イタリアの生活情報や医療事情

イタリアの基礎知識

名称 イタリア共和国 日本国(ご参考)
面積 30万1,000㎢ 37万8,000㎢
人口 60.6百万人(2018年1月) 1億2,659万人
首都 ローマ 東京(人口1,383.2万人)
通貨
(2018年2月)
ユーロ
(1ユーロ=125.12円)

(1米ドル=108.92円)
時差 -8時間(サマータイム実施時は-7時間)
言語 イタリア語
(地域により独、仏語等少数言語あり)
アルタイ語系の日本語
民族 イタリア人 アジア人種の日本民族・朝鮮人・中国人・北海道に少数のアイヌ人
宗教 キリスト教(カトリック)(国民の約80%)、キリスト教(プロテスタント)、ユダヤ教、イスラム教、仏教 仏教・神道・キリスト教
気候 南北に細長い地形のためかなり地域差がある。一般に夏は高温乾燥、冬は低温多湿の地中海性気候で、10~12月は雨の日が多くあり、夏の日中は気温が相当上昇することが多い。 南部は温帯気候、北部は冷帯気候。モンスーンの影響が強く、6~8月は南東モンスーンにより多量の雨がもたらされる。11~3月は大陸からの北西モンスーンにより、北部は厳しい寒さとなり、日本海に面した地域には多量の雪が降る。
代表的な
都市の気温
ローマ:
4℃/11℃(1月)
20℃/31℃(7月)
(最低気温/最高気温)
東京:
0℃/9℃(1月)
22℃/29℃(7月)
(最低気温/最高気温)
電化製品
電圧:
220V
プラグタイプ:
C
電圧:
100V
プラグタイプ:
A
在留邦人数 14,146人(2017年10月)

出国・入国するときの注意事項

下記は2019年1月現在の情報です。最新情報については、外務省・駐日イタリア大使館等のウェブサイトを参照してください。

査証(ビザ)

日本とイタリアの間には査証免除取極が締結されているため、観光や知人訪問などを目的とした3か月以内の滞在については、査証の取得が不要です。
なお、イタリアが加盟しているシェンゲン協定に関し、2013年10月18日より、同域内において査証を必要としない短期滞在については、「あらゆる180日の期間内で最大90日間を超えない」との規定が適用されます(従来は、「最初の入域の日から6か月のうち最大3か月の間」であった規定が変更となったもの)。
また、2013年7月19日より、短期滞在査証免除の対象者についても、有効期間が出国予定日から3か月以上残っており、かつ、10年以内に発行された渡航文書(パスポート)を保持していることが必要となります。

シェンゲン領域内の移動に際しては、入国審査の有無にかかわらず、日本国旅券を常に携行する必があります。シェンゲン領域内において、旅券を紛失(盗難を含む)した場合には、速やかに旅券を紛失した場所(国)において、現地警察等への届出および最寄りの在外公館にて旅券(または帰国のための渡航書)の発給手続きをするよう留意してください。

シェンゲン協定域外から域内に入る場合、最初に入域する国において入国審査が行われ、その後のシェンゲン協定域内の移動においては原則として入国審査が行われません。
しかし最近、ドイツ以外のシェンゲン協定域内国に長期滞在を目的として渡航した日本人が、経由地であるドイツで入国審査を受ける際に入国管理当局から、最終滞在予定国の有効な滞在許可証、ドイツ滞在法第4条のカテゴリーD査証(ナショナル・ビザ)、または同D査証に相当する滞在予定国の長期滞在査証の提示を求められ、これを所持していないために入国を拒否される事例が発生しています。このため、現地に到着してから滞在許可証を取得することを予定している場合には、注意が必要です。

ドイツ以外の国では同様の事例は発生していませんが、シェンゲン協定域内国での長期滞在を目的に渡航する場合には、滞在国および経由国の入国審査、滞在許可制度の詳細につき、各国の政府観光局、日本にある各国の大使館等に問い合わせるなどし、事前に確認するようにしてください。

ドイツ滞在法第4条カテゴリーD査証(ナショナル・ビザ)

ドイツに3か月以上長期滞在する場合のビザ。同ビザ保有により、ビザの発行目的によってドイツでの永久ないし一時滞在、シェンゲン協定域内国のトランジットまたはドイツへの入国許可を取得。

シェンゲン協定域内国

26か国(アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア、スロベニア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、リヒテンシュタイン)

シェンゲン協定の詳細等につきましては駐日欧州連合代表部、イタリアの措置に関する情報は在日イタリア大使館に問い合わせて必ず確認することをお勧めします。

出入国審査

出入国審査は人定確認が主で比較的簡便ですが、「帰国のための渡航書」による立ち寄りの場合は、確実にチェックを受け、場合によっては入国を拒否されます。その他、ブラックリスト(テロリスト、国際指名手配者等のリスト)によるチェックも行われています。
なお、シェンゲン領域内の移動に際しては、入国審査の有無にかかわらず、日本国旅券を常に携行する必要があります。航空会社は、旅券の提示なしには基本的には搭乗を認めません。

外貨申告

1万ユーロ相当額以上の通貨や小切手、その他の有価証券の持ち込み、持ち出しには申告が必要です。なお、銀行での両替の際、換金証明書を渡されますが、先に渡された現金を財布にしまってしまうと、証明書の額と受け取った額が違っていても差額の請求ができないので注意が必要です。

