治療を行うことを想定していますが、その治療費は含んでおりません) - 6. 当該国の一般的な医療制度を記載しており、医療機関や緊急度合い等により記載と異なる場合があります。
- 7. 出典:世界子供白書2015<要約版>-日本ユニセフ協会
- 8. 出典:総務省統計局発行、総務省統計研修所編集「世界の統計2016」
- 1.
- ③ 日本の医療事情
- 詳細金額は医療機関の設備や治療内容等により異なりますが、概ねの理解をいただく目的で、一般的な料金を記載しています。
- 治療費は、海外と比較する目的で健康保険利用の基準である1点10円かつ全額(10割)自己負担として算出しています。健康保険を利用し受診した場合の自己負担額は通常記載よりも低額となります。また、日本で健康保険を利用しない自由診療の場合は、医療機関により点数換算が異なります。
過去に発生した保険請求事故実例(ベトナム)
- 胸の痛みを訴え受診。心筋梗塞と診断され、チャーター機でバンコクまで医療搬送し12日間入院。家族が駆けつける。
- 治療・救援費用 保険金支払額:
- 9,683,931円
- めまい・呼吸困難を訴え受診。6日間の入院中、ふらつきによる転倒で腰椎圧迫骨折。家族が駆けつける。医師が付き添い医療搬送。
- 治療・救援費用 保険金支払額:
- 4,482,303円
医療事情
医療環境
医療環境・水準とも日本や周辺アジア先進国と比べ劣ります。さらに都市部と地方の医療環境は大きく異なり、医療水準の地域格差は近年ますます拡大しています。また、公立医療機関と私立医療機関においても医療環境は大きく異なります。
公立では医療スタッフ、受容能力、医療機器等の絶対数が不足していますが、地方においてより顕著で、患者が中核病院に集中するため中核病院は常時受診者で混雑し本来の機能が果たせない状況です。外国人が公立病院を受診することは、言葉の問題があり交通事故など緊急時以外は滅多にありません。
他方、ハノイやホーチミン市には近代的な医療機器を備えた私立病院・クリニックがいくつかあり、最近では日系クリニックの進出や日本人医療従事者が勤務している医療機関も増えてきました。
しかしながら、診断の難しい病気や高度な医療が必要なときは、日本や近隣医療先進国へ緊急移送される場合があります。あらかじめ高額医療費に対応できる特約を付加した海外旅行傷害保険に加入しておくことが強く推奨されます。
医療機関の受診
私立病院・クリニック(外資系・日系・ベトナム系)の中には日本人や日本語で対応可能なスタッフが勤務しているところがあり、在留邦人の多くがそれらの医療機関を利用しています。私立医療機関の救急外来の多くは24時間体制で、受診の際の予約は不要です。他方、専門外来は予約を入れてから受診するのが一般的です。私立医療機関の専門外来のほとんどは、公立病院の専門医師が勤務終了後に診療しています。
医療費の支払は現金払いが原則ですが、多くの医療機関でクレジットカードが利用でき、海外旅行傷害保険のキャッシュレスサービスを利用できるところも増えてきています。
注意を要する病気
一般的に外国人が生活しているような生活環境であれば、かぜや胃腸炎といった日本でも日常的にみられている病気が大部分を占めています。しかし、デング熱、日本脳炎、マラリア、食中毒、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、狂犬病、結核といった日本より感染のリスクの高い病気も数多く存在するので、これらの病気に対する予防対策、健康管理を日頃から行っておく必要があります。
また、交通事情が劣悪であることから、交通事故に遭わないための注意も必要です。
呼吸器感染症
かぜ、インフルエンザ、気管支炎といった呼吸器感染症はベトナムで最も日常的な病気であり、一年を通してみられます。ベトナム保健省の疾病統計(2015)においても呼吸器感染症の受診者数が上位を占めています。
季節性インフルエンザについては、感染症サーベイランスのシステムが確立されていないのでその動向を正確に把握することは困難ですが、ベトナムでも流行がみられます。一年を通して感染の可能性はあり、ハノイなどでは冬期と夏期に概ね流行のピークがみられ、ホーチミンでは夏期にも認められます。強毒性インフルエンザ(A/H5N1、A/H7N9インフルエンザ等も含む)の流行の際に隔離・入院治療先は、衛生環境が劣る国立の指定病院に限られています。
