渡航のテクニック
海外旅行中に起こりやすいトラブルと事前の準備
長期の休みには海外旅行を楽しみたいという方も多いですが、海外旅行中には想像もしていない突然のトラブルに巻き込まれてしまう事があります。慣れない海外で突然のトラブルに見舞われた時でも慌てずに落ち着いて対処できるように、今回はパターン別にトラブルに巻き込まれた場合の対処法を紹介します。
■もくじ(ページ内リンク)
盗難・紛失に遭った場合
海外旅行中に起きるトラブルの中でも盗難・紛失は発生件数が多いため、しっかりと対処法を確認しておきましょう。
パスポートの盗難・紛失の場合は、まず現地の警察署へ相談します。パスポートを再発行するにしても、帰国のための渡航書を取得するにしても、いずれの場合も警察署が発行する「紛失・盗難届の証明書(ポリスレポート)」が必要となるため、最初に取得しておくとその後の手続きがスムーズです。もし近くにツーリストポリスがある場合は、こちらを利用する事をオススメします。ツーリストポリスは旅行者向けの警察署となっているため、海外旅行中のトラブルの対処には慣れている事が多く安心です。次に現地にある日本大使館(領事館)へ行きましょう。ここでパスポートの再発行や帰国のための渡航書の発行手続きをしてくれます。その際にパスポートの情報がわかると手続きがスムーズなため、旅行前にパスポートのコピーを用意して持っておくと便利です。
貴重品の盗難・紛失の場合は、まず自分が加入している海外旅行保険の事故受付窓口に連絡をしましょう。手続きに必要な書類などを案内してくれます。ただ、基本的にはパスポートの時と同様に現地警察署で「紛失・盗難届の証明書(ポリスレポート)」の取得が必要となります。保険会社の規定で補償できる範囲が定められているため、自分の入っている海外旅行保険がどこまで補償してくれるかは事前に確認をしておく事が必要です。
病気・ケガをした場合
海外旅行中は慣れない土地での体調不良や感染症のリスク、急なトラブルに巻き込まれてケガをするなどの可能性があります。もし、思わぬケガや病気をして病院へ行く必要がある時はどのように対処すれば良いのでしょうか。
病気やケガなどで病院へ行く必要がある場合は、まずは加入している保険会社に連絡をする事をオススメします。通訳付きの病院を紹介してもらえたり、治療費の補償について案内してもらえたりするため、安心して病院で診察を受ける事ができます。海外旅行保険に加入していない場合は日本大使館(領事館)に相談をすれば、日本人がよく利用している病院や日本語が通じる医者などを紹介してもらう事ができます。ただ、大使館(領事館)でアドバイスはしてくれますが、実際に病院とのやり取りは自身で行う必要があるため、あくまで情報提供のみである事を認識しておいてください。
ケガや病気で急な入院が必要になった時は、必ずしも事前に相談や確認ができるケースばかりではありません。意識がない状態で病院に運ばれていて、気が付いたら治療や手術が終わっていたという事も考えられます。その場合は、落ち着いたタイミングで、加入している海外旅行保険の窓口に連絡をして、手続きや補償内容について確認をしましょう。また、交通事故に遭った場合は警察署への連絡も必要です。日本で加入している公的医療保険や民間の医療保険も、海外での治療や入院が補償の対象となる場合があります。治療を受けて落ち着いたら、必要な書類などを確認しましょう。
犯罪被害に遭った場合
海外では日本に比べて治安が悪い場所が多く、犯罪被害に遭う可能性も十分に考えられます。被害に遭ってしまった場合にもパニックにならずに、できるだけ冷静に対応できるよう事前に対処法を確認しましょう。
とはいえ、不慣れな土地でトラブルに見舞われると、予想以上にうろたえてしまうもの。そんな時、海外旅行保険に加入しておくことで、保険会社からの保障を受けることや、24時間日本語対応ができるサポートサービスを受けることができるため、もしもの時の為にも海外旅行保険に加入しておくことをオススメします。
海外旅行保険への加入を検討されている方は海外旅行保険比較サイト「i保険」をご覧ください。