通関

通関の際、無作為抽出的に検査が行われています。多くの場合は、税官吏の前を通過するだけですが、時折、荷物を開けるよう要求される場合があります。
1人あたりの価値相当額の合計が300ユーロを超える物品を持ち込む場合は、税関に申告が必要です。これを怠っていたことが発覚した場合は、当該物品を没収され、関税の支払の他に多額の罰金が課されます。没収された物品を取り戻すためには、関税と罰金に加え、当該物品の価値相当額を支払わなければなりません。特にパソコン、ビデオカメラ等の電子機器の持ち込みは厳しく取り扱われるので、注意が必要です。

滞在許可証

イタリアに滞在するすべての外国人は、入国日から8執務日(土日祝日等を除いた日)以内に滞在地の警察署に対し、滞在地住所等の届出が義務づけられています。これを怠ると国外退去処分の対象となる可能性がありますので、届出につき滞在地の警察署に照会されることをお勧めします。
ただし、ホテルおよびそれと同様の施設に宿泊する場合には、チェックインの際にホテル側が用意した所定のフォームに署名することにより、警察署への届出は不要とされていますので、チェックインの際に確認することをお勧めします。

現地に到着したら

在留届

旅券法第16条により、外国に住所または居所を定めて3か月以上滞在する日本人は、住所または居所を管轄する日本の大使館または総領事館(在外公館)に「在留届」を提出するよう義務付けられています。住所等が決まりましたら、必要事項を記入の上、速やかに最寄りの在外公館へ提出してください(世帯ごとに届出をすることもできます)。
提出はFAXまたは郵送、インターネットで可能です。提出にあたっては、「在留届」用紙の注意事項をよく読んで提出してください。

  • 住所その他届出事項の変更およびイタリアを去る(一時的な旅行を除く)ときはその旨の届出(変更および帰国届)を行ってください。

在留届の提出義務のない3か月未満の短期渡航者(海外旅行者・出張者など)についても、現地での滞在予定を登録できるシステムとして、2014年7月より外務省海外旅行登録「たびレジ」の運用を開始しています。登録者は、滞在先の最新の海外安全情報や緊急事態発生時の連絡メール、また、いざというときの緊急連絡などの受け取りが可能です。

注意が必要な生活環境

各種取締法規

写真撮影

一般に写真撮影の制限はありませんが、空港施設、警察・軍関係施設、刑務所での撮影は禁止されています。古い教会や美術館では撮影の可否、撮影が可能な場合はフラッシュ使用の可否について掲示が出ているので、掲示の内容に従うことが必要です。なお、掲示の有無にかかわらず、教会内でミサの最中にフラッシュを使用することは控えるべきです。

麻薬

薬物については、若年層を中心とする乱用が深刻な社会問題となっています。また、EU諸国域外からの不法入国者、若年失業者等による薬物購入資金欲しさの強盗、窃盗等も多発しています。

飲酒

公衆の面前での酩酊は犯罪になります。

喫煙

公共施設屋内での全面的な禁煙を定める法律により、レストランやカフェ、バール、オフィス等において、厳しい基準を満たした喫煙室内を除き全面禁煙とされています。これに違反すると喫煙者のみならず、喫煙をやめさせなかった経営者や管理者も処罰されます。航空機の国内線、電車内、その他の公共の場所で、禁煙となっている場所における喫煙はかなり重い罰になることがあるので注意が必要です。

子の連れ去り

イタリアにおいては、親権を持つ親であっても、他の親権者の同意を得ずに子の居所を移動させること(親が日本へ帰国する際に子を同行する場合を含む)は、子を誘拐する行為として重大な犯罪となる可能性があります。他の国においては、実際に、結婚生活を営んでいた当該国への再入国や、当該国と刑事司法上の共助関係を有する第三国への入国の際に、子を誘拐した犯罪被疑者として日本人が逮捕される事案も生じていますので御注意ください。

その他

  • 警察官に対して、暴言を浴びせる、唾を吐きかける等の行為は処罰の対象となります。
  • 野外(駅等の公共施設内も含む)での寝泊まりは、全国各地にあるキャンプ場以外では禁止されています。これに違反すると浮浪者行為として罰せられることがあります。
  • レストランや商店等で飲食や買い物をした際は、レシートを必ず受領し、しばらく保管しておく必要があります。財務警察の職務質問を受けた際に、所持していないと、店側の脱税を助けるものとして罰金刑を科されることがあります。

風俗・習慣・国民性

  • 教会に入るときには、半ズボン、肩の出る服装では入場を拒否されることが多くあります。
  • 商店の昼休みが長く、銀行も午前中および午後の一部しか営業しません。また官公庁の窓口は大部分が午前中のみの受付で、郵便局も午後の早い時間帯に終業するので留意が必要です。
  • 8月は、イタリア人の多くが長期休暇を取り、都市からいなくなるため、観光客が集中する場所のファーストフード店以外のレストラン、商店等の大部分が1か月近く閉店します。
  • 商店等での支払の際は、習慣として、小銭を先に出し、その後お札を出します。お釣りをもらう場合も同様の順番になりますが、必ず、全額を受け取って、額を確認してから財布等にしまいます。先にもらった小銭だけしまってしまうとお札がもらえないことがあるようです。また銀行での両替の際には換金証明書が最後に渡されますが、先に渡された現金を財布にしまってしまうと証明書の額と受け取った額が違っていても差額の請求ができないので注意が必要です。

健康・医療

イタリア(ローマ) 医療事情
(ジェイアイ傷害火災調べ 2016年8月時点)