大気汚染PM2.5・PM10の値はとりわけ乾季(冬)に高く、さらに呼吸器感染症に罹りやすい環境になっています。
急性腸炎・食中毒・寄生虫症
下痢はベトナムではきわめて日常的な病気です。比較的軽い症状で終わる場合が多いものの、細菌性食中毒、ノロウイルス感染症などで重症化する場合もあり、衛生状態の悪い環境では細菌性赤痢、アメーバ赤痢もまれな病気ではありません。
2016年7月には、ダナン(ベトナム中部)で日本人の集団食中毒が発生しています。また、寄生虫症もまれな病気ではなく、ベトナムの代表的な寄生虫としては回虫、ぎょう虫、べん虫などが挙げられ、定期的に駆虫薬を服用することを勧めている医師もいます。
A型肝炎はA型肝炎ウイルスに汚染された水や食品(魚介類、野菜など)を摂取することにより感染し、ベトナムは感染リスクが高い国と言われているため、A型肝炎の予防接種が勧められています。
腸チフスはサルモネラ菌の一種であるチフス菌による経口感染症ですが、ベトナムでは細菌性赤痢、アメーバ赤痢、A型肝炎などよりも罹患率は低いものの、腸チフス汚染地域(感染リスクの高い地域)に指定されているので注意が必要です。日本では承認されていませんが、予防に有効なワクチンがあり、ベトナムで接種可能です。
デング熱
ネッタイシマカやヒトスジシマカといった蚊を介して感染するウイルス感染症です。2016年9月のと2017年の保健省の報告では、国内46都市で183,287人が罹患し30名が死亡しています。ベトナム全土に感染のリスクがあります。
蚊の発生しやすい6月~11月の雨期に流行がみられますが、南部などでは一年を通してみられます。出血傾向を伴ったデング出血熱やデングショック症候群として発症し生命に関わることもありうるので、慎重な経過観察が必要となります。
ワクチンや予防薬・特効薬はないので、長袖・長ズボンを着用する、防虫スプレーなどを使用する、網戸を利用するといった対策とともに、身近な水たまりの水を捨てて蚊の発生を防ぐ、蚊を駆除するといった対策も重要です。
日本脳炎
全土(特に北部)において感染患者の報告はみられているものの、都市部の感染リスクは高くはありません。日本脳炎ウイルスに感染したブタやイノシシなどの宿主を吸血した蚊を介して感染するので農村部に多くみられ、ハノイの近郊でもみられています。日本脳炎ウイルスがヒトに感染しても多くは無症状で終わるものの、発病した場合の死亡率は約30%、半数近くに後遺症が残るといわれているので、予防接種を受けておくことが望ましいと考えられます。
マラリア
ハノイ、ホーチミン、ダナン、ハイフォンなどの都市部、紅河デルタ一帯、ニャチャン以北の沿岸リゾート地などのマラリア感染リスクは極めて低いといわれていますが、中部高原や東南部などをはじめとした地方(農山村地帯)では感染リスクがあるので注意を要します。感染リスクの高い地域に旅行あるいは滞在する場合には、虫除けや蚊帳を使って夜間に蚊に刺されないよう注意するとともに、抗マラリア薬の予防内服の必要性について事前に医師に相談することをお勧めします。
なお、都市部の感染リスクは低いとはいえ、稀に南部の都市部で旅行者が感染したとの報告もあるようなので、蚊に刺されないための対策を日頃から行っておくことは重要です。もし感染リスクのある地域に滞在した後に発熱などのマラリアを疑わせる症状がみられた場合には速やかに専門医を受診する必要があり、併せてインドシナ半島に薬剤耐性マラリアが存在していることを考慮した対応も必要となります。
狂犬病
狂犬病ウイルスを保有しているイヌ、ネコ、コウモリ、サルなどに咬まれる等により感染します。狂犬病患者の多くはメコンデルタ地域からの報告ですが、動物の狂犬病はベトナム全土で確認されています。
狂犬病ウイルスを保有している可能性がある動物に咬まれた場合は直ちに傷口をよく洗い、できればアルコール消毒し、速やかに医療機関を受診して発症を予防するためのワクチン接種(暴露後免疫)等の処置を受ける必要があります。狂犬病のリスクのある動物と接する機会が多い場合や咬まれても直ぐに医療機関を受診できない環境で生活する場合にはあらかじめワクチン接種(暴露前免疫)を受けておくことが勧められます。
