トルコの生活情報や医療事情
トルコの基礎知識
名称 | トルコ共和国 | 日本国(ご参考) |
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面積 | 78万576㎢ | 37万8,000㎢ |
人口 | 7,981.4万人 | 1億2,659万人 |
首都 | アンカラ | 東京(人口1,383.2万人) |
通貨 (2018年9月) |
新トルコ・リラ (1トルコ・リラ=約19.03円) |
円 (1米ドル=113.51円) |
時差 | -7時間 (サマータイム実施時は-6時間) |
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言語 | トルコ語 | アルタイ語系の日本語 |
民族 | トルコ人 (南東部を中心にクルド人、その他アルメニア人、ギリシャ人、ユダヤ人等) |
アジア人種の日本民族・朝鮮人・中国人・北海道に少数のアイヌ人 |
宗教 | イスラム教(スンニ派、アレヴィー派)が大部分を占める。 その他ギリシャ正教徒、アルメニア正教徒、ユダヤ教徒等。 |
仏教・神道・キリスト教 |
気候 | トルコの気候は、下記の4つに区分されます。
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南部は温帯気候、北部は冷帯気候。モンスーンの影響が強く、6~8月は南東モンスーンにより多量の雨がもたらされる。11~3月は大陸からの北西モンスーンにより、北部は厳しい寒さとなり、日本海に面した地域には多量の雪が降る。 |
代表的な 都市の気温 |
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電化製品 |
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在留邦人数 | 1,791人(2017年9月) | – |
出国・入国するときの注意事項
下記は2018年9月現在の情報です。最新情報については、外務省・在⽇トルコ⼤使館等のウェブサイトを参照してください。
査証(ビザ)
日本とトルコの間には査証免除取り決めがあり、観光や会議への出席などを目的とする3か月以内の短期滞在については査証不要です。また、2012年2月から滞在許可証(イカメット)の発給を受けない短期滞在者の滞在期間は「180日間内で合計90日間を超えないものとする」と改定されています。90日の滞在期限前に一度トルコから出国し再入国しても、上記180日間内に合計90日間を超えての滞在はできません。
渡航目的が就労、留学などの場合は査証が必要となりますので、在日トルコ大使館に確認してください。
外貨申告
外貨の持込みに関しては特に制限はありません。ただし、合計5,000米ドル相当以上のトルコ通貨や外貨を持ち出すことは禁じられています。米ドル、ユーロの両替は、銀行、主要ホテル、両替所にて容易に可能です。トラベラーズチェックによる両替が可能な場所は、トラベラーズチェック発行会社と提携した銀行の特定支店等、非常に限られるため一般的ではありません。イスタンブールの観光客が多く訪れる地区では日本円の両替も容易ですが、その他の都市では日本円の両替可能な両替所はごくわずかしかありません。
通関
持込み禁止品としては、銃器、火薬類、麻薬、覚醒剤、ポルノビデオ・雑誌などが挙げられます。また、芸術・美術品(手製のじゅうたんを含む)等の持出しには当局の許可が必要です。
長期滞在者は入国時にテレビ、ビデオデッキ、ラジカセ等の電気製品類、骨董品、高級じゅうたん等を持ち込む場合、申告する必要があり、パスポートに記録され、持ち出しが義務付けられます。
現地に到着したら
在留届
旅券法第16条により、外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在する日本人は、住所または居所を管轄する日本の大使館または総領事館(在外公館)に「在留届」を提出するよう義務付けられています。住所等が決まりましたら、必要事項を記入の上、速やかに最寄りの在外公館へ提出してください(世帯ごとに届出をすることもできます)。
提出はFAXまたは郵送、インターネットで可能です。提出にあたっては、「在留届」用紙の注意事項をよく読んで提出してください。
- ※ 住所その他届出事項の変更およびトルコを去る(一時的な旅行を除く)ときはその旨の届出(変更および帰国届)を行ってください。
在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者(海外旅行者・出張者など)についても、現地での滞在予定を登録できるシステムとして、2014年7月より外務省海外旅行登録「たびレジ」の運用を開始しています。登録者は、滞在先の最新の海外安全情報や緊急事態発生時の連絡メール、また、いざというときの緊急連絡などの受け取りが可能です。
注意が必要な生活環境
各種取締法規
写真撮影
軍や警察関係施設での記念撮影等はあらかじめ許可を得る必要があります。許可を得ないで撮影しているのを発見された場合は、逮捕・勾留されることもあります。また、要人の滞在するホテルの周辺など特別な警備が施されている場所では、警察官から撮影を禁止される場合もあります。博物館や美術館での撮影は、あらかじめ施設管理者に確認してください。
麻薬
トルコは欧州や中東産油国への薬物密輸のルートとなっているため、薬物犯罪の厳しい取締りが行われています。薬物の不法所持には厳罰が科されます。薬物犯罪に巻き込まれないために、誘いかけには絶対に興味を示さないこと、他人から日本や他国への荷物の運搬を頼まれても絶対に引き受けないことなど注意が必要です。なお、鎮静剤等の医薬品で麻薬類の成分を含有するものを入国の際に持ち込む場合には、嫌疑を避けるため、医師の診断書・使用許可証等を持参することをお勧めします。
就労許可
就労査証を取得しない就労者は不法就労として扱われ、国外退去処分などを受けます。
飲酒
飲酒は都市部や観光地では比較的自由で、酒類を提供するレストランもあるほか、商店でも購入可能です。ただし、飲酒運転、泥酔・酩酊するなどの他人への迷惑行為は処罰の対象となります。
子の連れ去り
トルコは、国境を越えて不法に連れ去られた子の返還の仕組み等を定める「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(ハーグ条約)」の締約国です。一方の親の監護権を侵害する形で子どもを常居所地国であるハーグ条約締約国から他のハーグ条約締約国へ連れ去りまたは留置した場合は、原則的に子が常居所地国に返還されることとなります。
滞在許可証
90日を超えて滞在する場合は、各県の移民局に必要書類を提出して、滞在許可証を申請する必要があります。各県の滞在許可証発行事務には少なからず差異があり、許可取得まで相当期間を要する場合もあります。また、子どもも取得する必要があります。滞在許可証を取得せずに滞在していた場合、不法滞在として扱われ、罰金等の処罰が科され、場合によっては国外退去処分を受けることがあります。
身分証明書の携帯