項目 内容 日本(ご参考)
救急車の料金
①公営:
無料
②民営:
通常利用しない
無料
通常利用しない
初診料 25,200円~28,700円 2,820円
病院部屋代
(1日当たり)
①個室:
69,900円~119,500円
②ICU:
419,700円
30,000円~100,000円
80,000円~100,000円
虫垂炎手術の治療費
①総費用:
②平均入院日数:
2日
600,000円
4日間
骨折時の治療費
(橈骨末端閉鎖性骨折)
20,000円
ファミリードクター制度 あり
  • 緊急時を除き、(歯科等一部を除き)全科診察可能な医師の診察を受け、その後必要に応じ専門医へ紹介
なし
  • 初診から専門医の受診が可能(ただし、総合病院等で紹介状が必要な場合あり)
乳児死亡率
(1,000人当たり)
3人 2人
平均寿命 83歳 84歳
協力:Medicalling 24H 聖路加国際病院
注意事項
  • 全体
    • 海外では自由診療となるため、治療費は受診する医療機関や治療内容等によって大きく異なります。一覧は目安として下さい。
    • 日本人旅行者が利用することが多い私立の医療機関を中心に調査しているため、その国一般の相場と異なる場合があります。
  • 項目別
    • 1.
      公営の救急車は原則行き先を指定できません。距離加算の記載がない場合は、原則同一市内の料金となります。
    • 2.
      初診時の最短時間(通常10~20分程度)の診察料となります。別途医療通訳費が必要な場合があります。
    • 3.
      部屋の使用料のみとなり、実際に入院する際には、その他に医師の診察料、薬剤費等が必要となります。
    • 4.
      腹膜炎を併発していない手術を想定しており、術式等は医療機関により異なります。
    • 5.
      転倒し、手をついた際に骨折しやすい箇所となります。レントゲン検査、固定処置を行い1回のみの外来診療を想定しています。
      (帰国後に継続治療を行うことを想定していますが、その治療費は含んでおりません)
    • 6.
      当該国の一般的な医療制度を記載しており、医療機関や緊急度合い等により記載と異なる場合があります。
    • 7.
      出典:世界子供白書2015<要約版>-日本ユニセフ協会
    • 8.
      出典:総務省統計局発行、総務省統計研修所編集「世界の統計2016」
  • 日本の医療事情
    • 詳細金額は医療機関の設備や治療内容等により異なりますが、概ねの理解をいただく目的で、一般的な料金を記載しています。
    • 治療費は、海外と比較する目的で健康保険利用の基準である1点10円かつ全額(10割)自己負担として算出しています。健康保険を利用し受診した場合の自己負担額は通常記載よりも低額となります。また、日本で健康保険を利用しない自由診療の場合は、医療機関により点数換算が異なります。
過去に発生した保険請求事故実例(イタリア)
  • ホテルで頭痛と吐き気を訴え倒れる。くも膜下出血と診断され36日間入院・手術。医師・看護師が付き添い医療搬送。
    治療・救援費用 保険金支払額:
    23,138,474円
  • 山道を歩行中にバランスを崩し転倒。リュックの重さで背中から20m滑り落ち岩に頭を強打しヘリコプターで搬送。全身打撲・脊髄損傷と診断され10日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。
    治療・救援費用 保険金支払額:
    13,440,000円

医療事情

イタリアは大部分が地中海性気候に属しています。気温変動は日本とほぼ同様ですが、冬期は雨が多く、夏期は乾燥して日差しが強くなります。
医療は日本および他の西欧先進諸国と同様の水準にあり、医療機関を選択すれば日本と比較して医療技術・設備などに遜色はありません。しかし、イタリアの医療は専門がより細分化しており、大規模病院では各科の連帯が必ずしも良いとはいえず、境界領域疾患や疾患が他科に及ぶ場合などは診療が円滑に進まないという不満の声も聞かれます。イタリアの医療機関(公立病院、救急センターなど)では通常英語は通じませんが、外国人の増加による通訳ボランティアの配置や、外国研修経験があり英語を解する医師もいます。

病院

イタリアの医療制度は、国民健康保険による保険医療と非保険診療である自由診療に分けられます。国民健康保険に加入した外国人は比較的低額で公立病院を受診できます。しかし、公立病院は通常混雑し、待ち時間が長く手続きなども煩雑です。同じ公立病院で予約制の自由診療も提供していることもありますが、日本の医療サービスに慣れた日本人は戸惑うことが多いようです。従って、海外旅行傷害保険などに加入している外国人は、自由診療の私立病院あるいはクリニックに受診することが多くなります。

私立病院では、大概英語が通じ医療環境も良好ですが、医療費は高額です。また、公立病院や私立病院に籍を置く医師がかけもちで個人開業する、いわゆるプライベートクリニック(外来中心の完全予約制クリニック)も市中の至る場所で機能しています。しかし、外来診療が主で検査、入院施設は基本的になく、患者は検査を外部の検査専門機関で受け、外科的処置や小手術は必ずしも受診時に行えるとは限りません。時間に制約のある旅行者は、最初から公立総合病院の救急への受診が適当と思われます。また、近年ツーリスト・メディカル・ガードが設置され、救急が受け付けないような簡単な初期診療・処置、薬購入のための処方箋等を外国人旅行者に提供しています。

いずれにせよ、概して高額なイタリアの医療費に備えて各種海外旅行傷害保険への加入が推奨されます。なお、公立病院では、救急退院時に支払い精算がなされず、後日の請求になったり、領収書のみで治療明細書が発行されないことも多いので注意を要します。国民健康保険制度では、外来での診察や検査等は日本同様に出来高払制度を、入院の場合は診断群別定額支払方式を採用しています。