海外は日本とは違うという事をしっかり理解した上で、犯罪に巻き込まれないために注意して行動をする必要があります。基本的な事ではありますが、人通りの多い道を歩く事を意識しましょう。日中でも人通りの少ない裏道に足を踏み入れないようにすることや、深夜や早朝など人通りの少ない時間帯は出歩かないように心掛ける事が必要です。さらに、街で知らない人やタクシーの運転手などに声を掛けられる事も多いと思いますが、むやみやたらに対応せずに警戒する事が大事です。タクシーの運転手も、強盗グループと手を組んで金品を持ち去るケースもあるため、声を掛けられても不用意に乗り込まないようにしましょう。隙を見せると金品を奪われたりする被害に遭う可能性があるため、基本的には知らない人に話しかけられても必要以上にやり取りをする事は避けた方が賢明です。
ただ、いくら注意をしていても完璧に犯罪被害を避けられるわけではありません。万が一、犯罪被害に遭ってしまった場合は、どのような行動をすればよいのでしょうか。
一番大切なのは身の安全の確保です。相手が凶器を持っている可能性は十分考えられるため、無理に抵抗せずに相手を刺激しないよう従いましょう。そして、負傷している場合は治療を優先させる必要がありますが、金品などを盗まれてしまった場合は最寄りの警察署へ行きましょう。「紛失・盗難届の証明書(ポリスレポート)」を取得しておけば、海外旅行保険で現金以外の金品が補償される事があります。万が一、持ち物を全て奪われてしまってどうしていいかわからないような状況になってしまったら、大使館(領事館)に相談してみるのも一つの方法です。
大規模な自然災害などの緊急事態が発生した場合
海外旅行中に大規模な自然災害などの脅威が発生した場合に、どのような行動を取ればよいでしょうか。いざという時に困る事のないよう最低限の準備と心構えが必要です。
海外では、日本では考えられない規模の大きな自然災害が起きる事があります。大規模な台風、洪水、地震、噴火など様々ですが、自然災害が起こった場合は、何よりも身の安全の確保が大切です。ただ、不慣れな海外で土地勘がなかったり、言語が通じずに現場での情報収集に手間取ったりと、最適な判断をする事が難しい状況が予想されます。そのため、できる限り現地に詳しい人と一緒に行動を共にする事を意識しましょう。さらに災害時は犯罪も増えるため、ターゲットとなりやすい旅行者という立場を考えると、できる限り単独行動は避けた方が良いでしょう。現地に詳しい人が近くにいない場合は、宿泊先のホテルで助けを求めると良いです。
身の安全を確保できたら大使館(領事館)と連絡を取り合います。大使館(領事館)は日本人の保護や安全対策が重大な仕事です。そのため、このような緊急事態の際には日本人の安否確認を行ったり、場合によっては被害があった時の必要な支援を行ってくれます。旅行者の安否確認の把握は難しいと言われているため、身の安全が確保できたら大使館(領事館)に安否の連絡を入れるようにしましょう。もちろん日本にいる家族や友人に無事を知らせる事も忘れてはいけません。
海外旅行に行く前に準備する事
海外旅行中のトラブルに備えるためには、渡航前に自分が足を踏み入れる地域の情報をしっかりと確認しておく事が大切です。外務省の「外務省 海外安全ホームページ」で、世界各地の危険情報や地域別の犯罪発生状況、安全対策などが確認できるため、情報収集に役立ちます。
そして、3か月以内の海外滞在もしくは、住所や居所を決めずに3ヶ月以上海外に滞在する場合は外務省の「たびレジ」というサービスに登録をしておきましょう。「たびレジ」は、旅行日程、滞在先、連絡先を登録しておくと、登録先の最新渡航情報や緊急事態が発生した時の注意喚起メールを受け取ることや、いざという時の緊急連絡を受けることができます。
特定の国や都市に3ヶ月以上滞在される場合、「在留届」を提出することで同様のサービスを受けることができます。
また、家族の連絡先を登録する事ができるため、トラブルに巻き込まれて自分で家族へ連絡ができない場合も、家族への連絡がスムーズに取る事ができるため、事前に登録しておくと便利なサービスです。
また、海外旅行保険に加入することも忘れずにしておきましょう。海外旅行保険は海外旅行先で加入することができません。必ず出発前に加入しておくことをオススメします。
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この記事を書いた人
伊藤菜央(株式会社アイ・エフ・クリエイト 保険コンサルタント) 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)