滞在許可証を取得した場合は、身分と合法的滞在を証明するものとしてパスポートおよび滞在許可証を常時携帯することが義務づけられています。また、記載事項に変更が生じた場合には、同許可証に記載されている注意書きに従ってこれを届出する必要があります。
3か月以内の短期滞在で滞在許可証を取得していない場合は、パスポートを常に携行する必要があります。
外国人の政治活動
一般的に反国家的な政治関係出版物・活動、政治犯に対する取締りは厳しく、過去、禁止された宗教団体のメンバーと接触した日本人留学生が当局から監視されたケースや政治団体事務所を訪問した日本人旅行者が当局より質問を受けた事例があります。
デモなど示威行動に対する警察の規制は厳しく、参加者が少しでも警察官に手を出したりすると放水や催涙ガスを使用して鎮圧に当たることもありますので、デモ等には絶対に近づかないでください。
骨董品の国外持ち出し禁止
骨董品の国外持出しは禁止されており、罰金または4年から10年の懲役刑が科されます。一般の土産店等で骨董品らしき物品を購入する際には注意が必要です。
シリアとの国境地帯往来
シリアとの国境地帯においては、トルコ当局によるテロ組織関係者の取締りが強化されています。また、2018年1月20日から、トルコ軍はシリア・アフリンにおいてオリーブの枝作戦を実施しています。また、同地帯におけるトルコ側の国境検問所は閉鎖されており、シリアからの入国は原則認められませんのでご注意ください。
その他
トルコ共和国建国の父、ケマル・アタテュルク初代大統領を冒涜するような行為(批判、悪口など)は処罰の対象となります。過去に日本人観光客が、小学校の校庭に設置しているケマル・アタテュルクの胸像の頭部にトマトを載せて写真撮影したところ、警察に一時身柄を拘束された事例もあります。
風俗・習慣・国民性
国民のほとんどがイスラム教徒ですので、イスラム教に対する批判はもちろんのこと、宗教論議は行わない方が無難といえます。
食事・服装については、主として農村部や南東部県等、宗教色の強い保守的な地域では、肌を過度に露出するような服装は控えた方が無難です。また、モスク(寺院)など宗教的な施設を訪れる際には、女性は頭にスカーフの着用を求められます。
イスラム教では、金曜日が集団礼拝の日とされており、その機会を利用して、政治的スピーチやデモが行われ、それが大規模化、暴徒化する場合があります。また、その際、モスク等宗教施設やデモ等を狙ったテロや襲撃が行われることもありますので、特に金曜日には不用意に宗教施設等に近づかないようにしてください。
健康・医療
トルコ(イスタンブール)で過去に発生した保険請求事故実例
- レストランで転倒し足の付け根を傷める。大腿骨頚部骨折と診断され9日間入院・手術。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。
- 治療・救援費用 保険金支払額:
- 6,618,377円
- 石畳につまづき転倒。足首脱臼・くるぶし骨折と診断され8日間入院・手術。家族が駆けつける。医師が付き添い医療搬送。
- 治療・救援費用 保険金支払額:
- 5,917,094円
医療事情
医療機関の診療および設備の質は低くありませんが、医療サービスの質が低く、英語を理解する医療職は少なく、受診の際はトルコ語の通訳が必要です。なお、救急外来を24時間受診できる医療機関があります。医療費は欧米並みに高額ですので、事前に海外旅行傷害保険への加入をお勧めします。
注意を要する病気
食中毒
レストランでの氷や生サラダ、路上販売の食品は食中毒の原因になりやすく注意が必要です。飲料水はミネラルウォーターのみとしてください。肉、魚は中までよく火が通ったものを食べましょう。下痢、腹痛、発熱の際は病原性大腸菌等による食中毒が疑われます。抗生物質の服用が必要となることがあります。
狂犬病、A型肝炎、B型肝炎、腸チフス、結核
狂犬病、食事から感染するA型肝炎と腸チフス、性行為・刺青・ピアスで感染するB型肝炎、咳で感染する結核に注意しましょう。毎年、狂犬病による死者が発生しています。大型の野犬が多く徘徊しており、特に子どもは咬まれただけでも重症になりやすく、犬も含めて決して野生動物には近寄らないようにしましょう。もし犬に咬まれたら狂犬病の予防接種センターで暴露後ワクチンを受けましょう。
クリミア・コンゴ出血熱ウイルス
近年、クリミア・コンゴ出血熱による死者が報告されています。クリミア・コンゴ出血熱ウイルスは、マダニによって媒介されるため、主にマダニの活動が活発となる春から初夏にかけ、「特に」黒海沿岸地域で発生しています。観光地や都市部では定期的に薬剤散布をしていますが、草むらや公園の芝生等を訪問した後は、ダニが体に付いていないか確認することをお勧めします。ダニに咬まれているのを発見した場合は、自分で取り除かず、医師の診察を受けてください(取り除き方を誤るとダニの一部が体内に残り、そこからウイルスが流入して感染する恐れがあるため)。
予防接種
成人
- 破傷風トキソイド:1回、10年毎に追加接種
- A型肝炎:3回、追加接種必要なし
- B型肝炎:3回、追加接種必要なし
- 腸チフス:1回、3年毎に追加接種
- 狂犬病:3回、3年毎に追加接種
- 季節性インフルエンザ:1回、毎年
小児
- 結核(BCG):1回、追加接種必要なし
- ロタウイルス:2~3回、追加接種必要なし
- 百日咳・ジフテリア・破傷風・ポリオ(DPT-IPV):4回、追加接種必要なし
- インフルエンザ菌B型(Hib):4回、追加接種必要なし
- 肺炎球菌(PCV13):4回、追加接種必要なし
- 麻疹・風疹(MR):2回、追加接種必要なし
- おたふく風邪(流行性耳下腺炎、ムンプス):2回、追加接種必要なし
- 水痘:2回、追加接種必要なし
- B型肝炎:3回、追加接種必要なし
- A型肝炎:3回、追加接種必要なし
- 腸チフス:1回、3年毎に追加接種
- 狂犬病:3回、3年毎に追加接種
- ヒトパピローマウイルス:3回、追加接種必要なし
- 季節性インフルエンザ:1~2回、毎年
健康上、心掛けること
トルコは日本の東北地方の北緯に位置します。朝夕の温度変化が大きく天候が変化しやすく、夏場は40度近くまで暑くなり冬場は-5度近くまで寒くなります。湿度が20~30%と乾燥していますので、保湿クリームや目薬を使用すると良いでしょう。夏場は40度以上に暑くなりますので日焼け止めや熱中症にも留意が必要です。風邪をひかないためにうがいと手洗いをすることも大切です。
市街地では、冬季の空気乾燥や、暖房による空気汚染により、のどを痛めたり風邪をひいたりすることがありますので、注意してください。
夏季には食中毒による腹痛や下痢を訴える人が多くいます。飲用には水道水を避け、栓の開いていない市販のミネラルウォーターを利用するようお勧めします。また、レストラン等では氷に水道水を使用している可能性がありますので、避けることをお勧めします。さらに、生野菜は高級レストラン以外では口にしない方が無難です。なお、客の少ないレストランでは、古い食材を使っている可能性もありますので注意してください。
海外⽣活不適応について