救急車

救急車は公営のものは「118番」で呼ぶことができます。料金は無料ですが搬入先病院の指定はできません。また、電話などの呼出しに英語は通じないと考えた方がよいでしょう。このほかに民間の救急車派遣会社がいくつか存在します。有料ですが搬入先を選べる利点があります。私立総合病院は独自の救急車を用意していることもあります。この場合は有料ですが、搬入先は明確であり、多くの場合、英語が通じます。

注意を要する病気

イタリア特有のかかりやすい疾病はありません。
なお、交通事情と運転マナーは悪く、市街地といえども歩行者に対する車の交通ルールが日本のように遵守されることはまれです。交通事故に遭わないよう注意することが必要です。

予防接種

乳幼児、学童児の予防接種は、イタリアの保健所あるいは自由診療の小児科クリニック(高額)で受けることができます。また、転勤、出張や旅行などで必要となる予防接種もイタリアの保健所で受けることができます(有料)。

乳児健診

イタリアには、日本で行われている乳児健診制度はありません。乳幼児は、必要に応じて小児家庭医へ医療相談あるいは受診をします。

健康上、心掛けること

  • 水道水は安全基準を満たしていますが、カルシウム成分の多い硬水で日本の軟水とは異なります。また、街中にある湧き水は飲用可能ですが、水質は石灰分の含有量が多く(炭酸カルシウム換算で日本の4~5倍)、短期滞在の場合や、イタリアの水を飲み慣れていない方は、1回沸騰させてから利用するか、市販のミネラルウォーターを用いる方が無難です。
  • 一部の魚介類は、遠方から運ばれるため保存状態が良くないものもあるので、レストラン等での外食時には、特に鮮度、加熱の状態をよく観察し、不確かなものは避けた方がよいでしょう。
  • 夏期は日照時間が長く雨もほとんど降らないため、乾燥します。長時間の外出など、脱水や体力を予想以上に消耗させることを念頭に行動計画を立てることを勧めます。
海外⽣活不適応について

気候、⽣活習慣、⾷事、治安状況、⼈種、宗教、⾔葉の違いは、適応に相当な努⼒を要します。うまくいかないと不適応症候群となり、精神⾯のみならず胃腸系や循環器系に変調をきたします。きまじめなタイプや完全主義者に陥りやすい傾向があります。適応には時間がかかること、誰でも⼀度は通る道であることを認識してあせらないことが肝⼼です。疲れたときは無理せず、⼗分な休養、時には⻑期休暇が必要です。
特に家族で赴任されている⽅はご家族のメンタルヘルスにも気を配ってあげて、できるだけ不満や愚痴を聞いてあげるようにしてください。

交通事情

一般的な交通事情

交通マナーについては、日本と比べて良いとはいえません。車が方向指示器を点灯させずに行う無理な割り込みや追い越し、突然の右左折や停車などが日常的にみられます。車・二輪車・歩行者ともに信号を守らないこともあり、また、車や二輪車が一方通行の道を逆行してきたり、二輪車が歩道を走行してくることもまれではありません。高速道路で、出口を間違えた車がバッグしてくることもあります。また、路上駐車が非常に多く、周りを確認しないまま急にドアを開けることもあります。運転または歩行の際には、常に細心の注意が必要です。
鉄道、地下鉄、バス、タクシーなどの公共交通機関は、頻繁にストを行います。また、ガソリンスタンドがストを行うこともあります。

運転免許証について

イタリアで自動車を運転するためには、日本の都道府県公安委員会の発給する国際運転免許証を取得しておく必要があります。国際運転免許証を利用して運転できる期間は、国際運転免許証の発給から1年、またはイタリア入国の日から1年の短い方の期間となっています。その期間を超えて、イタリアに滞在される場合は、イタリアで新たに運転免許証を取得するか、日本の運転免許証をイタリアの運転免許証に切り替える必要があります。免許証の切り替え手続に関しての詳細は、在イタリア日本国大使館ホームページをご参照ください。
ただし、イタリアに入国後、イタリアから一旦出国し、3か月未満のうちにイタリアに再入国した場合に国際運転免許証を利用して運転できる期間の起算日は、最初にイタリアに入国した日となりますので、ご注意ください。

交通事故について

車同士や車と二輪車の出会い頭の事故が多く、原因としては、優先通行や一時停止のルールが守られていないことが多いようです。事故が発生したら、被害者の安全を確保する、警察・救急に連絡する、保険会社に連絡する等、迅速に対応する必要があります。なお、レンタカーはほとんどがマニュアル車です。保険制度は発達しており、加入も容易です。

事故に遭ってしまった場合には、相手方が過失を認める場合を除き、現場で責任問題を話し合う必要はありません。後ほど双方の保険会社が行います。
ただし、現場では次の相手方情報を確認し、後日相手と連絡が取れなくなることがないよう、必ず書類等の客観的な記載品を直接見て確認してください。

