タイの生活情報や医療事情
タイの基礎知識
名称 | タイ王国 | 日本国(ご参考) |
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面積 | 51万4,000㎢ | 37万8,000㎢ |
人口 | 6,572万人 | 1億2,659万人 |
首都 | バンコク | 東京(人口1,383.2万人) |
通貨 (2018年11月) |
バーツ (1バーツ=約3.45円) |
円 (1米ドル=113.84円) |
時差 | -2時間 | – |
言語 | タイ語 | アルタイ語系の日本語 |
民族 | 大多数がタイ族。その他、華僑、マレー族、山岳少数民族等。 | アジア人種の日本民族・朝鮮人・中国人・北海道に少数のアイヌ人 |
宗教 | 仏教、イスラム教 | 仏教・神道・キリスト教 |
気候 | 全土が熱帯気候に属し、年平均気温は北部内陸地方で26℃。南部の臨海地域で28℃と高温である。5~10月の雨季と11~4月の乾季に分かれ、半島部やカンボジアとの国境に近い南東海岸部では、南西モンスーンの影響で年降水量が3,000ミリを越えるところもある。 | 南部は温帯気候、北部は冷帯気候。モンスーンの影響が強く、6~8月は南東モンスーンにより多量の雨がもたらされる。11~3月は大陸からの北西モンスーンにより、北部は厳しい寒さとなり、日本海に面した地域には多量の雪が降る。 |
代表的な 都市の気温 |
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電化製品 |
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在留邦人数 | 72,754人(2017年10月) | – |
出国・入国するときの注意事項
下記は2018年11月現在の情報です。タイ政府の手続きや規則等については、事前の通告なく変更されることがありますので、必ず最新の情報を確認してください。最新の情報については、駐日タイ大使館や在大阪タイ総領事館等に確認してください。
査証(ビザ)
無査証での入国
観光目的での入国を希望する場合、タイから出国するための予約済み航空券及び滞在資金を十分に所持していれば、通常、無査証(ビザなし)で入国(30日間の滞在許可)が認められます。また、タイ入管当局は、外国人がタイに入国する際には、一定額の現金を所持するべき旨規定しています(例:ビザなしで1人で入国する場合は、1万バーツ以上など)。
長期滞在(ビザ取得)の場合
30日以上の長期滞在を予定される方は、事前に目的に合致したビザを取得して入国するようにしてください。ビザは、日本やタイ周辺国にあるタイ大使館・総領事館で取得することができます。詳細についてはタイ入管当局で確認するか、駐日タイ大使館のホームページ等を御参照ください。
入国手続が終わり、パスポートを受け取った際には、入国印の有無・記載漏れ・誤記等を確認してください(例:60日のツーリストビザを取得していたが、入国審査官がビザなし入国と勘違いをし、30日の滞在許可しか出さなかった場合、その場で確認して訂正を受けておかないと、後日訂正に煩雑な手続きが発生します)。
なお、出入国審査時、出入国管理局係官等に対して、大声を出して、侮辱的な言葉を発し、カウンターを叩く等の行為をしたことで、入国拒否となったり、警察に引き渡され罰金を支払う事態になったケースがありますので、ご注意ください。
なお、タイでは、一部対象外の査証所持者を除き、入管当局に対する90日毎の滞在報告(いわゆる90日レポート)が義務づけられています。これを怠った場合、出国時あるいは滞在期間延長申請時に罰金を科されるケースも報告されています。
出入国審査
タイに入国する場合、「first port arrival」の原則に基づき、タイの第一到着地空港において入国手続きを行い、目的地空港においては手荷物の通関手続きのみを行うことになっています。例えば、日本からバンコク経由でチェンマイに到着する場合は、経由地バンコク(第一到着地空港)において入国手続きを行い、チェンマイ(最終目的地空港)において手荷物の受取りと通関手続きを行うことになります。なお、バンコク~チェンマイ間の航空機は基本的に国内線扱いのため、チェンマイ到着後は国内線の乗客の流れに乗ってしまいがちですが、航空機を降りた後は、必ず「International(国際線)」の表示(案内)に従って進み、荷物の受取り等を行ってください。国内線の乗客の流れに乗ると荷物の受取りができなくなってしまいますので注意してください。
マレーシア北部のランカウイ島から、近接するタイのアダン島へ旅行する際に、国境を越えるにもかかわらず、タイへの入国手続を行わない旅行者がいます。このケースは、たとえ不注意であってもタイへの不法入国となり、タイ警察の摘発対象となりますので本人がパスポートを携行してタイのサトゥーン県の入国管理局に直接赴いて入国手続を行ってください。
陸路国境の出入国ポイントでは、旅行者がタイ入国時に入国審査の窓口に気づかず通り過ぎて、入国審査を受けずに入国してしまったり、窓口で手続を行ったにもかかわらず、担当官が入国印を押し忘れるようなトラブルが発生しています。後になって入国印がないことに気づいた場合は、入国手続をした入国管理局まで直接赴き、改めて入国手続きを行う必要が生じます。また、気づかずに出国しようとした場合等、状況によっては不法入国とみなされ罰金が科されます。さらに状況によって当局に身柄を拘束される可能性もありますので、特に陸路入国の場合には、その場で入国印を確認するように心掛けてください。
旅行代理店の中には、「VISA EXTENTION(ビザの延長)を請け負います。」等と宣伝しているところがあるようですが、「本人はタイにいながらにして、パスポートのみ出入国したことにし、30日無査証滞在の延長ができる」等と説明を受けパスポートを預けたところ、偽造のタイ出入国スタンプを押されてしまい、タイから出国する際に不法入国とみなされ、当局に拘束・逮捕された事案も発生していますので、そのような業者は絶対に利用しないよう注意してください。
外貨申告
タイの外貨管理上、外国からタイへの外貨持込額については、通貨種別を問わず1万5,000米ドル相当以下に規制されています(これを超えた金額持込時は、スワンナプーム空港入国税関にて申告が必要)。また、現地通貨の持出しは5万バーツまで(例外として、ラオス、ミャンマー、カンボジア等の国境が隣接している国へ出国する場合は、50万バーツまで(参考:2018年4月現在、1バーツ約3.45円)、また外貨の持出しは1万5,000米ドル相当まで可能です。
なお、出国時に外貨を1万5,000米ドル相当額以上所持していると、タイ国内で労働・収入行為があったとみなされ、課税又は没収される可能性があることから、上記のとおり持込額を入国時に申告しておく必要があります。