気候、⽣活習慣、⾷事、治安状況、⼈種、宗教、⾔葉の違いは、適応に相当な努⼒を要します。うまくいかないと不適応症候群となり、精神⾯のみならず胃腸系や循環器系に変調をきたします。きまじめなタイプや完全主義者に陥りやすい傾向があります。適応には時間がかかること、誰でも⼀度は通る道であることを認識してあせらないことが肝⼼です。疲れたときは無理せず、⼗分な休養、時には⻑期休暇が必要です。
特に家族で赴任されている⽅はご家族のメンタルヘルスにも気を配ってあげて、できるだけ不満や愚痴を聞いてあげるようにしてください。
交通事情
一般的な交通事情
警察の発表によると2015年の交通事故総件数は約130万件で、死亡者は7,530人、負傷者は30万4,421人となっています。交通マナーも良いとはいえず、信号無視、一方通行の逆走、猛スピードで乱暴な運転をする車両が多数見受けられます(特にタクシー、ドルムシュと呼ばれるミニバス)。事故に巻き込まれないよう細心の注意を払う必要があります。
運転免許証について
2016年1月1日よりトルコの運転免許制度が変更になりました。
- 日本の運転免許証所持者
- 大使館および総領事館の発給する抜粋証明(運転免許証の翻訳)を携行することにより、入国後6か月のみ運転可能。
- トルコの運転免許証所持者
- 2020年までに一度切り替えが必要で、以後更新が必要。
- トルコの運転免許証も国際運転免許証も取得しておらず6か月以上の滞在
- トルコの運転免許証を教習場で取得して運転する。
以前は日本の運転免許証をトルコの運転免許証へ切り替えることができましたが、現在はできなくなっていますのでご注意ください。また、国際運転免許証所持者は、今までどおりその有効期間運転できます。
交通事故について
もし事故を起こした場合、あるいは巻き込まれた場合は、現場を動かしたり離れたりせず、直ちに警察を呼んで、その到着、指示を待ってください。事故に巻き込まれた場合には、警察官の実況見分が終わって、先方の当事者と警察官が現場を離れるのを確認してから現場を離れてください。先に離れると、相手方が自己に都合のいいように調書を書き直してもらうよう警察官に要求するなどの便宜を図らせる可能性があります。
2008年4月から物損交通事故の新処理システムが実施され、事故当事者全員が同意し指定の様式を作成した場合、警察の介入を要請する必要がなくなりました。しかし、事故現場において、トルコ語で自己の言い分を主張し他の当事者を納得させ事故状況レポートを作成することは、難しいと思われますので、物損交通事故の場合であっても、これまでと同様に警察を要請することをお勧めします。
車を運転する場合の注意事項
トルコは、道路事情が悪い上に交通事故も多く、交通環境は良好ではありません。市街地の道路には、配管工事の際に掘られた跡がそのまま放置され、ところどころ凹凸があったりするなど、これらにタイヤを取られないよう運転には注意が必要です。また、郊外の道路は、照明が不十分なので、夜間の運転には特に注意が必要です。
交通マナーも非常に悪く、信号無視、一方通行逆走、猛スピードで乱暴な運転をする車両が多数見受けられます(特にタクシー、「ドルムシュ」と呼ばれるミニバス)。事故に巻き込まれないため、自己防衛に細心の注意を払う必要があります。
市街地でも信号と横断歩道の位置関係がわかりにくく、明らかに車両が歩行者より優先しており、道路を横断しようとしている歩行者を見つけて停止する車はほとんどいないので、街中を歩いて移動する際も十分な注意が必要です。また歩行者自身のマナーも決して良いとはいえず、赤信号であっても、車両の間を縫うようにして道路を横断するため、運転の際は注意が必要です。
郊外の道路は、比較的交通量も少なく、一見走りやすい道路が多いですが、その分スピードを出す車も多く、対向車線にはみ出して無理な追い越しをかける車もみられます。ウインカーを出さずに右左折することも頻繁です。また、見通しの悪い丘陵の頂上などは、突然対向車が現れることもあるので要注意です。
安全に暮らすために
治安情勢(外務省海外安全ホームページより)
下記は2018年9月現在の状況です。外務省海外安全ホームページ等を活用し、常に最新の状況を確認するようにしましょう。また、滞在中は常に治安情勢の変化に気を配り、新聞、テレビ、現地人等の情報にも注意してください。
最新情報
外務省より下記危険情報が発出されています。
危険情報
(2018/9/14)
- 危険レベル
- シリアとの国境地帯、イラクとの国境地帯の一部
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続) - ディヤルバクル県およびイラクとの国境地帯(レベル4の地域を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続) - ハッカーリ県、シュルナク県、ハタイ県、キリス県、ガジアンテップ県、シャンルウルファ県、マルディン県(シリアおよびイラクとの国境地帯を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続) - イスタンブール県、アンカラ中心部(チャンカヤ区、イェニマハッレ区、エティメスグトゥ区、ママック区、アルトゥンダー区、ケチオレン区、ギョルバシュ市)およびエセンボア空港、東部11県(トゥンジェリ、エラズー、ビンギョル、ムシュ、ビトリス、ヴァン、ウードゥル、カルス、アール、エルズルム、エルジンジャン)および南東部3県(バトマン、シールト、アドゥヤマン)
レベル1:十分注意してください。(継続)
- シリアとの国境地帯、イラクとの国境地帯の一部
- ポイント
- イスタンブールにおいては2017年1月1日のISILによるテロ事件以降、大きなテロは発生していませんが、テロ関係者の拘束が継続しています。最新の治安関係情報を入手するようにしてください。
- 2018年1月20日から実施されたトルコ軍による「オリーブの枝」作戦により、シリア北西部アフリーン地区から、クルド人民防衛隊(YPG)等のクルド系武装組織が一掃されましたが、シリアとの国境地帯、イラクとの国境地帯の一部の地域は、テロ、誤爆、流弾等の危害が及ぶ可能性が排除されません。どのような目的であれ渡航は止めてください。既に滞在中の方は退避してください。
- ディヤルバクル県およびイラクとの国境地帯は、治安当局を狙ったテロや治安当局と「クルディスタン労働者党」(PKK)との衝突が発生しています。どのような目的であれ渡航は止めてください。
- 1. 概況
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シリア情勢の悪化に伴い、現在トルコには約350万人のシリア難民が居住し、その中には、イスラム過激派組織ISIL関係者も紛れ込んでいるとみられています。2017年1月にイスタンブールのナイトクラブにおいてISILによるテロが発生して以降、南東部を除き死者を伴う大きなテロは発生していませんが、トルコ政府は引き続きISILの取締りを実施し、多くのISIL戦闘員および関係者が拘束されています。今後も最新の治安情報の入手に努めてください。