2017年に全国で犬にかまれた人は50万人余りで、狂犬病によって死亡した人は74人に上ると保健省は報告していますが、狂犬病予防注射の接種率は60%に達していません。
結核
ベトナムの結核罹患率(133人/10万人、2016年)は日本の約8倍、新たに年間11万人が感染していると推測(2016年)されてもいるため、日頃からの予防意識が重要です。手洗い、うがいの励行、日々の健康管理とともに、定期健康診断をきちんと受ける、かぜのような症状が長引く場合には放置しないで受診するといったことが重要となります。在留邦人の感染、ベトナム人留学生や研修生の日本国内での発症も報告されています。
麻疹
2013年冬から2014年春にかけて40年ぶりに大流行しました。7,000人以上が感染し、北部地方を中心に幼少児が25名亡くなりました。その後、WHOが中心となりベトナム僻地の麻疹ワクチン接種キャンペーンを行いましたが、その後も春に流行しています。成人でも免疫がないか低下していると容易に感染し重篤化します。予防接種歴の確認が重要です。
ジカウイルス感染症
ジカウイルス感染症は、デング熱及びチクングニア熱と同様、蚊が媒介し感染します。2018年3月9日時点で、ベトナムはWHOによりカテゴリー2(中断なく感染伝播が起きている地域)に指定されています。ベトナム保健省は2016年4月から6月にかけて、ベトナム国内で感染したと考えられる3症例を報告しました。また、ベトナムから帰国した旅行者が帰国後に発症したとされる症例も報告されています。
ベトナム保健省は、全国の人民委員会に対して蚊とボウフラの駆除を実施するなどジカ熱とデング熱の感染防止対策を強化し、公的医療機関でRapid Testによるスクリーニングを行える取り組みを始めました。
予防接種
- 赴任者に必要な予防接種
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- 強く勧めるもの:A型肝炎、B型肝炎、破傷風(追加接種)
- 望ましいもの:日本脳炎、季節性インフルエンザ
- 生活環境により考慮:狂犬病、腸チフス(日本では未認可)
- 小児
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- ※ 年齢によっても各予防接種の有用性は異なるので医師ともご相談ください。
- 強く勧めるもの:定期予防接種(BCG、ポリオ、DPT、MR、日本脳炎)、B型肝炎
- 望ましいもの:流行性耳下腺炎、水痘、A型肝炎、Hib(ヒブ:インフルエンザ菌B型)、ロタウイルス、小児用肺炎球菌、季節性インフルエンザ
- 生活環境により考慮:狂犬病、腸チフス(日本では未認可)
- ※
黄熱ワクチン接種証明書(イエローカード)の提示義務
アフリカ、中南米の黄熱流行地から入国する場合には、黄熱ワクチンの接種証明書が求められることがあります(日本から入国する場合は不要)。黄熱の予防接種証明書の有効期間について2016年7月11日以降は、これまでの10年間から「接種10日後から生涯有効」へ変更になりました。
ベトナム保健省検疫部門はこの変更を受け、空港検疫所など周知する準備を始めましたが、ベトナムで黄熱予防接種を受けた場合の記録フォームなど完全に改正されるまでには時間を要します。
小児がベトナムの教育機関に入学・入園する際に必要な予防接種・接種証明
ベトナム日本人学校では入学の際に予防接種証明書を提出する必要はありません。その他のインターナショナルスクールでは学校により取り扱いが異なり、医師の署名入りの接種証明を求めているところもあります。所定の用紙を準備している学校もあるようですので、できれば事前に確認してください。少なくとも入国前に英文の接種記録の証明書を作成してもらい、持参することをお勧めします。
健康上、心掛けること
ベトナムに限らず、在外生活では病気の予防がきわめて重要です。赴任前の予防接種、定期的な健康診断、規則正しい生活、適度な運動などの主体的な自己管理が必要です。それと同時に、病気や怪我をした時に円滑に対応できるように、医療先進国への緊急移送の特約を付加した海外旅行傷害保険に加入しておくことも重要です。