外貨申告で不明な点がある場合には、タイ及び渡航先国もしくは日本の各税関にお問い合わせください。
通関
米、植物、果物はタイ国内への持ち込みが規制されています。
また、象牙など、ワシントン条約で規定されている規制品及び仏像等の持出しについては輸出証明が必要です。なお、チャトチャック市場(ウィークエンド・マーケット)等で、昆虫、は虫類、小動物を購入して持ち帰ろうとすることも、「森林動物保護法」違反として、検挙されるおそれがありますので、事前にタイ税関等に国外持ち出しに必要な手続きを確認してください。
タイ物品税局では、免税(納税シールのない)たばこの不法所持で当局により摘発された者に対し高額な罰金を科しています。免税(納税シールのない)たばこについては、紙巻きたばこであれば200本(1カートン)、葉巻等であれば250グラムまで、また酒類については1リットルまで免税での持ち込みが認められます。これら免税たばこや酒類等を、規定量を超えてタイ国内に持ち込もうとした場合、税関検査で摘発されると高額な罰金を科せられるほか、物品も全て没収されますので十分注意してください。なお、摘発を不服として罰金支払を拒否した場合や罰金が支払えない場合には裁判となりますが、その間、身柄を拘束されることもあります。なお、電子たばこ(加熱式たばこ)は持ち込み禁止です。
こうした検査・摘発はタイ当局の主権・判断に係わる事項ですので、在外公館(在タイ日本国大使館等)が当該人に代わって交渉したり、判断に異議を唱えたりすることはできませんので、あらかじめご了承ください。
現地に到着したら
在留届
旅券法第16条により、外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在する日本人は、住所または居所を管轄する日本の大使館または総領事館(在外公館)に「在留届」を提出するよう義務付けられています。住所等が決まりましたら、必要事項を記入の上、速やかに最寄りの在外公館へ提出してください(世帯ごとに届出をすることもできます)。
提出はFAXまたは郵送、インターネットで可能です。提出にあたっては、「在留届」用紙の注意事項をよく読んで提出してください。
- ※ 住所その他届出事項の変更およびタイを去る(一時的な旅行を除く)ときはその旨の届出(変更および帰国届)を行ってください。
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者(海外旅行者・出張者など)についても、現地での滞在予定を登録できるシステムとして、2014年7月より外務省海外旅行登録「たびレジ」の運用を開始しています。登録者は、滞在先の最新の海外安全情報や緊急事態発生時の連絡メール、また、いざというときの緊急連絡などの受け取りが可能です。
注意が必要な生活環境
各種取締法規
麻薬
タイ政府は、麻薬・薬物犯罪を厳しく取締まっており、麻薬・違法薬物の所持はもとより、持ち込み、持ち出しは厳禁であり、これに違反した場合には厳罰が科されます。最高刑は死刑となります。
ゲストハウス(安宿)やディスコ等においても、警察が随時取締り・摘発(いわゆる、おとり捜査)を行っており、禁止薬物を所持又は使用していたため、逮捕され、タイ国内の刑務所で長期間に亘り受刑中の日本人もいます。薬物を所持していた場合には、「他人から中身を知らされずに預かった。」、「禁止薬物とは知らなかった。」等の弁解は通用せず、販売目的所持などとして起訴され、殺人罪よりも厳しい罰則(死刑、終身刑、50年の懲役刑等)が科される場合もあります。安易な気持ちで麻薬・薬物に絶対に手を出すことなく、また他人から荷物を預かったりすることのないように十分注意してください。
喫煙
タイでは、公共交通機関や、レストラン、カラオケスナック、バー等のエアコンの効いた屋内飲食店は全面禁煙、公共の建物、ウィークエンドマーケット等は喫煙所を除き禁煙となっています。違反者には最高2,000バーツ、店舗等の責任者には2万バーツ(参考:2018年4月現在、1バーツ約3.45円)の罰金が科されます。また、禁煙令とは別に、路上でたばこの「ポイ捨て」を行った場合は、2,000バーツ以下の罰金が科されます。
子の連れ去り
近年、外国人と国際結婚をされる方々が増えていますが、なかには結婚生活に破綻を来し、一方の親が他方の親に無断で子供を国外に連れ出してしまうようなケースも増加しており、国際問題になっています。タイはこのような問題を解決するために定められた「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」(ハーグ条約)の締約国です。日本も2014年1月24日に締結し、同年4月1日より発効しています。
なお、我が国は従来より、子の連れ去り等の発生を予防するため、未成年者の日本国旅券発給申請に際しては、親権者双方の同意確認を厳格化しています。
パスポートの携帯
警察官又は入国管理局職員に職務質問された際、パスポートを携帯していない場合、罰金や身柄を拘束される可能性もあります。パスポート(少なくともパスポートのコピー)を携帯し、職務質問を受けた場合には直ちに提示できるようにしておいてください。
また、タイ警察は、外国人の不法就労に対する取締りも強化しており、労働許可証を得ずに(携帯せずに)就労していた日本人が逮捕された事案も発生しています。就労する場合は事前に労働許可証を取得するようにしてください。
その他
家族問題、男女トラブル
男女のトラブルの例として、「交際していたタイ人に宝石をプレゼントしたが、その後、連絡が取れない。」、「結婚を前提に交際していたタイ人に家や土地、車購入の資金を渡したが、逃げられた。」等が発生しております。
マリンスポーツの注意事項
プーケット等のビーチリゾートでは、モンスーン期(雨季)に海が荒れるため遊泳禁止になることがありますが、禁止区域で遊泳し、溺死する事故が発生しています。波は一見穏やかでも、水中では巻くような流れがあり、足下をすくわれて溺れてしまうので、ビーチに赤い旗が立っているときには決して海に入ることなく、ビーチの係員等の指示に従ってください。また、飲酒後の遊泳も危険です。パタヤ、プーケット等のビーチリゾートで、ジェットスキー、水上スキー、パラセイル等のマリンスポーツについては、タイの法律やレンタル店のルールに従ってください。
ジェットスキー運転中は安全運転を心掛け、これらマリンスポーツの事故が発生した場合のリスクと自己責任であることを理解した上で、行うようにしてください。
また、料金トラブルも発生していますので、ジェットスキーをレンタルする際には、業者から料金等の説明を受け、契約書の内容を理解し納得した上でレンタル契約をするようにしてください。