トルコ政府は、イラク北部およびトルコ国内のPKKに対する空爆を実施するとともに、国内での取締りを継続しています。2016年以降、イスタンブールやアンカラにおいて、PKKの関連組織とみられる「クルディスタン解放の鷹(TAK)」によるテロ事件も発生しています。2016年12月に、イスタンブール中心部のサッカースタジアム付近でTAKによる自爆テロが発生し、多くの死傷者が出たほか、2017年1月には、イズミルの裁判所前において2名が死亡するPKKによる自動車爆弾テロ事件が起こりました。トルコ政府による対PKKオペレーションにより現在も南東部・東部を中心とした各地で多くのPKK関係者が拘束されるともに、爆薬や銃器等が押収されています。また、2018年1月20日からトルコ軍によるシリア北西部のアフリーン地区において、PKK関連組織とされるYPG等のテロ組織を一掃するための「オリーブの枝」作戦が実施されています。これに伴いYPGがシリアから放ったロケット砲がハタイ県レイハンルに着弾し市民に死傷者が出ました。今後もPKK関係者等によるテロが発生するおそれがあります。なお、トルコ政府は7月1日時点で、4,513人のテロリストを無力化したと発表しました。
2015年初頭以降、左翼系反政府武装組織「革命人民解放党/戦線」(DHKP/C)による、主に警察等政府機関がターゲットとなるテロ事件が多く発生しましたが、2017年以降、同組織によるテロは発生していません。但し治安当局の対テロ作戦により、同組織関係者の検挙が続いています。
2016年7月15日に発生したクーデター未遂事件に対する捜査が継続しており、多数の軍・治安当局関係者等が拘束され、クーデターを企てたとされるフェトフッラー・ギュレン運動関係者に免職等の処分が科されています。2016年7月20日に発出された非常事態宣言は、7回にわたって延長されてきましたが、2018年7月19日午前1時に終了しました。トルコ政府は、引き続きテロ対策を継続すべく新たにテロ対策法を制定しています。同法はテロに対する治安機関の権限強化を目的としており、基本的に治安や一般の市民生活に対する影響はありません。
トルコ国内では、政情や社会情勢を受けて、デモや抗議活動が突発的に行われることがあります。それに対し、警察当局も放水銃や催涙ガス等を使用し、強制的に排除する場合もあるため、デモ等に近づくことは非常に危険です。
これまでに、トルコにおいてテロによる日本人の被害は確認されていませんが、近年、シリア、チュニジア、バングラデシュにおいて日本人が殺害されるテロ事件が発生しています。また、テロは、日本人が数多く渡航する欧米やアジアをはじめとする世界中で発生しており、特に、近年では単独犯によるテロや、一般市民が多く集まる公共交通機関等(ソフトターゲット)を標的としたテロが頻発していることから、こうしたテロの発生を予測したり未然に防ぐことが益々困難となっています。
このようにテロはどこでも起こり得ることおよび日本人が標的となり得ることを十分に認識し、テロの被害に遭わないよう、海外安全ホームページや報道等により最新の治安情報の入手に努め、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心がけてください。
- 2. 地域別情勢
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- (1) シリアとの国境地帯、イラクとの国境地帯の一部
レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)(継続)
2018年1月20日からトルコ軍によるシリア北西部アフリーン地区からクルド系武装組織を一掃するための「オリーブの枝」作戦が実施されました。同作戦により、アフリーン地区は制圧されたものの、いまだトルコ軍とYPG等クルド系武装組織との対立は続いており、テロ、誤爆、流弾等により一般人に被害が及ぶ可能性も排除できません。
- 2018年1月22日、YPGがシリアから発射したロケット弾がハタイ県クルクハンに着弾し、1名が死亡、2人が負傷。
- 2018年1月22日、YPGがシリアから発射したロケット弾がシャンルウルファ県ジェイランプナルに着弾し、兵士1人が負傷。
- 2018年1月22日、シリアから発射されたロケット弾5発がキリス県に着弾したものの、死傷者はなし。
- 2018年1月24日、シリアから発射されたロケット弾がキリス県のモスクに着弾し、2人が死亡、6人が負傷。
- 2018年2月1日、YPGがシリアから発射したロケット弾がハタイ県レイハンルに着弾し、少女が死亡。
- 2018年3月19日、YPGがシリアから発射したロケット弾がハタイ県レイハンルに着弾し、少女が死亡。
- 2018年3月19日、シャンルウルファ県ジェイランプナルの国境監視所がYPGによりシリアから発射されたロケット弾による攻撃を受ける。これに対するトルコ側の反撃によりテロリスト23人が死亡。
- 2018年5月9日、マルディン県ヌサイビンのシリア国境付近においてトルコ治安部隊の銃撃によりテロリスト2人が死亡。
- 2018年5月26日、マルディン県ヌサイビンにおいて、国境警備隊への攻撃を企図したPKK戦闘員2人がトルコ側の攻撃により死亡。
また、シリア国境地帯においては、シリア情勢の悪化を受けて多くのシリア難民が居住しています。トルコ政府は国境管理を強化していますが、ISIL関係者が難民に紛れ込みトルコ国内に流入している可能性が指摘されています。国境地帯の情勢は流動的であることに鑑み、今後もテロ、誘拐等の発生に警戒する必要があります。
つきましては、同国境地帯への渡航は、どのような目的であれ止めてください。また既に滞在している方は、直ちに同地帯から退避してください。
参考:「トルコにおけるシリアとの国境付近での取材に際する注意喚起について(その2)」 - (2) ディヤルバクル県およびイラクとの国境地帯(レベル4の地域を除く)
レベル3:渡航は止めてください。(渡航中止勧告)(継続)
ディヤルバクル県においては、2015年7月以降、現在に至るまでPKKによる軍や警察等の治安当局に対するテロ攻撃や、治安当局による摘発の際の武力衝突等が発生しています。
また、対PKKオペレーション実施のために、不定期に一部の郡において外出禁止令が発出されることがあります。- 2018年3月14日、ディヤルバクル県ディジレにおいて実施された対PKKオペレーションにおいて、PKKが仕掛けた爆弾により2人が死亡、5人が負傷。
- 2018年3月19日、ディヤルバクル県ハニにおいて、PKKの攻撃を受けて兵士2人が死亡。
- 2018年4月25日、ディヤルバクル県リジェにおいて実施された対PKKオペレーションにおいて、PKKの攻撃により兵士1人が死亡、4人が負傷。
- 2018年5月31日、ディヤルバクル県ハニにおいて、治安当局による捜索活動中、PKKの攻撃により治安当局側1人が死亡。
イラクとの国境地帯にあるハッカーリ県、シュルナク県の南部には、PKKの拠点があります。PKKは2013年3月、停戦宣言を行い、トルコ政府との間で和平プロセスを推し進め、一旦は武力衝突が沈静化しました。しかし、2015年7月以降和平プロセスは停止し、PKKに対する掃討作戦が継続しています。
- 2018年2月3日、ハッカーリ県チュクルジャにおいて、PKKによるロケットランチャー攻撃により、兵士1人が死亡。