食べ物・水
都市部の生活では過度の心配は不要ですが、食生活に関する最低限の注意事項は守る必要があります。水道水は飲まない、衛生状態の悪い屋台などでの食事は控える、家庭で調理する際には十分に加熱処理を行い、手洗いを励行するといった点については日頃から心掛けておく必要があります。
また、ベトナムでは高病原性(H5N1型)鳥インフルエンザの発生がみられ、ヒトへの感染事例も散見されています。家禽類との接触がなければ感染する可能性は極めて低いと考えられますが、鶏舎、鳥を放し飼いにしている場所、生きた鳥を扱う市場等には不用意に近づかない、野鳥の死がいや放し飼いの鳥等に接触しない、鶏肉や鶏卵を食べるときは十分に加熱する等のインフルエンザ対策を講じてください。また、急な発熱や頭痛等がある場合は、早めに医療機関に行き、受診してください。
熱中症・脱水症
高温多湿の環境では熱がこもりやすく、気づかないうちに熱中症や脱水症になっていることもあります。とりわけ屋外で活動する場合などには、通気性・吸水性の良い服装にする、水分(電解質、糖)を十分に補給する、涼しいところでこまめに休憩をとるといった予防対策が必要となります。
日やけ
紫外線は日本よりも強く、曇りの日でも思いのほか強いものなので、屋外では紫外線を通しにくい服を着る、帽子、サングラス、日傘などを上手に使う、日焼け止めをムラなくこまめに塗布するといった紫外線対策を行うようにしてください。
海外⽣活不適応について
気候、⽣活習慣、⾷事、治安状況、⼈種、宗教、⾔葉の違いは、適応に相当な努⼒を要します。うまくいかないと不適応症候群となり、精神⾯のみならず胃腸系や循環器系に変調をきたします。きまじめなタイプや完全主義者に陥りやすい傾向があります。適応には時間がかかること、誰でも⼀度は通る道であることを認識してあせらないことが肝⼼です。疲れたときは無理せず、⼗分な休養、時には⻑期休暇が必要です。
特に家族で赴任されている⽅はご家族のメンタルヘルスにも気を配ってあげて、できるだけ不満や愚痴を聞いてあげるようにしてください。
交通事情
一般的な交通事情
交通安全・マナー教育が徹底されていないことから、交通事情は劣悪で、自動車、バイク、自転車が通行区分や各種規制を無視して道路にあふれ、大変危険な状況です。過去には、日本人旅行者が死亡する事故も発生しています。歩行中は常に周囲に気を配り、交通事故に巻き込まれないよう、十分注意を払う必要があります。
運転免許証について
ベトナム政府は日本が加盟する国際運転免許に関する条約を批准しておらず、日本人旅行者等がベトナム国内でレンタルバイクを運転する場合には、日本で取得した運転免許証を切り替えてベトナム当局が発行する運転免許証を取得しなければなりません。それ以外は無免許運転となり、ベトナムの刑法によれば3年以上10年以下の懲役刑が科せられる場合があります。
公共交通機関について
主な交通機関は、タクシー、バス、白タク、バイクタクシー等です。
白タク、バイクタクシー
料金交渉が必要な上、次のようなトラブルに巻き込まれることが多いので、利用は避けたほうが無難です。
- 乗車中または乗降時の隙を狙われ、所持品をひったくられる。
- 乗車前に値段を交渉しても、降りる際に交渉額以上の金額を要求される。
- ひと気のない場所や依頼した場所と違うところに連れて行かれ、恐喝される。
- 運転手の勧めで飲食店や観光スポットに行くと、結果として不当な料金を請求される。
タクシー
比較的安全で利用しやすい乗物ですが、メーターを作動させずに車を発進させたり、目的地到着と同時にメーターの表示金額を消したりして、不当に高い料金を要求する、勝手に自分の知っているホテルへ乗り付けて、無理矢理そこへ泊まらせようとするなど悪質な運転手もいますので注意が必要です。
タクシーを利用する場合は、ホテルやレストランなどにタクシーの配車を要請するか、大手タクシー会社のものを利用するよう心掛けてください。
バス