レンタルを終えて返却するときに「船体を傷付けた」「破損させた」等として、高額な修理代金を請求されるケースが多数報告されています。事前にレンタル業者立ち会いのうえ、船体の損傷の有無を確認する、カメラ等がある場合には写真撮影を行う、トラブル発生時の処理方法が記載された契約書面の交付を受ける等、返却時のトラブル回避に努めてください。
風俗・習慣・国民性
王室について
タイ国民の国王、王族に対する尊敬の念は深く、刑法上「国王、王妃、皇太子、摂政に対する罪」として刑罰(いわゆる不敬罪)が設けられており、例えば王室を侮辱した場合、3年以上15年以下の禁固に処せられるほか、社会的にも厳しい批判を受けることにつながります。
仏教について
タイの法律には宗教に関する規定が多く、例えば寺院や儀式を侮辱したり、妨害したりする行為は厳しく罰せられます。仏像はたとえ倒壊したものであっても神聖なものとされています。仏像の国外持ち出しは禁止されており、無断持ち出しは罰せられます。
また、僧侶は上座部仏教の教義に則し、絶対に女性(子どもを含む)に触れたり、触れられたりしてはいけないことになっています。
身体のうち、頭部は精霊が宿る場所として神聖視されており、頭部に触れることはタブーとされています。子どもの頭をなでることもトラブルの原因となります。また、足は不浄とされているので、足裏を第三者に向けて座ったり、間違っても足で人を指すような仕草をしたりするのはやめましょう。
健康・医療
タイ(バンコク) 医療事情
(ジェイアイ傷害火災調べ 2016年8月時点)
項目 | 内容 | 日本(ご参考) |
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救急車の料金 |
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初診料 | 3,000~4,500円 | 2,820円 |
病院部屋代 (1日当たり) |
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虫垂炎手術の治療費 |
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骨折時の治療費 (橈骨末端閉鎖性骨折) |
30,000円 | 20,000円 |
ファミリードクター制度 | なし | なし
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乳児死亡率 (1,000人当たり) |
11人 | 2人 |
平均寿命 | 75歳 | 84歳 |
注意事項
- ① 全体
- 海外では自由診療となるため、治療費は受診する医療機関や治療内容等によって大きく異なります。一覧は目安として下さい。
- 日本人旅行者が利用することが多い私立の医療機関を中心に調査しているため、その国一般の相場と異なる場合があります。
- ② 項目別
- 1. 公営の救急車は原則行き先を指定できません。距離加算の記載がない場合は、原則同一市内の料金となります。
- 2. 初診時の最短時間(通常10~20分程度)の診察料となります。別途医療通訳費が必要な場合があります。
- 3. 部屋の使用料のみとなり、実際に入院する際には、その他に医師の診察料、薬剤費等が必要となります。
- 4. 腹膜炎を併発していない手術を想定しており、術式等は医療機関により異なります。
- 5. 転倒し、手をついた際に骨折しやすい箇所となります。レントゲン検査、固定処置を行い1回のみの外来診療を想定しています。
(帰国後に継続治療を行うことを想定していますが、その治療費は含んでおりません) - 6. 当該国の一般的な医療制度を記載しており、医療機関や緊急度合い等により記載と異なる場合があります。
- 7. 出典:世界子供白書2015<要約版>-日本ユニセフ協会
- 8. 出典:総務省統計局発行、総務省統計研修所編集「世界の統計2016」
- 1.
- ③ 日本の医療事情
- 詳細金額は医療機関の設備や治療内容等により異なりますが、概ねの理解をいただく目的で、一般的な料金を記載しています。
- 治療費は、海外と比較する目的で健康保険利用の基準である1点10円かつ全額(10割)自己負担として算出しています。健康保険を利用し受診した場合の自己負担額は通常記載よりも低額となります。また、日本で健康保険を利用しない自由診療の場合は、医療機関により点数換算が異なります。
過去に発生した保険請求事故実例(タイ)
- ホテルのベッドで休養中、胸の痛みを感じた後に意識不明となる。心筋梗塞と診断され13日間入院・手術。医師・看護師が付き添い医療搬送。
- 治療・救援費用 保険金支払額:
- 7,811,040円
- 高速船が波でバウンドし、全身を強打。腰椎骨折と診断され10日間入院・手術。医師が付き添い医療搬送。
- 治療・救援費用 保険金支払額:
- 3,404,593円
医療事情
バンコクの代表的な私立病院の医療設備は、日本の病院と比べて遜色なく、優秀な医師が多数勤務しています。また、日本に留学経験のある医師も多く、タイの医師免許を取得し診療に従事している日本人医師もいます。日本人スタッフや日本語通訳者を常駐させている病院では日本語での問い合わせも可能です。地方の主要都市の代表的な私立病院も、医療設備はおおむね整っています。
ただし、私立病院の医療費はしばしば高額となりますので、渡航前に十分な海外旅行傷害保険に加入することをお勧めします。持病、妊娠・出産、歯科などに伴う医療費は給付対象外となることがあるのでご注意ください。また、不慮の事故や病気等で自身が意識不明となった場合の連絡先、延命措置の希望等をあらかじめ家族と話し合っておくことも重要です。
注意を要する病気
デング熱
バンコクを含む全土で、昼間に吸血するネッタイシマカまたはヒトスジシマカを介して、主に雨季(6~10月)に流行が見られます。2016年には6万4,867人が重症型のデング出血熱に罹患し68例の死亡例がありました。北部メーホンソン県、チェンマイ県、南部ソンクラー県、パッタニー県で罹患率が高くなっています。長袖シャツ、長ズボンを着用する等、蚊に刺されないようにすることが重要です。
デング熱に感染すると、急性期には発熱、頭痛、関節や筋肉痛、発疹が現れます。多くは1週間ほどで回復する病気ですが、約10%の割合で出血を伴う「デング出血熱」を呈することがあります。この場合、急にショック状態に陥って死に至る恐れもあるため、感染の疑いがある場合は、必ず医師の診察を受けてください。近年開発されたワクチンはタイでも認可されています。
ジカウイルス感染症(ジカ熱)
ジカウイルス感染症が、タイ国内でも発生しています。ジカウイルスを持ったネッタイシマカやヒトスジシマカに刺されることで感染するほか、母胎から胎児への感染、輸血や性交渉による感染リスクも指摘されています。ジカウイルス感染症は感染しても症状がないか(不顕性感染)、症状が軽いため感染に気づきにくいこともがありますが、妊娠中にジカウイルスに感染すると、胎児に小頭症等の先天性障害を来すことがあることから、特に妊娠中または妊娠を予定している方は、流行地域への渡航を可能な限り控えるなど、十分な注意が必要です。