- 2018年6月20日、ハッカーリ県チュクルジャにおいて、PKKによる軍車両に対するロケットランチャー攻撃により、兵士2人が死亡、1人が負傷。
つきましては、これらの地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。
- (3) ハッカーリ県、シュルナク県、ハタイ県、キリス県、ガジアンテップ県、シャンルウルファ県、マルディン県(シリアおよびイラクとの国境地帯を除く)
レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続)
2015年夏以降トルコ南東部・東部においてPKKによる軍や警察等の治安当局へのテロ攻撃が頻繁に発生しました。現在、テロ攻撃の件数は減少していますが、度々発生しています。また、トルコ治安当局によるPKK掃討作戦が各地で実施されており、その際の衝突により、PKKおよび軍や警察の双方に死傷者が出ています。
- 2018年1月13日、ハタイ県クルクハンにおいて、シリアにおいてISILの戦闘員として活動したとみられるモロッコ国籍の外国人2人を拘束。
- 2018年1月24日、シャンルウルファ県の国境において、トルコに不法入国しようとしたISIL戦闘員13人を拘束。
- 2018年6月3日、ハッカーリ県シェムディンリにおいて、道路安全対策を実施中の兵士に対するPKKの攻撃により兵士3人が死亡、2人が負傷。
- 2018年6月18日、シュルナク県ギュチリュコナクにおいて、PKKが仕掛けた爆弾により兵士2人が死亡、1人が負傷。
これらの地域への不要不急の渡航は止めてください。渡航する場合には特別な注意を払うとともに、十分な安全対策をとってください。
- (4) イスタンブール県、アンカラ中心部(チャンカヤ区、イェニマハッレ区、エティメスグトゥ区、ママック区、アルトゥンダー区、ケチオレン区、ギョルバシュ市)およびエセンボア空港、東部11県(トゥンジェリ、エラズー、ビンギョル、ムシュ、ビトリス、ヴァン、ウードゥル、カルス、アール、エルズルム、エルジンジャン)および南東部3県(バトマン、シールト、アドゥヤマン)
レベル1:十分注意してください。(継続)
- イスタンブール県
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イスタンブール県内では、2017年1月1日のナイトクラブでのテロ以降大きなテロは発生していませんが、取締りによりテロ関係者の拘束が続いていますので、引き続き現地在外公館が発出する領事メール(トルコ国内の在外公館に在留届を提出するか、たびレジに登録すると受け取れます)や現地報道等の最新の治安情報の入手に努めてください。
- 2016年1月12日、イスタンブールのスルタンアフメット広場近くにおいて自爆テロが発生し、ドイツ人12人が死亡、14名が負傷、トルコ政府はISILの犯行と断定。
- 2016年3月3日、イスタンブール市バイラムパシャ区に所在する機動隊基地前において、DHKP/Cの2人の女性テロリストが手榴弾と自動小銃により同基地を攻撃。近くのアパートに立て籠もった両名を射殺。
- 2016年3月19日、イスタンブール市内新市街中心部のイスティクラル通りにおいて自爆テロが発生し、外国人4人が死亡、36人が負傷。トルコ内相は、ISIL関係者の関与を指摘。
- 2016年5月12日、イスタンブール市アジア側のサンジャクテペ区において軍のバスが走行中、付近に駐車していた自動車が爆発し、8人が負傷するテロが発生、PKKが犯行声明を発出。PKKは、3日後の5月15日にも、イスタンブール市アジア側のマルテペ区を走る幹線道路に設置した音響爆弾を爆発させるテロを起こし、4人が負傷。
- 2016年3月7日、イスタンブール市旧市街の市庁舎付近を機動隊車両が走行中、併走していた車両が自爆し、一般市民を含む12人が死亡、36人が負傷するテロが発生。TAKが犯行声明を発出。
- 2016年3月28日、アタテュルク国際空港ターミナルにおいて、3人の武装グループが同空港を襲撃し、銃の乱射や手榴弾を投擲するなどのテロを敢行し、45人が死亡、200人以上が負傷するテロが発生。当局はISILによる犯行と断定。
- 2016年10月3日、イスタンブール市バフチェリエヴレル区の警察署付近において、自動車(オートバイ)爆弾が爆発し、市民10人が負傷するテロが発生。TAKが犯行声明を発出。
- 2016年12月10日、イスタンブール市タクシム広場近くのサッカースタジアム付近において、機動隊のバス等を狙った連続自爆テロが発生し、警察官を中心とする46人が死亡、約240人が負傷。TAKが犯行声明を発出。
- 2017年1月1日未明、イスタンブール市オルタキョイ地区のナイトクラブ「レイナ」において、銃乱射事件が発生し、外国人27人を含む39人が死亡、約70人が負傷。ISILが犯行声明を発出。
- 2017年10月28日、バイラムパシャ地区にあるショッピングモール内で爆弾テロを準備していたISIL信奉者がテロ対策中の治安当局により拘束。
- 2017年12月13日、イスタンブール市バフチェリエヴレル区において、イスラム協力機構(OIC)臨時首脳会議の会議場を狙った自爆テロを企図して爆弾を積んだ自動車を運転していたPKK戦闘員が治安当局により拘束。
イスタンブールへ渡航・滞在される場合には、治安当局の施設などの政府関連施設、各国在外公館や外国人利用客が多い飲食店等、不特定多数の人が集まる施設はテロの標的となり得ることに留意してください。
また、そのような場所を訪れる際には、不審な状況を察知したら速やかにその場を離れるなど、安全確保に注意を払ってください。イスタンブール県では、政情や社会情勢を受けて、以下のようなデモや抗議活動が突発的に行われることがあります。それに対し、警察当局も放水銃や催涙ガス等を使用し、強制的に排除する場合もあるため、デモ等に近づくことは非常に危険です。
- 2016年、タイ政府がウイグル人約100人を中国に強制送還したことを受け、イスタンブールのタイ名誉総領事館に対するデモが発生し、一部が暴徒化、館内に侵入する事件が発生。
- 2016年、サウジアラビアによるシーア派宗教指導者に対する死刑執行を受けて、イスタンブールのサウジアラビア総領事館前で約400人のシーア派イスラム教徒による抗議活動が発生。
- 2016年、PKKによる警察や軍に対するテロ行為を非難する市民デモが発生。
- 2018年5月14日、イスタンブール市ベイオール区のトゥネル広場において在イスラエル米国大使館移転等に対する抗議デモが発生、数百人の参加者がガラタサライ広場までデモ行進。
- アンカラ中心部(チャンカヤ区、イェニマハッレ区、エティメスグトゥ区、ママック区、アルトゥンダー区、ケチオレン区、ギョルバシュ市)およびエセンボア空港
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2015年後半以降2016年3月までにアンカラにおいて以下のような大規模なテロ事件が発生しました。また、2018年2月1日、アンカラ税務署において、3人が負傷する爆発事件が発生し、アンカラ県はYPG関係者による破壊工作であり、関係者数名を拘束したと発表しました。アンカラ県においては、現在もテロの取締りは継続しています。