料金が比較的安く、また最近ではエアコン付きの新型車両も増えてきていますが、英語を理解しない車掌や運転手がほとんどであり、不測の事態が発生した場合の意思疎通が困難であることが予測されます。また、長距離バスで置き引きやスリの被害が発生していますので利用する際には十分注意してください。
レンタルバイク
過去に、旅行者がレンタルバイク店から100ccのバイクを借りて運転中、道路を横切ってきた通行人に接触し重傷を負わせ、本人も負傷(軽傷)するという事故が発生しています。
ベトナムには観光客相手のレンタルバイク店が数多く存在し、日本の旅行雑誌の中にもレンタルバイクを推奨するような記事を掲載している例がみられますが、前述のとおり、ベトナムの交通マナーは劣悪です。交通事故は自分が注意するだけで完全に防げるものではありませんので、安易にレンタルバイクの利用をすることは避けてください。
保険
ベトナムでは車両の強制保険制度がありますが、充分な補償額とはいえません。また任意保険もあまり普及していない上、補償額も上限があり日本などに比して十分なものではないため、保険に入っていても交通事故を起こした場合、当事者個人が一部負担しなければならないことがあります。
また、被害者となった場合は、ベトナム人運転者に賠償能力がないことがほとんどで、多くの場合加害者は自己の非を認めようとしないので、賠償を求めることができないケースや賠償を得るまでに多くの時間や労力を費やすケースもあります。
安全に暮らすために
治安情勢(外務省海外安全ホームページより)
下記は2019年5月現在の状況です。外務省海外安全ホームページ等を活用し、常に最新の状況を確認するようにしましょう。また、滞在中は常に治安情勢の変化に気を配り、新聞、テレビ、現地人等の情報にも注意してください。
最新情報
現在、ベトナムへの渡航・滞在についてのスポット情報、危険情報は出ていませんが、上記の外務省海外安全ホームページを参照の上、安全対策に心掛けてください。
テロについて
概況
ベトナム治安当局は、ベトナム人海外移住者を主体とする反政府活動家の活動に対して警戒を強めています。また、過去にはベトナム国内で反政府組織によるテロ未遂事件等が発生しています。最近でも反政府活動や民主化を求める個人や団体が反国家宣伝等の罪状で当局に拘束、実刑判決を言い渡される等の事案が発生しています。
ただし、これまでのところ、反政府組織は日本や在留邦人をターゲットとはしておらず、今後も在留邦人等がターゲットとなる可能性は低いと考えられます。しかし、ひとたびテロ事件や騒擾事件が発生すれば、これらの被害に巻き込まれる可能性は排除できません。
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ以降、ベトナム国内でイスラム過激派によるテロは発生しておらず、現時点ではベトナム国内でイスラム過激派の存在は確認されていないとの見解を示しています。しかし、ISIL(イラク・レバントのイスラム国)にアジアから多数の戦闘員が参加しているとの情報もあることから、ベトナムにおいても出入国管理の強化等を通じてイスラム過激派などテロリストや関係者の入国を注視するとともに、警戒を強化しています。
各組織の活動状況
ベトナムは共産党一党支配体制の下、反体制運動、宗教活動、少数民族が自治拡大を求める活動等に対しては、当局は必要な取り締まりを行っていくものと思われます。ベトナムにおけるこれらの活動は、非暴力・平和的手段を原則としていますが、当局の出方によっては、参加者の過激な抗議につながるおそれがあります。
また中国との関係では、南シナ海問題などの懸案事項があるものの、引き続き政治体制や経済関係において密接な関係を継続させ、今後もその影響を強く受けていかざるを得ないことから、嫌中意識が根強いベトナム国内においては、政府の対応如何によって、反中感情の高まりがデモなどの具体的行動へ現れる可能性があります。
こうした情勢は、現時点で直ちにテロの脅威に結びつくものではありませんが、地理的な状況などからも、国際テロ組織の経由地や中継点となるおそれは完全に払拭できません。
日本人・日本権益に対する脅威