マラリア
夜間に吸血するハマダラカを介して、一年中発生しています。2016年には5,197人が罹患し2例の死亡例がありました。罹患者のほとんどが国境に接する県の郊外・森林地帯に集中しており、北部ではメーホンソーン県とターク県、南部ではヤラー県、ナラティワート県、ソンクラ-県で罹患率が高くなっています。近年はアーテミシニン耐性熱帯熱マラリアの出現が問題になっています。これらの地域を訪れる際には予防薬としてアトバコン・プログアニル合剤またはドキシサイクリンの服用が推奨されています。メフロキンやクロロキンは耐性が報告されています。アトバコン・プログアニル合剤、ドキシサイクリンは日本でも入手可能です。
上記流行地域に出かける場合は、あらかじめ専門医にマラリアの予防内服の必要性について相談してから出かけるようにして下さい。カンチャナブリなどそのほかの県では感染の危険は非常に低く、またバンコク・チェンマイ・チェンライ・パンガン島・サムイ島やパタヤでは感染する可能性はまずありません。
細菌性下痢
細菌性下痢はタイで最も多い病気の1つで全土で発生が見られます(2016年121万例)。原因菌としてサルモネラ属、プレジオモナス属菌、エロモナス属菌、大腸菌が、主な原因菌です。常日頃から次のことに注意してください。
- 生もの(特に魚介類)は控える。
- 生ものは熱を通してから食べる。
- 調理した後は速やかに食べる。
- 調理場や食器類などは乾燥させておく。
- 外食の場合には衛生的な飲食店を選ぶ。
赤痢
2016年には7,002人の罹患者が発生しました。内訳は細菌性赤痢2,680人、アメーバ赤痢3,207人、不明1,115人です。北部ミャンマー国境に接している県で多く発生しており、メーホンソーン県、ターク県、チェンマイ県で罹患数が多くなっています。赤痢菌、アメーバに汚染された飲食物で感染しますので注意してください。
腸チフス・パラチフス
2016年には1,991人の罹患者が発生しました。ナラティワート県、メーホンソーン県、チェンマイ県で罹患率が高いようです。汚染された加熱不十分な肉類から感染することが多く注意してください。
エイズ・HIV感染症
1989年6%だったセックスワーカーの罹患率が1994年には34%に達し、国を挙げての「100%コンドーム使用キャンペーン」の結果2016年には1.10%まで下降しました。性感染症を持つ男性の罹患率は2.60%です。また妊婦における罹患率は0.50%です。感染者は30歳から34歳までの年齢層が最も多くなっています。感染経路として最も多いのは性行為で、薬物中毒患者の注射行為によるものも多くみられます。感染ルートについて正しく理解し、慎重かつ節度ある行動が要求されています。
狂犬病
2016年のヒト狂犬病発症例は14例で、全員死亡しました。それまでの年間1桁台から急増した要因のひとつとして予算不足のため犬・猫へのワクチン接種率が低下したことが挙げられています。犬だけでなく哺乳類一般から感染する可能性があります。ロッブリーの猿や洞窟のコウモリなども危険です。素性のわからない哺乳類に噛まれた場合にはかすり傷程度でも狂犬病ワクチンの暴露後接種が必要です。その日のうちに医療機関を受診してください。
麻しん(はしか)・風しん
感染例が多く報告されています。リスクがあることを認識し、麻しん・風しんの予防接種を2回受けていない方は、受けることを検討して下さい。
感染性腸炎・寄生虫感染
急性下痢症は頻繁に見られる疾患です。外食の際は衛生管理の行き届いた店を選ぶ、食料品の保存管理・飲料水(氷を含め)に注意をすることなどが必要です。また、調理してから時間がたった食品や十分に加熱していない海産物、特に貝類は危険です。また寄生虫感染症もあり、タイ全土で慢性下痢を引き起こすジアルジア症、タイ東北部では生の淡水魚を使った料理から感染する肝吸虫(胆管がんの原因)等が問題になっています。疑わしい場合、血液、便検査を受けてください。
出血性結膜炎
バンコクでは、特に雨季後半の8月から10月にかけて流行するウイルス性結膜炎です。1週間程度で自然治癒しますが、外出後の手洗い、家族で別々のタオルを使用するなどの注意が必要です。
インフルエンザ
日本では冬に流行する病気ですが、タイでは通年患者発生がみられ、乾季と雨季に患者が増加する傾向があります。バンコクの主な私立病院等でワクチン接種が可能です。
チクングニア熱
2009年にプーケットなどのタイ南部で大きな流行となりました。2010年以降の感染者数はそれほど多くありませんが、媒介蚊がデング熱と同じですので、デング熱と同様の注意が必要です。
予防接種
成人はA型肝炎、B型肝炎、破傷風の予防接種が必要です。できれば狂犬病、日本脳炎も受けてください。小児は日本で定期予防接種として行われているものは必要です。また、任意接種とされているもののうち、おたふくかぜ、A型肝炎、B型肝炎の接種も薦められます。
健康上、心掛けること
- 食の国タイでは安くておいしい食べ物が沢山ありますが、衛生管理のしっかりした店を選ぶことをお勧めします。
- 気温、湿度が高いため熱中症に注意してください。特に運動時は水分・塩分は十分補給してください。
- 戸外では日差しが強烈なので日焼けに注意してください。特に降雨後は多少曇っていても紫外線は強くなります。強い紫外線を長期に浴び続けると皮膚ガンや白内障の原因になります。
- エアコンの効いた室内では空気が乾燥しすぎることがあり、湿度が50%以下になっていることさえあります。皮膚乾燥症で慢性の皮膚掻痒に悩んでいる方もいます。室温、湿度をモニターすることをお勧めします。
- 虫に刺されないようにしてください。マラリア、デング熱の予防に蚊に刺されないことは言うまでもありませんが、海岸や山にはブヨ、ヌカカといった吸血昆虫が生息していますので注意してください。
- タイには190種の蛇と61種の毒蛇が居るそうです。2014年には1,219例(死亡例0)の咬傷例がありました。タイ赤十字によると、咬傷例の40%がMalayan Pit Viper、37%がGreen Pit Viper、16%がMonocellate Thai Cobra、2%がEastern Russell'sviperです。バンコク都内での咬傷例は90%がGreen Pit Viperだそうです。多くの蛇は音を立てながら歩いていくと逃げますが、ピット器官(赤外線感知)を持つ蛇では熱を感知して襲いかかるので、すぐに逃げてください。咬まれた場合、直ちに抗毒素血清を打つ必要があり病院を受診してください。