- 2015年10月10日、アンカラ駅前において、左派系団体が主催する集会を狙った自爆テロが発生し、103人が死亡、200人以上が負傷。犯行声明は確認されていないが、ISILによるものとみられる。
- 2016年2月17日、アンカラ中心部で軍車両を狙った自動車爆弾テロが発生し、29人が死亡、80人が負傷。TAKが犯行声明を発出。
- 2016年3月13日、アンカラ中心部クズライ地区のバス停留所付近において自動車爆弾テロが発生し、一般市民37人が死亡、125人が負傷。TAKが犯行声明を発出。
また、アンカラ中心部では政情等の背景が疑われる以下のような事件も発生しております。
- 2016年12月19日、チャンカヤ区の文化センターにおいて、スピーチ中の駐トルコ・ロシア大使が非番の警察官に銃撃され死亡する事件が発生。
- 2018年8月20日、チャンカヤ区の在トルコ米国大使館に向け、車から銃弾が発射され警備詰所等が破損する事件が発生。トルコ治安当局は、事件数時間後に容疑者2人を逮捕し、その後さらに3人の関係者を逮捕し、事件は終結に向かった。
2016年7月15日に発生したクーデター未遂事件の際は、軍の一部勢力により国会議事堂や、参謀本部、ジャンダルマ(軍警察)、治安機関に対し、戦闘機やヘリコプター等を用いた砲撃がなされました。また、市民がクーデターへの抗議行動に出たこともあり、市民に多数の死傷者が出ました。トルコ政府はクーデター未遂事件後には非常事態宣言を発出し、フェトフッラー・ギュレン運動関係者等への捜査・取締を強化していました。2018年7月19日同非常事態宣言は解除されましたが、同月25日、トルコ議会は「対テロ法」を可決し、引き続き、治安対策に取り組んでいます。
つきましては、アンカラ中心部へ渡航する際は、最新の治安情報の入手に努め、ショッピングモール、公共交通機関等の不特定多数の人が集まる場所、政府・軍・警察関係施設、欧米関連施設等を訪れる際には注意を払い、不審な状況を察知したら、速やかにその場を離れるなど、安全確保に十分注意してください。
- 東部11県(トゥンジェリ、エラズー、ビンギョル、ムシュ、ビトリス、ヴァン、ウードゥル、カルス、アール、エルズルム、エルジンジャン)および南東部3県(バトマン、シールト、アドゥヤマン)
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トルコ東部および南東部では、PKKによる軍や警察等の治安当局に対するテロ攻撃と、治安当局による捜索中の衝突が度々発生しています。
これらの地域への渡航に当たっては危険を避けていただくため十分な注意が必要です。上記情勢に留意するとともに、最新の治安情報の入手に努め、不測の事態に巻き込まれないよう十分注意してください。 - その他
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その他の地域においても、以下のような事案が発生しています。
- 2017年1月5日、イズミル県イズミル市の司法合同庁舎前において、PKKによる銃撃と車両爆弾によるテロにより、市民を含む2人が死亡。
- 2017年8月31日、イズミル県ブジャ郡において、道路脇のゴミ収集コンテナに仕掛けられたと見られる爆発物が爆発し、刑務所の送迎用バスの乗客8人が負傷。
- 2017年10月17日、メルシン県メルシン市において、警察官を乗せたバスが幹線道路を走行中にPKKによる爆弾攻撃を受け、警察官17人と市民1人が負傷。
これらの地域には危険情報は発出されておりませんが、渡航に当たっては、安全の確保に留意してください。
- (1)
- 3. 滞在に当たっての注意
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滞在中は、下記の事項に十分留意して行動し、危険を避けるようにしてください。また、トルコの安全対策基礎データもご一読の上、外務省、在トルコ日本国大使館、在イスタンブール日本国総領事館、現地関係機関、報道等を通じて最新情報を入手し、自ら安全対策に努めてください。
- (1) 全般的な注意事項
- 警察、軍駐屯地などの治安関係施設(待機場所や立哨地を含む)、政府機関、各政党施設などはテロの標的となる可能性があるので、可能な限り近づかない。
- また、外国人が多く集まる観光地や繁華街、各国の在外公館もテロの対象となる場合があることに留意し、不審な状況を察知したら、速やかにその場を離れるなど、安全確保に十分注意を払う。
- 地下鉄、トラム(路面電車)、バスなどの公共交通機関(駅、バス停含む。)を利用する際は、不審物や不審人物に注意する。アンカラやイスタンブールの空港を利用する際には、セキュリティが厳しくなっていることを踏まえて、出発の際には充分な時間的余裕をもって空港に到着する。他方で、空港の発着ロビーには長時間滞在しない。
- 建物内および街頭や公園などの野外を含め、放置された不審物(バッグ、袋、包みなど)やゴミ箱に爆弾が隠されている可能性に留意し、常に周囲に気を付け、不審物があった場合には近づかず、直ちにその場を離れる。
- デモの際には、巻き添え被害に遭わないよう、デモが行われている現場や群衆が集まっている場所には近づかない。
- トルコにおいて設備の整った病院で治療を受けたり、入院したりする場合、医療費は極めて高額。また、日本への緊急移送費も相当程度の負担が必要にまる。よって、旅行の際は不測の事態においても治療費や入院費、緊急移送費などが十分にカバーされる保険に加入する。
海外渡航の際には万一に備え、家族や友人、職場等に日程や渡航先での連絡先を伝えておくようにしてください。
3か月以上滞在する方は、在トルコ日本国大使館または在イスタンブール総領事館が緊急時の連絡先を確認できるよう、必ず在留届を提出してください。
3か月未満の旅行や出張などの際には、渡航先の最新安全情報や、緊急時に大使館または総領事館からの連絡を受け取ることができるよう、外務省海外旅行登録「たびレジ」に登録してください。
- (1)
- 4. 隣国
- シリア、イラク、イラン、ジョージア、アルメニアについても別途危険情報が発出されていますので、併せて留意してください。
- ※ 詳細は、外務省海外安全ホームページをご覧ください。
テロについて
概況
2016年11月、イスラム過激派組織ISIL(イラク・レバントのイスラム国)は、トルコをジハード(聖戦)の場として宣言して攻撃を呼び掛け、2017年1月1日にはイスタンブールのナイトクラブにおいて外国人や観光客などを対象としたテロが発生しました。現在も全国でトルコ治安当局によるISIL関係者の捜査と摘発が行われています。
反政府武装組織クルド労働者党(PKK、クルド人民会議(KONGRA-GEL))は、2015年7月に政府との和平プロセスが崩壊して以降、テロ活動を再開しています。トルコ南東部および東部の他、2016年にはイスタンブールやアンカラ等の都市部においても関連組織であるTAK(クルディスタン解放の鷹)による警察や軍を狙ったテロが発生しました。現在もトルコ治安当局はトルコ南東部および東部を中心に対PKKオペレーションを継続しています。