これまでに、ベトナムにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、近年、シリア、チュニジア、バングラデシュにおいて日本人が殺害されるテロ事件が発生しています。また、テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、特に、近年では単独犯によるテロや、一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発していることから、こうしたテロの発生を予測したり未然に防ぐことが益々困難となっています。
このようにテロはどこでも起こり得ること及び日本人が標的となり得ることを十分に認識し、テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。
誘拐について
2018年中の誘拐事件の発生状況については当局から公表されていませんが、報道等によると、子どもを対象とした身代金目的の誘拐事件や、ベトナム人女性を対象とした組織的人身売買事案の発生がみられます。外国人を標的とする誘拐事件の報告はありませんでした。
その他一般犯罪の発生状況
近年の経済発展により貧富の格差拡大や地方貧困層の都市部流入等に伴い治安状況は悪化傾向にあります。現在のところ、殺人、強盗等の凶悪犯罪の発生は少ないものの、外国人住宅への忍び込み、繁華街周辺でのひったくりやスリ、置き引き等が発生しています。空港、市場、路上、ホテル、レストラン等で旅券、現金などの貴重品を盗まれる日本人被害が多発しています。
銃器及び火薬類の密輸に伴う犯罪・事故
国境を越える銃器等の密輸ルートの検挙や、戦争当時の軍用銃器発見などの報道がなされていることから、ベトナム国内に銃器が不法に出回っていることが推測されます。
近年、特に都市部においてギャングまがいのグループ間抗争や、交通事故のトラブルに起因した発砲事件なども発生しています。
日本人の被害状況
歩行中、後方から近付いてきたバイクに乗った犯人にバッグ等をひったくられるケースが多発している他、繁華街、空港、レストラン、長距離バス・列車の車内、バスターミナル、大規模商業施設等において、スリや置き引き被害に遭う例が散見されます。その他にも種々の犯罪被害事例がありますが、以下は大使館や総領事館等が報告を受けたり、解決のための支援を行ったりした日本人被害の実例です。
ひったくり
セカンドバッグ、アタッシュケース、ポーチ等を持って歩いている人を狙い、後方からバイクに乗った2人組が近づき、追い越しざまにバッグ等をひったくり、逃走するといった手口が、旧市街地等の繁華街を中心に発生しています。また、たすきがけにしているバッグを強引に奪おうとする手口も散発し、被害者が倒されたり引きずられたりして、怪我をする被害も発生していますので十分な注意が必要です。
さらに、タクシーやシクロ(三輪自転車タクシー)に乗り降りしているとき、バイクに乗った犯人に手荷物をひったくられる事件も発生しています。乗物の乗降時にも注意と警戒が必要です。
スリ
混雑した市場や路上、大規模ショッピングモール、長距離バスや列車等の車内で、バッグや財布、スマートフォンなどを奪われる被害が発生しています。気付かないうちにバッグやウエストポーチから財布等を奪われる例もあります。
集団スリに遭う被害も発生しています。旅行者をそれとなく取り囲み、その中の1人が旅行者の注意を引いている間に、仲間がバッグや財布を窃取するというもので、親しげに近づく女性(売春婦を装う)には特に注意が必要です。
また、目の前で自転車を倒すなどして旅行者の注意を引きつけ、隙をみてポケットやバッグから財布をすり取る等の巧妙な手口もあるようです。特にハノイやホーチミンなどの混雑する場所では注意が必要です。
また、スリ集団の中には日本語を解する者がおり、日本語で話をしている団体を見つけては、スリを繰り返しているとの情報もありますので、団体で行動していても安心せず、周囲の状況に配意してください。
置き引き
ホテルや空港のロビー、レストラン、大規模ショッピングモール等で置き引き被害が発生しています。チェックインの手続中や、ロビーで人に話しかけられたとき、レストランでトイレに立ったとき、民族舞踊を観賞しているとき、公園のベンチで一息ついているとき、空港で出入国手続きを行っているとき等にバッグ等の手荷物をカウンター、テーブル、椅子の上や床等に置いて目を離した一瞬の隙に被害に遭っています。持ち物から絶対に目を離さないことが肝要です。