- 北部8県での大気汚染が深刻化しています。野焼きが主要な原因とされています。2016年3~4月にはPM10(大気中に浮遊する粒子状物質のうち粒径10マイクロメートル以下のもの)の上昇と関連して心疾患、呼吸器疾患、結膜炎、皮膚疾患で病院を受診する患者数が増加しました。大気汚染はその他の地域、その他の時季でも発生する可能性があります。タイ環境省公害管理局が観測データを発表していますので空気の悪い日は特に子供、高齢者、心肺に持病のある方などはマスクや空気清浄機などを用いる、外出を避けるなどの対策をして下さい。
海外⽣活不適応について
気候、⽣活習慣、⾷事、治安状況、⼈種、宗教、⾔葉の違いは、適応に相当な努⼒を要します。うまくいかないと不適応症候群となり、精神⾯のみならず胃腸系や循環器系に変調をきたします。きまじめなタイプや完全主義者に陥りやすい傾向があります。適応には時間がかかること、誰でも⼀度は通る道であることを認識してあせらないことが肝⼼です。疲れたときは無理せず、⼗分な休養、時には⻑期休暇が必要です。
特に家族で赴任されている⽅はご家族のメンタルヘルスにも気を配ってあげて、できるだけ不満や愚痴を聞いてあげるようにしてください。
交通事情
一般的な交通事情
タイの運転マナーは一般的に良いとはいえず、スピードもかなり出していることから、交通事故が頻繁に発生し、死亡・重傷事故も多くなっています。また、車優先の交通社会のため、道路の歩行や横断に際しては細心の注意が必要となります。日本とはルールも環境も異なることを十分留意の上、現地の人たちがやっているからといって危険な行為は絶対に真似しないようにしてください。事故に遭う可能性を少なくするために、以下の点に十分注意して身を守ってください。
運転免許証について
タイでは日本の国際免許証を使って運転できます。日本とタイは90か国が加盟する、通称「ジュネーブ条約」といわれる「道路交通に関する条約」の締約国です。同条約では、条約締約国は他の締約国が発給した同条約に合致する運転免許証(国外運転免許証)を所持する者に対し、上陸の日から起算して1年間(ただし、当該国際免許証の有効期間内に限る)は、自国において運転することを認めるとされています。
日本の免許証からタイの免許証に切り替えについては、タイ国陸上運輸局までお問い合わせ下さい。また、タイ滞在中に日本の免許証を失効した場合、タイから日本に帰国する際のタイの免許証から日本の免許証に切り替えについての詳細は外務省ホームページをご覧下さい。
交通事故について
不幸にして交通事故の当事者となったり巻き込まれたりした場合は、以下の点に留意してください。
- けが人がいれば救護措置をとり、警察へ通報する。また、加入している保険会社に連絡し、事後処理を依頼する。
- 現場の保存のため、可能な限り車両は動かさない。止むを得ず移動させる場合は、路面に印をつけるか、カメラ等で現場の状況を撮影しておく。
- 言葉の問題、事後処理の面からもタイ人スタッフや通訳人の派遣を要請する。警察から書類に署名を求められた場合、内容をよく確認した上で証明する。
- タイでは交通事故で死亡しても車両保険で補償される額が非常に低く、タイ人が保障できる額も、日本の保証額とは比較にならないため、自身でも保険に加入しておく。
車を運転する場合の注意事項
交通事情が悪いので自動車の運転はできるだけ避けた方が賢明ですが、やむを得ず運転する際は次の点に留意してください。
- タイ国家警察は、飲酒運転を取り締まっており、飲酒運転により逮捕された場合には勾留罰金等の重い罪が課されます。
- バンコク市内やチェンマイ市内は一方通行の場所が多くあり、時間別の交通規則を採用していることから、通行方向や走行車線が一定せず複雑であるため、事前に走行ルートをよく確認するとともにタイの交通法規を遵守し安全運転に努める。
- バイクが車両の隙間をぬって走行しているため、車線変更の際は十分気をつける。車線変更時にウィンカーを出さない自動車が多いので危険予測運転を心掛ける。
- 車間距離不足による追突事故、車線変更時の接触事故が多いので、車間距離を十分取るようにする。
安全に暮らすために
治安情勢(外務省海外安全ホームページより)
下記は2018年11月現在の状況です。外務省海外安全ホームページ等を活用し、常に最新の状況を確認するようにしましょう。また、滞在中は常に治安情勢の変化に気を配り、新聞、テレビ、現地人等の情報にも注意してください。
最新情報
外務省より下記危険情報が発出されています。
危険情報
(2018/04/19)
- 危険レベル
- ソンクラー県(ジャナ郡、テーパー郡およびサバヨーイ郡を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続) - プレアビヒア寺院周辺地域(タイのシーサケート県とカンボジアのプレアビヒア州との国境地域東部)
レベル1:十分注意してください。(引き下げ) - 首都バンコク
レベル1:十分注意してください。(継続) - スリン県の一部(パノム・ドン・ラック郡およびガープ・チューン郡のカンボジアとの国境地域)
危険レベル解除
- ソンクラー県(ジャナ郡、テーパー郡およびサバヨーイ郡を除く)
- 1. 概況
-
近年、タイでは、反政府デモや集会がたびたび発生し、暴徒化することもあります。背景には2006年や2014年のクーデター等に見られる政情不安等があります。また、同クーデター後、民政移管のための議会下院総選挙が実施されると発表されては、何度も日程が延期されており、これに反発する一部国民による反政府デモが各地で散発的に行われています。
バンコクや中部のリゾート地等において爆弾事件が発生しており、2015年にはバンコクにおいて日本人が爆発に巻き込まれ負傷する事件も発生しています。
タイ南端のマレーシア国境付近の地域では、中央政府の支配に反抗するイスラム武装勢力によるとみられる襲撃・爆発事件等が頻発しています。主に警察、軍、刑務所等の職員や施設(公共交通機関)等がその標的となっていますが、これらにとどまらず、ホテル、ショッピングセンターなどが攻撃されることもあります。
タイとカンボジアの国境地域においては、両国の主張する国境線の相違により、一時期、軍同士の衝突が発生していましたが、現在は沈静化しています。しかし、一部の地域においては今後も衝突等不測の事態が発生する可能性が排除されません。
これまでに、タイにおいて日本人・日本権益を直接標的としたテロ事件は確認されていませんが、前記のように日本人が爆弾事件に巻き込まれて被害に遭う事件が発生しています。また、近年、シリア、チュニジア、バングラデシュにおいて日本人が殺害されるテロ事件が発生しています。また、テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、特に、近年では単独犯によるテロや、一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発していることから、こうしたテロの発生を予測したり未然に防ぐことが益々困難となっています。