極左過激派組織DHKP/C(革命人民解放党/戦線)は、主に治安・司法機関や米国在外公館をテロの対象として活動しており、2016年3月、同組織による機動隊を狙った銃撃事件がイスタンブール市内において発生しました。
2016年12月、アンカラ市内の文化センターにおける写真展の開会式において、スピーチ中のカルロフ駐トルコ・ロシア大使が、警護官を装った非番の警察官による銃撃を受けて死亡する事件が発生しました。
各組織の活動状況
- ISIL(イラク・レバントのイスラム国)
- ISILはトルコをジハード(聖戦)の場として宣言し攻撃を呼び掛けています。2016年1月にイスタンブールの旧市街にあるスルタンアフメット広場、2016年6月にイスタンブールのアタテュルク国際空港、2017年1月にイスタンブールのオルタキョイ地区にあるナイトクラブにおいて、ISILによるとみられるテロが発生(ナイトクラブのテロに関しては犯行声明あり)し、多くの外国人を含む死傷者が出ました。
現在トルコには約300万人のシリア難民が流入しており、そのシリア難民にISIL関係者が紛れ込んでいる可能性があると言われています。トルコ治安当局はISILに対する取締りを継続しており、トルコ各地でISIL関係者を拘束しています。 - クルド労働者党(PKK)
- イラク北部を主たる拠点とするPKKは、2013年3月に停戦を宣言し、トルコ政府との間で和平プロセスが進められ、PKKと治安当局との武力衝突は同宣言後激減していました。しかし、2015年7月に和平プロセスが崩壊して以降、トルコ南東部および東部においてPKKによる警察および軍関係施設等に対するテロ事件が発生しています。また、その関連組織であるTAKによって、主に軍や警察を対象として、2016年2月にアンカラ市内の空軍司令部付近、同年3月にアンカラ市内クズライ交差点付近、同年12月にイスタンブール市ベシクタシュ地区のサッカースタジアム付近において自爆テロ事件等が発生しました。
トルコ治安当局は、トルコ南東部および東部を中心にトルコ全土においてPKKに対する掃討作戦を実施しており、多くのPKK関係者を拘束しています。 - 革命人民解放党・戦線(DHKP/C)
- DHKP/Cは、2016年3月、イスタンブール市バイラムパシャ地区に所在する機動隊基地前において女性テロリスト2人による自動小銃を使った銃撃事件を、また、2013年2月、アンカラに所在する米国大使館に対する自爆テロを起こしました。DHKP/Cは、主に治安・司法機関や米国在外公館をテロの対象として活動しています。
- アルカイダ関連組織等その他のイスラム過激派組織
- トルコ国内では、2003年に起きたイスタンブールでの連続爆弾テロ事件および2008年に起きた在イスタンブール米国総領事館襲撃テロ事件以降、トルコ治安当局の取締りが強化されています。それ以降は、アルカイダ関連組織によるとみられる大規模なテロ事件は発生していません。
日本人・日本権益に対する脅威
トルコではこれまで日本人や日本権益を直接対象としたテロ事件は発生していません。しかし、日本人観光客も多数訪れるイスタンブール等の観光地においても自爆テロ事件等が発生していることに留意する必要があります。
また、近年、シリア、チュニジアおよびバングラデシュにおいて日本人が殺害されたテロ事件や、パリ、ブリュッセル、ジャカルタ等でテロ事件が発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭う恐れもあります。このような情勢を十分に認識して、誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、
また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報および報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。
誘拐について
2007年以降、犯罪統計を当局が公表していないため、誘拐事件の総数については明らかになっていません。
その他一般犯罪の発生状況
2007年以降、トルコ警察は犯罪統計を公表しておらず、直近の統計データは2006年のものとなりますが、同年中に発生した一般犯罪は約78万5,000件で、うち窃盗事件が約35万1,000件と最も多く、全体の44.8%を占めています。また、凶悪犯罪では、殺人が約2,600件および強盗が約8,900件発生しています。日本の人口10万人当たりの発生件数と比較すると、凶悪犯罪(殺人、強盗)の発生率は3倍以上となっており、十分注意する必要があります。
日本人の被害状況
ぼったくりバー
夕方や夜間、スルタンアフメット地区やタクシム地区(特にイスティクラル通り)を一人で歩いていたところ、自分も外国人旅行者(中東系旅行者を名乗ることが多い)だと名乗る若者から親しげに声をかけられた。会話が弾んだところで、「自分の知っている店があるから一緒に飲みにいこう」と誘われ、タクシーで連れて行かれた。店に入ると女性が隣に座って接客し、いざ支払いになると、数十万円相当の金額を要求された。外国人(店の仲間)からも割り勘での支払いを要求された。支払いを渋ったところ別室に連れて行かれ、大柄で強面の男達に囲まれた。所持金がないと言ったが、クレジットカードでの支払いを強要され、店外のATMで現金を引き出させられた。
- 対策
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一番の対策は、知らない外国人(トルコ人を含む)からの怪しい誘いには絶対に乗らないことが重要です。騙されたと分かった後で警察に訴えたとしても、店側は営業許可や監督機関から認められた高額な料金表を用意しているほか、被害者が実際に飲食をしている様子やクレジットカードを使って自ら支払いを行った様子をビデオに撮影していますので、被害に遭ったとの説明が難しくなります。
また、いったん支払っておき、後でクレジットカードを勝手に使われたとか、騙されて高額な引き落としをさせられたとカード会社に申告すれば、請求は免除されるだろうと考える方もいらっしゃいますが、店側はビデオを証拠として用意していますので、それも困難です。
置き引き・スリ
- レストランでトイレに立った時や、長距離バスの途中休憩で降りたときに、座席や車内に置きっ放しにした荷物を盗られた。
- 写真を撮って欲しいと頼まれカメラをのぞき込んでいる隙に、足下に置いていた荷物が無くなっていた。
- 混雑した人混みや電車内で、着衣のポケットやカバンから財布を抜き取られた。
- 複数人で取り囲んで話しかけられ、または、物を売りつけられている間に金品を抜き取られていた。
- 対策
- 犯人は目星をつけてターゲットの隙を狙っています。目的地を探すため路上で地図を見たり、店で買い物をしたりしている時は、身の回りへの警戒心がゆるんでしまいがちです。どのような場合でも、貴重品は肌身から離さず、常に周囲に注意を払うようにしてください。
ひったくり
車やオートバイに乗った犯人に、あるいは後ろから走ってきた犯人に追い越される時に、ショルダーバッグやハンドバッグなどの手荷物をひったくられた。
- 対策