  • 車種、メーカー、ナンバープレート
  • 車両の所有者、住所、電話番号:車の登録証から確認可
  • 運転者の氏名、住所、電話番号、運転免許証番号、発行陸運局、発行年月日:運転免許証から確認可
  • 保険会社名、支店番号、保険証書番号、有効期限:車両のフロントガラス等に貼付の保険証から確認可
  • 事故発生日時、場所、双方の破損か所:相手方と確認
  • 事故現場見取り図:相手方との調整は不要、自身の主張を記載
その他の注意事項
  • 現場で現金で解決することは、後にトラブルを招くことになり得るため、避けた方が賢明です。
  • 相手方と状況認識に少しでも争いが生じた場合は、証人を見つけて、同人の氏名、住所、電話番号を聴取しておきましょう。
  • 先方が示談書(Constatazione Amichevole:通称『modulo blu』)に署名を求めてくることがありますが、内容を正確に把握できない場合は応じない方が無難です。
  • 通常は警察の要請を受け、自走できなくなった車はイタリア自動車クラブ(ACI)が一時保管所へ移動させます。なお、走行中に故障した場合は、契約の保険会社またはACIの24時間緊急受付番号(116番)に連絡して処置を依頼します。
  • 車の修理代金は、車の保険が下りるまでの間は修理工場(保険会社との契約工場のみ)が立て替える形となります。また、相手方との示談が不成立となり、民事訴訟が提起された場合には、修理代金は保険会社の立て替えとなります。
  • レンタカーで事故に遭った場合は、レンタカー会社に連絡して、その指示に従ってください。

車を運転する場合の注意事項

自動車の運転者は、市街地以外の道路において、高速道路、一般道路の種別にかかわらず、日中でも前照灯の点灯が義務づけられています。また、二輪車の運転者は、走行中は常に前照灯を点灯しなければなりません。
都市部では、混雑の緩和や文化財保護の観点から、許可を得ていない車両の乗り入れが禁止されている地区があります。乗り入れ禁止地区には監視カメラが設置されており、知らずに乗り入れ、後日罰金を請求された事例もありますので、運転される場合には事前にレンタカー会社や観光案内所等に必ず確認してください。

安全に暮らすために

治安情勢(外務省海外安全ホームページより)

テロについて

概況

イタリアでは1970年代後半から1980年代にかけて、極左・極右系のテロ組織が政府要人の誘拐・殺害や爆弾テロ等年間2,000件を超すテロ事件を引き起こし、多数の死傷者が生じる事態が続きました。また、1990年代前半には、マフィアによるイタリア政府関係者を対象としたテロ活動が活発化しました。その後、テロ対策に関する特別立法や関係当局の徹底した取締り等によりテロ情勢は沈静化に向かいましたが、依然として極右・極左系テロ組織やマフィアの動きが確認されています。

これまで、イタリア国内において、イスラム過激派組織が関与したとみられる大規模なテロ事件は発生していませんが、イスラム過激派組織の思想に影響を受けたとみられる者がテロを計画した事案等が確認されておりイタリア当局は厳重な警戒を行っています。

各組織の活動状況
極左・極右系組織
イタリアの極左・極右系組織は、爆発物等を使用したテロ等を行っています。2015年にテロ事案はありませんでしたが、2016年1月、FAI(非公式アナキスト同盟)が、ローマ県チビタベッキアにおいて、駐車中の車両5台を爆破する事件が発生しました。
マフィア
マフィアは、テロの実行力は有しつつも、近年は、戦略的に当局関係者に対するテロを控え、汚職による資金の蓄財、敵対勢力との抗争等をしつつ組織の維持を図っています。
イスラム過激派組織
イスラム過激派組織の主張に影響を受けているとみられる者によるテロを計画した事案等が確認されていますが、これまでのところ、これらの者を含めイスラム過激派組織等によるテロ事案は発生していません。
日本人・日本権益に対する脅威

イタリアにおいて日本人・日本権益に対するテロや誘拐の具体的な脅威は確認されていません。他方、近年、シリアやチュニジアにおける日本人が殺害されたテロ事件や、パリでの同時多発テロ事件などが発生しています。このように、世界の様々な地域でイスラム過激派組織によるテロがみられるほか、これらの主張に影響を受けた者による一匹狼(ローンウルフ)型等のテロが発生しており、日本人・日本権益が標的となり、テロを含む様々な事件の被害に遭うおそれもあります。

このような情勢を十分に認識して誘拐、脅迫、テロ等に遭わないよう、また、巻き込まれることがないよう、海外安全情報および報道等により最新の治安・テロ情勢等の関連情報の入手に努め、日頃から危機管理意識を持つとともに、状況に応じて適切で十分な安全対策を講じるよう心掛けてください。

誘拐について

近年、イタリアでは誘拐事件の発生は、確認されていません。

その他一般犯罪の発生状況

イタリア政府は、犯罪組織(マフィア)の取締りの強化、不法移民問題の解消などを中心とした総合的な治安対策に取り組んでおり、2014年のイタリア内務省の統計によると、前年と比較すると2.74%の減少がみられました。しかし、スリが約18万件(前年比8.12%増)、ひったくりが約2万件(前年比4.53%減)となっており、イタリア滞在中はこれらの犯罪に用心と予防が必要です。

ローマ、ミラノ、フィレンツェ、ナポリ等の観光地における日本人観光客等の犯罪被害は依然として多く、置き引きやひったくり、スリのほか、警察官を名乗る外国人が、偽札や違法薬物の捜査等と称し、所持品検査を装い、現金やクレジットカードを窃取する事件も相次いでいます。また、イタリア南部を本拠地とする、マフィアといわれる強固な犯罪組織が売春、賭博、企業・商業に対する恐喝を繰り返しており、政府による対策も強化されています。
なお、イタリア国内では、日本人の旅券(パスポート)盗難被害が多発していますので、管理には十分な注意が必要です。また、団体旅行の場合は、旅券の盗難防止の観点から、添乗員等に旅券の管理を委ねることなく、個人でしっかり管理してください。