また、ホテルから外出する際には、貴重品が入っていなくても、室内に残すスーツケースは必ず施錠するよう心掛けてください。
いかさま賭博詐欺
近年発生は減少傾向にありますが、過去に発生した典型的な手口は次のとおりです。
日本人旅行者が観光地を散策しているとシンガポール、フィリピンまたはマレーシア出身(別の出身地の場合もある)と称する人物から片言の英語や日本語で話しかけられ、親しくなったところで、自宅に招待すると言われ、知らない場所へ案内される。
食事などをしていると、外国のカジノでディーラーをしている叔父(または兄)等と称する男が現れ、カード・ゲーム(ブラックジャック賭博)のやり方や、いかさまの方法等を教えられ、いかさま賭博に協力するよう依頼される。
その後、金持ち(友人)と称する別の男が現れ、実際にゲームが始まり、最初は勝負(ゲーム)に勝ち続けるが、賭け金が大きくなるにつれ負けが込み、最終的には、旅行者の手持ちの現金が足りなくなるとホテルに現金を取りに帰らせたり、クレジットカードで貴金属を買わされたり、キャッシングをさせられたりする。
都市部周辺における発生が多く、特にホーチミンにおける被害報告の多さは顕著です。見知らぬ人からの自宅への招待や食事の誘いかけには応じないことが大切です。
睡眠薬強盗
観光スポット等において、親しげに声をかけられ飲食(酒)をともにした際、飲み物(睡眠薬入り)を勧められ、現金やクレジットカード等を奪われる被害が発生しています。意識が戻ったときには24時間以上経過していたり、病院のベッド上であったり、身体が傷だらけであることもあり、中には盗まれたクレジットカードを不正使用され、その後カード会社より多額の請求を受けたという例もあります。また、少量の睡眠薬を飲まされ、意識がもうろうとしたところで、ATM機まで連れて行かれ、現金の引き出しを強制される例も報告されています。
声をかけられるきっかけは様々で、深夜ホテルで自室にマッサージを頼み、マッサージ嬢と一緒にビールを飲んだところ、意識を失い、目覚めてから気がつくと所持金がすべてなくなっていたという例もあります。前述の「いかさま賭博詐欺」同様、見知らぬ人物からの誘いには軽々しく応じないようにするのはもちろんのこと、初対面の人物には常に警戒心を持ち、安易に飲食などをともにしないよう注意することも肝要です。
強盗
国内各所で発生しており、その形態・手口も様々です。いきなり路上で殴られる、ナイフなどの凶器を突きつけられて金品を強奪されるなどの手口が発生しています。また、中心部の裏通りを歩いていたところ、突然英語で声をかけられ、一瞬足を止めた隙に後ろから両腕を押さえられ、財布から所持金を奪われる事案も発生しています。
都市部では、タクシー乗車中に運転手から恐喝を受ける「タクシー強盗」の被害も発生しており、注意が必要です。万が一、強盗被害に遭った場合には、抵抗したり大声を上げたりせず、落ち着いて対応し、身の安全を第一に考えて、冷静に行動してください。
人身売買、連れ去り事案
人身売買取引や幼児の連れ去り事案も発生しています。近年、日本人が被害に遭ったという報告はありませんが、巻き込まれないよう、行動をパターン化しない、幼児から目を離さないなど日頃から注意を払うようにしてください。
その他の日本人犯罪被害事例
- バイクタクシーの運転手に誘われ、カフェに入りビールを4本飲んだだけで数百米ドルを請求された。法外な値段のため警察へ行こうとしたところ、店員2人に殴られ、所持金を取り上げられて店を追い出された。
- バイクタクシーの運転手にメコン河クルーズに行かないかと誘われ、1日10米ドルという約束で承諾した。クルーズ後、船頭から「この船は、100人乗りで1日1,000米ドルの料金だ。今日は2人で貸し切っているのだから500米ドルずつ支払え」と言われ、拒否すると「支払わないと岸には返さない」と支払いを強要され、法外な料金を支払わされた。