- 歩道を歩くときは車道とは反対側に荷物を持つようにしてください。もし、車やオートバイに乗った犯人からひったくられそうになった場合、荷物を取られまいとしっかり持ったりすると、そのまま引きずられ、逆に大けがをする場合がありますので(実際に重傷を負ったケースが発生しています)、ご注意ください。
悪徳じゅうたん店
スルタンアフメット地区(旧市街)を散策していたところ、トルコ人から日本語で話しかけられ、日本へ行ったことがある、日本語や日本の文化に興味がある、あるいは、日本の芸能人に友達がいると言われて(実際にその芸能人と一緒に撮影した写真を見せてくる)、信用してしまった。その後、食事をおごられたり、無料で観光ガイドをしてもらったりしたので、じゅうたん屋に誘われても断れなかった。最後は高額なじゅうたんを勧められて、買ってしまった。
- 対策
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悪徳じゅうたん店の従業員は、日本人旅行者に日本語で話しかけ、「単なる親切心から」という風を装って食事をご馳走したり、市内を案内したりして恩を売っておき、最後にじゅうたん店に誘うことで、日本人が断りにくい状況を作り出しています。
彼らの目的は高額なじゅうたんを買わせることであり、どんなに親切にされても、買う気が無ければ毅然と断りましょう。購入を考えている場合、じゅうたんは美術品と同じで「適正価格」の判断が簡単ではないことや、購入後の返品は困難であることを念頭において、多くの店を見た上で、信頼のおける店で十分納得して購入することです。特にトルコ人から声を掛けてきて、じゅうたん屋に連れて行くような店は避けるのが無難です。
クレジットカード詐欺
じゅうたん店や土産物屋で代金を支払う際にクレジットカードを利用した。機械にカードを差し込み、暗証番号を入力しても「うまく決済できない」と言われて、繰り返し入力させられたり、他のクレジットカードも使って決済(暗証番号を入力)させられたりした。帰国後にカード会社に確認したら、何度も支払いをさせられていた。
- 対策
- 第一に信頼できる店で買い物することをお勧めします。支払いの際は、表示される金額を必ず確認してから、暗証番号を入力してください。
また、クレジットカード利用限度額の残りを把握し、十分決済できるはずなのに、店側が「決済できない」と言ってきた場合は、それに応じるのではなく、機械から印刷されるレシート(トルコ語で記載)を受け取って、信頼できるトルコ語を解する人に確認してもらうなどしてください。
格安ツアー詐欺
スルタンアフメット地区を散歩していると、「カッパドキアやパムッカレなどの国内各地への格安ツアーはいかがですか」と声をかけられた。話を聞いてみると、非常に安い値段でバスやホテルを提供してくれているので申し込んだが、実際にツアーに参加してみると、路線バスに乗せられて、ホテルもとんでもなくひどいものだった。
- 対策
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国内各地へのツアーに参加する場合は、事前に日本から信用のある業者を通して予約するか、現地で申し込む場合でも、呼び込みや業者の説明等を鵜呑みにするのではなく、複数の業者をまわって比較し、その内容に納得した上で参加することをお勧めします。ツアーに参加した後に、その内容がひどかったと言って返金を求めても、業者はそれに応じません。
また、あるツアーへの参加が既に決まっている場合でも、自社のツアーに振り替えようと、「あなたの参加するツアーはいくらだ、うちはもっと安い値段で同じものを提供できる」と言ってくる業者もおり、それを鵜呑みにしたところ、質の低い内容に不満を持ったという例もありますので、注意が必要です。
タクシー料金詐欺
流しのタクシーに乗ったが、イスタンブールの道路事情を知らないために、ここは一方通行だなどと言われて遠回りをされ、最後に高額な料金を請求された。あるいは、目的地に着いたらメーターの料金表示が消えており、不当な額を請求された。
その他、降車時に請求額である45リラを払おうとして運転手に50リラを渡したが、いつの間にか5リラにすり替えられており、更に40リラを払うことになった。
- 対策
- 流しのタクシー(特にドアの部分や助手席前面にタクシーの所属会社の名前が書かれていないもの)は利用せず、必ずホテル前やタクシー乗り場にいるタクシーを利用し、タクシーの車両番号を控え、その様子を運転手にも分かるようにすることも有効です。
また、50リラ紙幣と旧5リラ紙幣は色が類似しているため言いがかりをつけられやすく、支払いの際は注意が必要です。ただし、トルコの大都市の道路は日本と異なり、一方通行や右左折禁止の交差点が多い複雑な作りであることも事実であり、地図にある最短経路どおりには行けないことも多々あります。
ニセ警察官による金品詐取
警察官と称して、英語や日本語で「ニセ札事件の捜査をしているので財布を見せて欲しい」「麻薬の捜査をしているので所持品を見せて欲しい」等と言われて財布を渡したが、後で財布の中を見ると、現金やクレジットカード等が抜き取られていた。
- 対策
- トルコの警察官はこのような方法で捜査をすることはなく、ましてや、いきなり財布の提示を求めることはあり得ません。もし、提示を求められた場合は、まず相手の身分を確認(トルコの私服警察官は「Polis」と書かれた写真入りのカード式身分証明書または銀色のバッジを持っています)した上で、総領事館に連絡を取るよう求めるか、警察署か宿泊ホテルのロビーまたは総領事館内でなら捜査に応じると、毅然とした態度で対応して下さい。
路上強盗
日本のことが知りたいなどと言って親しく声を掛けられ、人気のない公園などに誘い込まれた。すると、待ち伏せていた仲間と共に暴行を加えられ、金品を強奪された。
- 対策
- たとえ親切にされ、意気投合したとしても、初対面の人を全面的に信頼し、相手の言うままに行動することは危険です。また、現金がたくさんあることを周囲に知られると、犯罪の対象になる恐れがあります。買い物などでお金を支払う際には、財布の中身が見えないよう注意してください。
なお、トルコでは許可があれば銃器の所持が認められており、相手が銃器を所持している可能性もありますので、強盗に遭遇した場合には決して抵抗しないでください。
不測の事態が発⽣したときには、家族等の依頼を受け⼤使館より安否確認の連絡をする場合がありますので、滞在先等は必ず家族に連絡しておく等、常に所在を明確にしておくようにしてください。
⾮常事態が発⽣したと思われるような場合や、外出中に不測の事態に遭遇した場合は、⾃宅か職場等の安全な場所に戻り、事態が静まるまで待機してください。また、必ず⽇本国⼤使館に連絡してください。
緊急時の連絡先
安全のために、普段から予防対策を心掛けておくことが重要ですが、いざ事が起こったときのことを想定して、その時に被害を最小限にするための対策を講じておくことも大切です。緊急連絡先はメモしておき、家族それぞれが持つような努力が必要です。
警察・消防・救急
- 警察:TEL 155
- 交通警察:TEL 154
- ジャンダルマ:TEL 156
- 消防署:TEL 112
- 救急⾞:TEL 110
- 沿岸警備隊:TEL 158
- 出典:
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