日本人の被害状況

ひったくり

オートバイの2人組や自転車が、追い越しざまに歩行者のバッグを奪い取る被害事例があります。そのため外出時には、バッグなどの手荷物を持たないことが望まれますが、携行する際は車道側の手で持たないようにする、また、手荷物は身体の前で持つようにするなどの心掛けが肝要です。また、オートバイなどが接近してきた場合には、いったん立ち止まるなどして注視し、通り過ぎるのを確認してから歩き始めるなどの用心が必要です。特にナポリやシチリア等の南イタリアで多発しています。

スリ

浮浪者風の子供の集団が、新聞紙等を広げて近寄り、気をそらせた隙に、バッグや衣服のポケット等から貴重品を抜き取る被害事例があります。このような子供たちを路上で見かけたら、ただちにその場を離れ、万一、取り囲まれた場合には、大声をあげてその場から逃げるようにしてください。
また、地下鉄車内においては、乳児を抱いた女性を含む浮浪者風のグループや、子供たちのグループ等に押されている間に貴重品を抜き取られるなどの被害報告もあり、地下鉄やバスに乗車する際には貴重品に細心の注意を払うよう心掛けてください。

置き引き

荷物への注意がそれるタイミングに盗まれやすく、標的にされれば付きまとわれます。犯行は、目の前で故意に物や小銭を落としたり、アイスクリーム等を衣服につける、話し掛ける等して、被害者の注意を引き付けている隙に、荷物が盗まれるケース、また、列車内や停車駅で荷物を盗まれるケースなどの被害事例があります。特に、空港、駅、ホテル、レストラン等、不特定多数の人が集まる所は、細心の注意が必要です。

車上盗

高速道路のドライブインや市内の路上等、場所を問わずに、駐車中の車の窓やドアが壊され、車中に放置された物を盗まれるケースや、車ごと盗まれるケースがあります。また、レンタカーを返却する際に、話し掛けられたりして注意をそらしているうちに、助手席や後部座席の荷物が盗まれるケースもあります。車外から容易に見える場所に荷物を放置しない、ドアをロックする、貴重品は常に身につけるなどの対策を心掛けてください。

偽警官

旅行者風の男が近づき、道を尋ねてきたり、両替を依頼してきたりします。その男が去った直後、警官風の男が突然現れ、「今の男と何を話していた?彼は麻薬(または偽札)の売人だ。麻薬(または偽札)を受け取っていないかどうか検査する」と言って、財布を出させ、巧みに高額紙幣やクレジットカードを抜き取ってから持ち主に返します。また、クレジットカードを検査機のようなものにあてて暗証番号を入力させる場合もあります。警官が本物かどうか疑わしい場合には、身分証明書の提示を求めたり、それが真正なものかを周囲の人や別の警官に確認を求めたりするなど、安易に信用しないよう注意してください。

列車盗

列車の発車間際に、1人が外から窓を叩いたり、荷物を棚に持ち上げるのを手伝ったりして被害者の注意を引き付けている隙に、車内にいる仲間が貴重品の入った手荷物を盗むケースや、夜行列車においては、持ち主が睡眠中に荷物を盗まれるケースもあります。また、特急列車ユーロスター内においては、入口付近の荷物置場を利用する乗客が途中の停車駅などで荷物を盗まれるケースがあります。荷物はできるだけ手元に置いておくよう心掛けてください。

暴力バー

観光地等で、外国からの旅行者を装った男に英語で話し掛けられ、バー等に誘われて飲食した後で、店から脅迫的に高額料金の支払いを要求されるという被害事例があります。

一般的に女性コンパニオンがいるバーでは、料金はかなり高くなりますが、もし、請求額に納得しない場合は、現場から警察(113番)に電話して介入を求めることも必要です。被害に遭遇した場合には、まず警察に通報し被害届を提出してください。また、クレジットカードで支払いを行った場合にサインを悪用され、二重、三重に引き落とされることもありますので、未然防止のためにカード会社に連絡するようお勧めします。よく知らないバーには、興味本位で入店しない方が無難です。

睡眠薬強盗

犯人が外国人旅行者を装い親しげに近寄り、飲み物をおごる等して信用させ、隙を見て睡眠薬入りの飲食物を勧め、被害者が眠っている間に貴重品を奪い取り逃走する被害事例があります。被害者のほとんどが18~30歳の単独旅行の男性です。

路上で見知らぬ人物から話し掛けられた時は、安易に信用することのないよう、常時警戒心を崩さず、見知らぬ人物から差し出された飲食物は、絶対に口にしないよう注意してください。

預金の不正引き出し

銀行のキャッシュカードを使用して預金を引き出した旅行者や在留者が、カード情報や暗証番号を読み取られ、預金を不正に引き出される被害事例があります。この種の犯罪は、何者かがキャッシュディスペンサーに小型の機械を取り付けてカード情報を読み取り、クローンカードを作成するとともに、暗証番号を入力する際の手の動きを、監視カメラに見せかける等した小型カメラで撮影し、暗証番号を盗んで預金を不正に引き出すというものです。

予防策としては、キャッシュディスペンサーに不審な機械が取り付けられていないか十分確認する、暗証番号を入力する時は、人けの有無に関係なく手元を完全に隠し、番号を読み取られないようにする、なるべく銀行の中に設置されたキャッシュディスペンサーを利用する、などが挙げられます。

ホテルにおける盗難

ローマ市やミラノ市など大都市のホテルでは、日本人観光客が盗難被害に遭うケースが散見されます。アジア系の人物が宿泊客になりすましてセーフティーボックスを解錠させたり、ホテルでの朝食時やチェックアウト手続き時に置き引きに遭うなど様々です。ホテルは不特定多数の人間が比較的自由に出入りできることもあり、盗難被害はホテルの規模やグレードに関係なく発生していますので、以下を参考に細心の注意を心掛けてください。