このようにテロはどこでも起こり得ることおよび日本人が標的となり得ることを十分に認識し、テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。
- 2. 地域別情勢
-
- (1) タイ南部4県(ナラティワート県、ヤラー県、パッタニー県およびソンクラー県の一部(ジャナ郡、テーパー郡およびサバヨーイ郡))
レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)。(継続)
南部地域にはタイからの分離独立を標榜するイスラム武装勢力が存在し、これまでに同集団によるとみられる襲撃、爆発事件が続発しており、死傷者は、軍・警察関係者、教員を含む公務員やその他一般市民、外国人まで広く及んでいます。なお、2004年から2016年までに6,850人が殺害され、1万2,547人が負傷しています。
つきましては、これらの地域への渡航・滞在、および同地域を通過してのマレーシアへの越境等は、どのような目的であれ止めてください。 - (2) ソンクラー県(ジャナ郡、テーパー郡およびサバヨーイ郡を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
タイとカンボジアの国境地域においては、国境線、特に世界遺産プレアビヒア寺院(タイ側呼称:カオ・プラ・ウィハーン寺院)の領有をめぐって、両国の主張に相違が生じていました。既に国際司法裁判所(ICJ)は、同寺院をカンボジアに帰属するものとの判決を下していましたが、2008年にカンボジアが同寺院を世界遺産に登録するようユネスコに申請すると、タイはこれに反発し、軍事衝突も発生しました。2011年、ICJは同寺院周辺地域からの即時撤兵を両国に命じ、その後主立った衝突は発生していません。
つきましては、プレアビヒア寺院周辺地域の危険情報を「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」から「レベル1:十分注意してください」に引き下げますが、今後の政治情勢の変化等により再び緊張が高まる可能性は排除できず、渡航・滞在にあたっては引き続き十分な注意が必要です。
同地域への渡航・滞在を予定されている方は、最新の関連情報の入手に努めてください。
なお、一部地域では地雷の撤去作業が続いていることから、立ち入りが禁止されている場所には絶対に入らないでください。 - (3) プレアビヒア寺院周辺地域(タイのシーサケート県とカンボジアのプレアビヒア州との国境地域東部)
レベル1:十分注意してください。(引き下げ)
近年、タイでは、反政府デモや集会がたびたび発生し、暴徒化することもあります。背景には2006年や2014年のクーデター等に見られる政情不安等があります。
2013年11月以降の反政府デモにおいては、反政府活動の拠点や、デモ集会・行進の周辺における警官隊との衝突、発砲事件等で死傷者が出る事案が散発的に発生しました。
2014年5月、軍事政権が発足してからは治安維持に係わる、言論や集会の自由が制約される等の規制が続いています。
市内では爆弾が散発的に爆発しています。2015年8月、首都バンコク中心部のラチャプラソン交差点において爆発事件が発生し、外国人を含む20名が死亡、日本人1名を含む多数の負傷者が発生しました。また、同月、サートンピア(バンコク中心部チャオプラヤ川のタクシン橋付近の船着き場の水中)で爆発が発生しました(死傷者なし)。2017年5月、バンコク戦勝記念塔付近の軍関連病院内において爆弾が爆発し、25名が負傷しました。その他、民主記念塔付近、国立劇場付近、UNESCOの事務所付近で、それぞれ小型爆弾が爆発しています。
つきましては、首都バンコクへの渡航・滞在に当たっては、最新の情報の入手に努める等、不測の事態に巻き込まれることのないよう十分注意してください。
- (4) 首都バンコク
レベル1:十分注意してください。
タイ国内の政治情勢としては、2006年のクーデター以降、タクシン元首相を支持する勢力と、同元首相に反対する勢力との間で対立が解消されない状態が続いています。
2013年11月以降の反政府デモにおいて、反政府活動の拠点や、デモ集会・行進の周辺における警官隊との衝突、発砲事件等で死傷者が出る事案が散発的に発生しました。
2014年5月20日、陸軍が全国に戒厳令を発出、同22日には、陸軍司令官を中心とする「国家平和秩序維持評議会(NCPO)」が統治権を掌握する旨発表し、軍事政権が発足しました。
その後、戒厳令は2015年4月1日に解除されましたが、同日、暫定憲法第44条に基づくNCPO命令が発出されました。このNCPO命令において、引き続き、治安維持に係わる言論や集会の自由が制約される等の規制が存続しています。2015年8月17日夜、首都バンコク中心部のラチャプラソン交差点において爆発事件が発生し、外国人を含む20名が死亡、日本人1名を含む多数の負傷者が発生しました。また、翌18日昼午後1時20分ごろ、サートンピア(バンコク中心部チャオプラヤ川のタクシン橋付近の船着き場の水中)で爆発が発生しました(死傷者なし)。
2017年5月22日午前、バンコク戦勝記念塔付近の軍関連病院内において爆弾事件が発生し、タイ人25名の負傷者が発生しました。なお、4月5日には民主記念塔付近で、5月15日には国立劇場付近で、6月16日にはUNESCOの事務所付近で、それぞれ小型爆弾が爆発しています。
つきましては、首都バンコクへの渡航・滞在に当たっては、最新の情報の入手に努める等、不測の事態に巻き込まれることのないよう十分注意してください。
- (5) スリン県の一部(パノム・ドン・ラック郡およびガープ・チューン郡のカンボジアとの国境地域)
危険情報の解除
上記2(3)のとおり、タイとカンボジアの国境地域においては、両国の主張する国境線の相違による緊張状態が2008年から続いていましたが、近年は両国政府の外交努力等により、平穏な状況となっています。
とりわけスリン県においては、両国政府の政策として、スリン県在住のタイ国民に対して国境反対側のカンボジア領(オッドーミアンチェイ州)に限り、旅券を持たずして出入国が可能となるボーダーパスが発給される(カンボジア側も同様の制度あり)など、両国民の往来は活発です。
つきましては、スリン県の一部(パノム・ドン・ラック郡およびガープ・チューン郡のカンボジアとの国境地域)の危険情報「レベル1:十分注意してください。」を解除しますが、上記2(3)のとおり、一部地域では紛争時に敷設された地雷の確認・撤去作業が続いていることから、安全確保のため、立ち入りが禁止されている場所には絶対に入らないでください。
- (1)
- 3. 渡航・滞在に当たっての注意
-
タイにおいては、首都バンコクやリゾート地等において爆弾事件が発生しています。不測の事態に巻き込まれることのないよう以下の点に注意してください。