- ホーチミン市内の中央郵便局で現地の男から英語で話しかけられた。男にバイクで食堂や寺院を案内された後、自宅に誘われ飲食をともにしたが、売春宿への同行を勧められたので拒否すると飲食代、バイクでの送り代として数百米ドルを請求された。
- 市街地を散策中に現地の男が「ガイドをしてあげる」など近づいてきた。一緒に行った飲食店や土産物屋で相場よりかなり高い料金を請求されたため、「ガイド」に相談しようとすると、既に「ガイド」は何処かに行っていなくなっており、法外な料金を支払わされた。
防犯対策
見知らぬ人を安易に信用しない
日本のことを教えてほしいなどと英語や日本語で話しかけてきた人物が、旅行者を信用させて、起業や親の病気治療などを口実に金を借りたまま逃げるという事案が散見されます。見知らぬ人が親しく話しかけてきても安易に誘いには乗らず、しつこく懇願されてもはっきり断ることが重要です。また、宿泊ホテル名や旅行日程、日本の住所・電話番号、クレジットカードの有無等個人情報を教えることは避けてください。
貴重品はできるだけ持ち歩かない(持ち歩く場合は分散して身に着ける)
外出する際に、現金、旅券、航空券等の貴重品はできるだけ持ち歩かず、やむを得ず持ち歩く場合は、分散して所持し、特に旅券を携行する場合は外から見えないよう細心の注意を払うことが重要です。また、現金は現地通貨で必要最小限の額だけを所持するように努めてください。さらに、買い物の支払いのときなどに、他人(スリなどの犯罪者)に財布の中身が見えないよう工夫することが必要です。
手荷物は身体の前に抱えるように持つ
バイクに乗った2人組によるひったくりが多発しています。犯人は常にターゲットの隙を狙っているので、市内ではなるべく車道側を避けて歩き、道路を横断する場合にも十分に警戒することが大切です。
売り子の子供達等見知らぬ集団を近寄らせない
ストリート・チルドレンによる集団スリの被害も発生しています。ガムやキャンディー、つまようじ等を売りつけるために子供達が寄ってきたら、それに気を取られている隙を狙うスリがいる場合もあります。土産物店が並び外国人観光客が集中する地域や通りでは、特に注意が必要です。
白タクやバイクタクシーなどメーターのない車両は利用しない
市内を移動する際は、白タクやバイクタクシーなど料金メーターのない移動手段をなるべく使わず、メーターのあるタクシーなどを利用しましょう。また、乗車する際は、地図等で目的地をよく確かめ、場所を書いて運転手に見せるとともに、目的地と違う場所へ向かっていると感じたら、できるだけ早くひと気が多い場所で降車することが重要です。
自分でバイク等車両を運転することはできるだけ控える
走行中のバイクを狙う盗難事件が発生しており、一歩間違えば死亡事故に繋がります。また、交通法規に無頓着な現地事情から、旅行者がいきなり車両やバイクを運転した場合、交通事故を起こす可能性が非常に高くなりますので旅行中にレンタルバイクなどを利用することは避けてください。
やむを得ず利用する場合でも、免許証をベトナムのものに書き換え、自動車保険に加入した上で、出来るだけ荷物を持たず、交通事故に十分注意してください。また、ヘルメットも粗悪なものが多く出回っているため、安全基準を満たしている正規のヘルメットを着用して下さい。
なお、日本で発行される国際運転免許証では、運転することはできません。
不測の事態が発⽣したときには、家族等の依頼を受け⼤使館より安否確認の連絡をする場合がありますので、滞在先等は必ず家族に連絡しておく等、常に所在を明確にしておくようにしてください。
⾮常事態が発⽣したと思われるような場合や、外出中に不測の事態に遭遇した場合は、⾃宅か職場等の安全な場所に戻り、事態が静まるまで待機してください。また、必ず⽇本国⼤使館に連絡してください。
緊急時の連絡先
安全のために、普段から予防対策を心掛けておくことが重要ですが、いざ事が起こったときのことを想定して、その時に被害を最小限にするための対策を講じておくことも大切です。緊急連絡先はメモしておき、家族それぞれが持つような努力が必要です。
警察・消防・救急
- 警察:TEL 113
- 消防署:TEL 114
- 救急⾞:TEL 115
- 出典:
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