  • 旅行の際は、トラベラーズチェックやキャッシュカード、クレジットカードを利用し、現金の携行は最小限に留めるとともに、分散して携行する。
  • ホテル従業員を名乗る人物が、何らかの口実で客室に現れても、安易に信用してドアを開けることなく、まずフロントに確認する。
  • セーフティーボックスを過信せず、外出する際は貴重品袋などに貴重品を入れて携行するか、フロントを利用する場合でも、ホテル従業員立ち会いの下、貴重品を確認(現金を預ける場合は金額を確認)してから預ける(従業員のサインを取ることが望ましい)。
  • 食事の際も、貴重品を放置したまま席を離れたり、椅子の背もたれや足下に放置したりせず、貴重品は常に身に付けるようにする。
  • チェックインおよびチェックアウトの際も、荷物への注意を怠らないようにする。

都市別の犯罪事例

ローマ
列車、地下鉄、バス等でのスリ、置き引き
テルミニ駅および地下鉄車内・駅構内、空港等での貴重品の盗難が多発しています。被害が多く報告されているのは、地下鉄車内ではA線のテルミニ駅-スペイン広場駅間で、B線のテルミニ駅-コロッセオ駅間、バスではテルミニ駅とバチカンを結ぶ64番および40番の車内、列車ではテルミニ駅に停車中の車内です。テルミニ駅とフィウミチーノ空港を結ぶレオナルド・エクスプレスの車内やフィウミチーノ空港構内で到着直後や出発直前に被害に遭遇した事例があります。
観光スポットにおけるスリ
被害が多く報告されているのは、バチカンのサンピエトロ寺院、スペイン広場、コロッセオ、トレビの泉、バルベリーニ広場、真実の口です。観光地近くの路上で、新聞紙を広げた子供達の集団や乳児を抱いた女性を含む集団に囲まれて貴重品を盗まれたケース、「カメラのシャッターを押してほしい」と依頼され、それに集中している間にバッグ等から貴重品を盗まれるケース、地図を広げて案内を依頼され、それに集中している隙に被害に遭遇したケース等があります。
暴力バー
ローマのテルミニ駅、ナツィオナーレ通り、トレビの泉、ヴェネト通り付近で、スイスやスペインからの旅行者を名乗る身なりの良い男が旅行者に英語で親しげに話し掛けてきます。外見から信用した旅行者が、誘われたピアノ・バー(あるいはウエイトレスがいるバー等)に同行したところ、ビールやワインを勝手に注文され、法外な料金を請求される被害に遭遇した事例があります。
睡眠薬強盗
ローマの観光スポットで旅行者風(アラブ系、東欧系が多い)の男から勧められたビスケットやガムを食べた後に意識を失い、気が付いた時には貴重品をすべて盗まれた事例や、写真撮影等で親しくなった旅行者風の男と一緒に入ったバールで、ビールを飲んで意識を失って所持品を盗まれるなどの被害事例があります。
アクセサリー売りによる押し売り等

アクセサリーの売り子が、有名日本人サッカー選手の名前を言いながら、親しげに近付いて、ミサンガ(紐状のアクセサリー)を強引に手首に巻き付け、紐代と称し法外な代金を脅迫まがいに請求するケースや、売り子に呼び止められ、注意をそらした隙に貴重品を盗まれるケースがあります。
さらには複数の売り子に取り囲まれ、代金を払うため財布を取り出したところ、財布ごと所持金を強奪されるケースが、スペイン広場、コルソ通り、トレビの泉、コロッセオ、ナヴォナ広場付近等で発生しています。

被害回避策としては、売り子から呼び掛けられても立ち止まらないことが挙げられます。事件に巻き込まれた場合には、大声を出して周囲の人の注意を引いて助けを求めたり、付近を警備中の警察官に助けを求めたりしてください。また、被害に遭った場合には最寄りの警察署に被害届を提出してください。

偽警官
警官を装った人物に財布の提示を求められ、紙幣等を抜き取られる被害事例があります。
ミラノ
スリ
地下鉄車内、ミラノ中央駅等におけるスリ被害の届出が多く寄せられています。グループで連携して犯行に及んでいる場合が多く、声を掛けるなどして注意をそらしたうえで犯行に及ぶ場合もあります。また、子供を連れた女性のスリ犯も多くいます。駅構内では、エレベーターやエスカレーターを使用する際に被害に遭うケースも多いため、混雑した場所では、体の前で荷物を持つなど持ち方にも十分気をつけてください。
置き引き
中心地のドゥオーモ周辺、マルペンサ空港、ミラノ中央駅、カドルナ駅、国際見本市会場、レストラン、バール、ホテル、さらには高級ブランド店においても被害事例があります。
これらの犯罪は、被害者の注意が削がれた隙に行われています。貴重品は常に身に付け、手元から離さないようにしてください。また置き引き犯は複数による犯行が多く、例えば、1人が道を尋ねる、タバコをたかる、列車の窓を叩く等して被害者の注意をそらした上で、仲間が素早く荷物を盗むことが多いようです。被害を避けるためには、見知らぬ人物から声を掛けられても相手にせず、常に荷物等に注意を払うことも必要です。
車上狙い
駐車中の車のタイヤを故意にパンクさせ、路上で被害者が修理中に、車内の荷物を盗むといった車上狙い事例が発生しています。
こうした事例では、パンクさせた人物やその仲間が親切に修理を手伝うふりをして持ち主の隙をうかがい、車内のバッグ等を持ち去っています。修理や点検をする際には、貴重品は身につけドアを施錠するよう心掛けてください。
その他の犯罪