- 特定多数の人が集まる場所(観光施設、公共交通機関、レストラン、ショッピングモール等)、軍・警察をはじめとする政府関連施設や宗教関連施設などを訪れる際には、周囲への警戒を怠らないようにする。
- 審物や不審者等を察知した場合には、その場を離れるなど慎重な行動を心がける。
- 爆発が発生した場合、時間差で別の爆発が起きる可能性があるため、現場に近づかない。
渡航・滞在に当たっては、「安全対策基礎データ」や「安全の手引き」も参考に、危険を避けるよう行動してください。
また、外務省、在タイ日本国大使館、在チェンマイ日本国総領事館、現地政府機関、報道等から最新情報を入手するよう努めてください。
海外渡航前には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。3か月以上滞在する方は、在タイ日本国大使館または在チェンマイ日本国総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず在留届を提出してください。
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新安全情報や、緊急時の大使館または総領事館からの連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。近隣のミャンマー、ラオス、カンボジアおよびマレーシアにもそれぞれ危険情報が発出されていますので、そちらにも留意してください。
- ※ 詳細は、外務省海外安全ホームページをご覧ください。
テロについて
概況
2015年8月、首都バンコクにおいて爆発事件が発生し、20人が死亡、日本人1人を含む多数が負傷しました。現地当局によれば、実行犯数人が逮捕されましたが、未だに多くの関係者が逃亡しているとみられています。
また、2016年8月には、観光地であるプーケットやフアヒン等中南部7県において、連続爆発事件が発生しました。2004年以降、タイ南部において、イスラム分離独立主義系過激派の活動が活発化し、軍の武器庫襲撃・武器強奪事件、警察署襲撃事件、学校等への放火事件、空港、市場、歓楽街等での爆弾テロ事件、教師、仏教徒および公務員に対する殺害事件等が頻発しています。
各組織の活動状況
- タイ南部・分離独立派武装組織
- タイ南部で発生している事件の背景は不明な部分が多く、タイ南部で「パタニー王国」の復活を標榜する分離独立派武装組織のほか、地元マフィア等の犯罪組織の関与が指摘されています。タイ政府は、南部における治安情勢の回復を最重要課題の1つに掲げていますが、爆弾テロ事件や暗殺事件等は依然続発しており、事態が収まる兆しはみられません。報道等によれば、2004年から13年間で7,000人近くが死亡したとされています。
- ISIL(イラク・レバントのイスラム国)、ジェマ・イスラミーヤ等イスラム過激派組織
-
2002年10月のインドネシア・バリ島における爆弾テロ事件の発生を受けて、タイ治安当局は外国人が多く集まる観光地を中心に警戒を行ってきました。2015年8月のバンコクでの爆発事件や、近年の東南アジアにおけるイスラム過激派組織ISILに影響を受けたとされるテロ等の発生を受け、より警戒が強化されています。
現在、タイ政府は、国内にはISILやジェマ・イスラミーヤ(JI)等のイスラム過激派組織の活動はないとしていますが、ISIL関係者が複数名タイに入国したとの報道もあります。また、これまでJIによるテロ事件の発生は確認されていませんが、2003年、同組織の主要メンバーがタイで逮捕されています。
- バンコク
- バンコクにおいては2015年8月17日、中心部のラチャプラソン交差点において爆発事件が発生し、20人が死亡、日本人1人を含む多数が負傷しました。現地治安当局によれば、ウイグル人を主体とする組織犯罪集団による報復目的の犯行とされ、いまだに多くの事件関係者が逃亡しているとみられているため、引き続き注意が必要です。
日本人・日本権益に対する脅威
タイにおいては、日本人・日本権益がテロや誘拐の直接の標的にされる可能性は低いとみられていますが、2015年8月のバンコクにおける爆発事件においては日本人も被害に遭いました。
また、近年、シリア、チュニジア及びバングラデシュにおいて日本人が殺害されるテロ事件があったほか、英国、フランス、ドイツ、ベルギー、トルコ、インドネシア、フィリピン等、日本人の渡航者が多い国でもテロ事件が多数発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。
このような情勢を十分に認識して誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報および報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。
誘拐について
2016年には誘拐事件は1件発生しましたが、日本人を対象とした誘拐事件は確認されていません。
その他一般犯罪の発生状況
タイ警察が発表した2017年の犯罪統計によれば、殺人事件(未遂含む)が3,900件、傷害事件が1万390件、強姦事件が2,279件、強盗事件が140件、盗難事件等が2万8,270件発生しています。また、銃器不法所持事案では2万4,039人、薬物犯罪事案では27万1,535人が検挙されており、薬物や銃器の氾濫が殺人事件(未遂を含む)などの凶悪事件の多発の要因とも言われています。
タイにおいて日本人が巻き込まれる被害の多数は窃盗、詐欺等ですが、近年、日本人が殺人事件・強盗致傷事件などの凶悪事案に巻き込まれる事例も報告されています。タイにおける凶悪事件発生率は、日本と比べても非常に高い水準で推移していますので、十分注意してください。
犯罪多発地域
バンコク都内では、特に旅行者が集まる観光スポットや繁華街、デパート等大型商業施設周辺、若い単独旅行者が利用するゲストハウス(安宿)周辺において、犯罪が多発しています。
チェンマイ市内でも、旧市街を中心に旅行者を狙った犯罪が発生しています。特に夜の繁華街では十分な注意が必要であり、カラオケ店でのぼったくり被害も発生しています。不用意に狭い路地へ入り込むことは危険です。
日本人の被害状況
タイ国内、特に首都バンコクにおいて、日本人が犯罪被害に遭う例が後を絶ちません。これらに共通するのは、タクシーや三輪タクシー(トゥクトゥク)等の運転手を含め、見知らぬ人物から声を掛けられたときや、安易に話に乗ったことが被害に遭うきっかけとなっています。自分は海外にいるのだということを自覚し、見知らぬ人物から声を掛けられた際には十分警戒し、軽々しく信用しないことが肝要です。
最近の報告に基づく主な事案は以下のとおりです。
スリ