深夜に日本人観光客が、ミラノ中央駅周辺で集団による暴行を受けて財布等を奪われたり、ドゥオーモ近くの路地裏でナイフで脅かされ、荷物を奪われる事件も過去に発生しています。

ミラノの治安当局は、これらの地域では注意が必要であるとしています。深夜のミラノ中央駅やドゥオーモ周辺の独り歩きは危険ですので、避けるようにしてください。また、偽警官が所持品検査と称して財布等を提示させ、現金や高価な装飾品を盗み取る事件も発生しています。私服の警察官から職務質問を受けた際には、身分証の提示を求めたり、不審の有無にかかわらず、すぐに携帯電話等から緊急の警察直通番号(113番)に連絡し、制服警察官の立ち会いを求める等してください。

ナポリ・シチリア島

バイクや自転車によるひったくりが多いことが特徴的で、ひったくられた際に転倒し負傷するケースもあります。また、自動車で旅行中に窓ガラスを割られて荷物を盗まれたケースや、タイヤをパンクさせられて修理している間に、車内に放置した貴重品を盗まれるケースもあります。さらに、ナイフを使った強盗等の凶悪な事件も散見されます。

フィレンツェ

観光スポットであるヴェッキオ橋やシニョリーア広場、ドゥオーモ周辺でのスリによる被害が多く報告されています。また、アイスクリームやケチャップソース等をかけられ、拭いている間に貴重品を盗まれる事例もあります。

その他の地域

上記以外の地方都市でも、犯罪被害が増加しています。特に、2人乗りオートバイによるひったくりは地方都市において顕著です。なお、ピサ(斜塔周辺)やアッシジ、シエナ等の観光客に人気のある都市で、スリや置き引きによる被害が多く報告されています。

防犯対策

  • 貴重品は、必要なとき以外は携行しないようにする。携行する場合は、洋服のボタンやファスナー等の付いた内ポケット、首から下げるタイプ等の貴重品袋を利用するなど、身につけておく。また、ホテル客室のセーフティーボックスは、高級ホテルであっても用心する。
  • 外出する際は、できる限り複数で行動する。夜間外出や、日中であっても人けのない場所への立ち入りは避ける。特に女性の独り歩きはしないようにする。
  • バッグはできるだけ自分の身体の前で、手を添えるようにして持つ。特にリュック等の背負うタイプのバッグは、人ごみの中では背負わず、必ず前に抱えて持ち歩く。
  • 観光スポット等で親しげに近付いてくる人物には十分注意する。
  • 旅先で知り合った人から勧められた飲食物は口にしない。
  • 混雑した電車やバスの利用は極力避ける。
  • 列車に乗る際は、荷物は目の届く範囲で、できるだけ座席のそばまで持ち込むようにする。
  • 服装の乱れた若者や酩酊状態にある者には近寄らない。
  • ドライブの際は、駐車中も運転中も車内の目に付くところに、一切荷物を置かない。荷物は座席の下かトランクに入れるようにする。
  • 外国旅行中は日本と異なる安全環境の違いに常に自覚を持って行動し、自分の周囲に注意を払う。
  • 流しのタクシーには悪質な運転手もいるので、できるだけ利用しない。タクシーを利用する際は、問題が少ないラジオ・タクシー(電話で呼び出す無線タクシー)を利用するとよい。空港からのタクシーは、インフォメーションで事前に料金を確認する。

不測の事態が発⽣したときには、家族等の依頼を受け⼤使館より安否確認の連絡をする場合がありますので、滞在先等は必ず家族に連絡しておく等、常に所在を明確にしておくようにしてください。
⾮常事態が発⽣したと思われるような場合や、外出中に不測の事態に遭遇した場合は、⾃宅か職場等の安全な場所に戻り、事態が静まるまで待機してください。また、必ず⽇本国⼤使館に連絡してください。

緊急時の連絡先

安全のために、普段から予防対策を心掛けておくことが重要ですが、いざ事が起こったときのことを想定して、その時に被害を最小限にするための対策を講じておくことも大切です。緊急連絡先はメモしておき、家族それぞれが持つような努力が必要です。

警察・消防・救急

  • 警察:TEL 113(国家警察、救急⾞要請も可)、112(軍警察、救急⾞要請も可)
  • 消防署:TEL 115、112
  • 救急⾞:TEL 118、112
ローマの⺠間救急⾞(病院への送迎)の⼿配(有料)
  • CROCE BIANCA ITALIANA:TEL 06-8181011
  • CROCE ROSSA ITALIANA:TEL 06-5510

在外公館

  • 在イタリア日本国大使館(Ambasciata del Giappone in Italia)
    住所:
    Via Quintino Sella 60, 00187 Roma
    電話番号:
    (市外局番 06)-487991
    国外からは(国番号 39)-06-487991
    FAX:
    (市外局番 06)-4873316
    国外からは(国番号 39)-06-4873316
  • 在ミラノ日本国総領事館(Consolato Generale del Giappone a Milano)
    住所:
    Via Privata Cesare Mangili 2/4, 20121 Milano (MI), ITALIA(入口は4番地です)
    電話番号:
    (市外局番 02)-6241141
    国外からは(国番号 39)-02-6241141
    FAX:
    (市外局番 02)-6597201
    国外からは(国番号 39)-02-6597201
  • 出典:
    損保ジャパン・SOMPOリスクマネジメント『海外生活を安全におくるために January2019』
    ジェイアイ傷害火災保険株式会社 『海外での医療事情』

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