- 市場などの人ごみや電車内などで複数の人物に取り囲まれ、鋭利なものでバッグを切られ、または鞄のチャック等を開けられ、財布等の貴重品を盗まれる。
- 歩行中、数名の女性・女装をした男性がなれなれしく身体に触れたり、抱きついたりして気をそらせ、ポケットから財布等の貴重品を盗む(抱きつきスリ)。
- 注意点
- 混雑した場所ではバッグは体の前に持ち、また財布や貴重品は、ズボンの後ろポケットやバッグのすぐ取り出せるところに入れない。
- 風俗店の多い繁華街を歩く際には、スリに気をつける。
ひったくり、強盗
- 歩行中2人乗りのバイクがすれ違いざまに手提げカバンやショルダーバックをひったくり逃走する(前から来るバイク、後ろから来るバイクを問わない)。
- トゥクトゥクに乗車中、後方から来たバイクがバッグなどをひったくり逃走する。
- ソンテオ(乗合タクシー)の助手席(タクシー運転手の隣)に乗車したところ、人気のない場所で、タクシー運転手にナイフで脅され、現金等を強取される。
- 注意点
- 歩行する際はバッグを道路と反対側に持つようにする。
- トゥクトゥク、シーロー等に乗車中は荷物を体から離さない。
- 特に夜間は、1人でソンテオに乗車することは避け、どうしても乗車する必要がある場合には、他の乗客が乗車する車両を選択するか、後部座席に乗車する。
置き引き
- レストランやフードコートにおいて、座席の背もたれに荷物をかけ、食事をしていたところ、ほんの僅かの隙に何者かに持ち去られる。
- 公園等でベンチに座った際、横に荷物を置いて読書等をしていたところ、いつの間にか荷物がなくなっている。
- 注意点
- どのようなときでも、荷物は自分の見えるところに置き、貴重品は体から離さない。
睡眠薬強盗
パブなどから連れ出した女性や、親しげに声をかけてきた人物と飲食をしていたところ、飲み物に睡眠薬等を入れられ、眠り込んだところで金品を盗まれる。このとき、朦朧としているが、昏睡するわけではないため、犯人が言うままにキャッシングをさせられるケース、またその後、被害者がバンコク都内から地方の県に運ばれ、路上に放置されたというケースもある。
- 注意点
- その日に出会った相手と飲食をするときは、常に自分の飲み物に注意を払う。
性犯罪
- 夜間、女性が1人でタクシーやバイクタクシーに乗車した際に、車内で運転手からけん銃やナイフなどの凶器で脅かされたり、わいせつ目的で連れ回される。
- 旅先で親しくなった男性から突然わいせつ行為を受ける(特にビーチリゾート)。
- 注意点
- 夜間、不必要に出歩かないこと。どうしても出かける必要がある場合には、なるべく1人歩きを避け、遠回りでも幹線道路など明るくて広い通りを利用するとともに、肌を露出した服装をしないことや、相手が勘違いするような態度を取らない。
詐欺
- 親しげに「日本人ですか?今度日本に行きます。家族が日本に住んでいます。円のレートを教えてください。その前に日本円を見せてください。」など英語と日本語を話しながら、近づいてくる。会話中に財布の中から現金が抜き取られる(見せ金詐欺)。
- 友人や知人になりすまして個人情報を聞き出し、SNSアカウントを乗っ取られ、登録されている友人にWEBマネー等を送って欲しいというメッセージが勝手に送信される(SNSアカウント乗っ取り詐欺)。
- インターネット上で知り合った異性から、恋愛、結婚等をちらつかされ、さらに「指定する銀行口座に振り込んで欲しい」などと言われ、現金を振り込ませられる(ロマンス詐欺)。
- 外国軍兵士を名乗る人物から荷物を送るので預かって欲しい等の連絡があり、途中で税関に止められたので税金の立て替えを求められる(ロマンス詐欺)。
- タクシーやトゥクトゥクの運転手が、有名な観光スポットである王宮や寺院等の周辺で声を掛け、宝石店や洋服(オーダーメードのスーツ等)店に連れて行く。店では「貴重な宝石です。日本で高く売れます。」や、「カシミア(タイシルク)100%のスーツ(シャツ)です。」などと言われるが、実際には粗悪品であることが多い(オーダーメード詐欺)。
- 団体(5~10名程度)でレストランの個室を利用したところ、店員になりすました人物が注文をとったり会計をしたが、実は店員ではなかった。店側は客側のガイドだと思っていた(レストラン店員のなりすまし詐欺)。
- ゴルフ場において、シャワーを浴びている間に、ロッカーのカギを開けられ、財布の中からクレジットカードが抜き去られる。すぐには犯行が分からぬよう、現金はそのままで、他人名義のカードにすり替えられる(クレジットカード抜き去り詐欺)。
- 注意点
- 「日本円を見せてください」等と言われたら、応じない。
- ID・パスワードの使い回しをせず、定期的に変更する。
- 会ったこともない相手から「銀行口座に振り込んで欲しい」等と言われたら、応じない。
- 宝石やオーダースーツなどの高級品は、事前に店舗を調査し、定評のある店を選んで購入する。
- 店員を示す名札の確認、支払いの際は請求(注文)書の内容を確認し、領収書を必ずもらう。
- 今一度手持ちのクレジットカードの名義を確認。
- ゴルフ場での財布の取り扱いには十分気を付ける。
防犯対策
近づかない
犯罪が発生する可能性のある場所に「近づかない」ことが重要です。特にバンコクにおいては、歓楽街や繁華街やスラム街が混在します。それらに近づかなければ、犯罪被害に遭う確率は格段に下がります。特に「夜間、近づかない」と覚えてください。
慌てない
不幸にも犯罪が身に降りかかってきた場合の対処です。例えば、タクシー強盗などに金銭を強要された場合、慌てずに冷静に対処し、生命を第一に考え、相手の要求に抵抗しないことが安全策であることがあります。
楽観視しない
一般的に他の外国に比較して「タイは安全、治安が良い」と言われていますが、2015年には、市街地における爆発事件等が発生しています。「タイなら大丈夫、安全」と思い込んで、タイの犯罪情勢を楽観視してはいけません。
不測の事態が発⽣したときには、家族等の依頼を受け⼤使館より安否確認の連絡をする場合がありますので、滞在先等は必ず家族に連絡しておく等、常に所在を明確にしておくようにしてください。
⾮常事態が発⽣したと思われるような場合や、外出中に不測の事態に遭遇した場合は、⾃宅か職場等の安全な場所に戻り、事態が静まるまで待機してください。また、必ず⽇本国⼤使館に連絡してください。
緊急時の連絡先
安全のために、普段から予防対策を心掛けておくことが重要ですが、いざ事が起こったときのことを想定して、その時に被害を最小限にするための対策を講じておくことも大切です。緊急連絡先はメモしておき、家族それぞれが持つような努力が必要です。
警察・消防・救急
- 警察:TEL 191(救急車の要請も可能)
- 観光警察:TEL 1155(英語可)
- 消防署:TEL 199
- 出典:
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