海外旅行保険の選び方

外国人観光客も海外旅行保険に加入できる?

近年、日本国内で多くの外国人観光客を目にする機会が増えていると思います。日本が観光スポットとして人気の理由としては、食事の美味しさや景色の綺麗さ、日本独自の文化などが挙げられます。観光で日本を訪れたことをきっかけに、日本に移住したいと考える方もいらっしゃるでしょう。

ここでは、外国人にとって日本が人気の理由と日本で保険に加入するなどの補償を受けることが可能なのかご紹介いたします。

■もくじ(ページ内リンク)

外国人観光客の現状

外国人観光客が日本に来て困ること

外国人観光客も日本で海外旅行保険に加入できるのか

外国人が3ヶ月を超えて日本に滞在する場合

日本で外国人が仕事をするためには

日本に在留している外国人の悩み

外国人観光客の現状

日本政府観光局(JNTO)の訪日外客統計によりますと、1989年からの30年間で、年間の訪日外国人旅行者数は約11倍に増加しました。日本の観光地は東京や京都だけでなく地方都市にも広がっています。

2019年までのピーク時には年間で約3100万人の外国人観光客が日本を訪れていましたが、2020年以降は新型コロナウイルスの影響で訪日外国人旅行者数が激減しました。2021年は約24万人で前年比で約99%減少しています。
しかし、2023年10月には訪日外国人数が2019年同月を超え、コロナ禍以降回復の兆しを見せています。

観光庁は2030年までに訪日外国人旅行者数を6,000万人に増やす目標を掲げています。外国人旅行客による観光需要の拡大が重要な課題となっています。日本は独自の文化、美しい風景、伝統的な祭り、美味しい食事などで外国人観光客を魅了しており、今後もさらなる成長が期待されています。

外国人観光客が日本に来て困ること

外国人観光客の多くは、日本へ観光に来ると、日本のおもてなしに感銘を受け、また日本を訪れたいと思うようです。近年、世界的に見ても日本は旅行先として人気が高くなっていますが、外国人観光客は日本で困ると思うこともあります。環境庁の調査によると、外国人観光客が日本を訪れて最も困ることは、英語でのコミュニケーションが取れない人が多いということです。

飲食店のメニューも英語表記されている店が限られている点も挙げられています。また、無料公衆無線LANの環境が少ないことも外国人観光客にとって困る要因となります。普段日本で生活している私たちにとっては感じにくいことですが、自分が海外旅行へ行くことを考えると、外国人観光客が日本で困ることも想像しやすいと思います。

外国人観光客も日本で海外旅行保険に加入できるのか

日本に旅行へ来る外国人観光客が日本で海外旅行保険に加入するには、保険会社によっても多少異なりますが、いくつか加入条件があります。

・契約可能な期間は3ヶ月まで(日本に入国後、契約手続きが完了してから自国に到着するまでを保険期間として設定します)

・契約者は日本に在住している方で設定する

上記のような条件や、通常の海外旅行保険と同じように告知義務などもあります。また、パスポートのコピーなどが必要になる場合がありますので、契約を検討されている方は必要書類などをよく確認してください。

外国人向けの旅行保険は、日本に入国した後に書面での契約やインターネット上で契約することもできます。英語や中国語、韓国語などに対応した医療通訳サービスや医療機関手配サービス、キャッシュレス診療サービスなども付帯されており、日本での医療費の不安に加え、言語の違いによるコミュニケーションの不安も解消される補償内容となっています。世界には海外旅行保険の制度自体が充実していない地域があることからも、日本へ訪れた外国人観光客の不安を軽減することができると言えますね。

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外国人が3ヶ月を超えて日本に滞在する場合

外国人が日本へ観光に来たことをきっかけに長期滞在したいと考えたり、日本で仕事がしたいと思い、3ヶ月以上日本に滞在する方もいらっしゃると思います。基本的には、3ヶ月以上日本に滞在する場合、国民健康保険への加入が必要になります。国民健康保険だけではなく、民間の生命保険に関しても各保険会社の加入条件を満たしていれば外国籍であっても加入することが可能です。条件としては、在留カードや特別永住者証明書などを持っていることや、正しく日本語の読み書きができること、日本の銀行口座を所有していることなどがあります。

日本で外国人が仕事をするためには

外国人が日本で仕事をするためには、日本で就労可能な在留資格を持っているなどの条件があります。仕事を探すときには、公共職業安定所では外国人の雇用を支援する外国人雇用サービスセンターなどから就職情報を受けることができます。日本語でのコミュニケーションに不安がある外国人向けに通訳を配置されている所もあります。

外国人が日本で仕事をする際は、労災保険制度も適用になります。労災保険制度とは、働いている最中や通勤中に怪我をした場合などに療養給付金を受け取ることができたり、働くことができない日数に応じて給与の一部が補償される制度です。

その他にも、日本国内に住所をお持ちの方は年金保険に加入する必要もあります。厚生年金保険が適用される会社での就労をした場合には、国民年金と厚生年金が適用となり、それ以外の場合には、国民年金が適用となります。25年以上の受給資格期間を満たすと、老齢時に年金を受け取ることができます。

原則6ヶ月以上日本の年金保険に加入していた場合、老齢年金や障害年金を受け取っていなければ、日本を出国する際に申請をすることで、脱退一時金を受け取ることができます。

日本に在留している外国人の悩み

日本の言語や文化に慣れていない外国人にとって、日本で仕事をし、安定した収入を得ることは難しいことだと思います。日本に在留している外国人の悩みとして多くあるのが、言葉の壁です。日本では、ほとんどの日本人が日本語を主流としたコミュニケーションを取っており、英語を話す機会は少ないと言えます。

そのため、職場ではもちろん、街に出ても日本語のみの表記が多くあり、言語の壁を感じている方も多いようです。また、日本に在留している期間が長くて日本語が流暢であっても、見た目でいつまでも外国人扱いをされてしまうことに疎外感を感じてしまう場合もあるようです。他にも、日本独自の文化に馴染めない方も多くいます。例えば、冠婚葬祭の宗教様式が様々であったり、独特なしきたりなどにも戸惑うという声もあります。職場では、部下と上司の上下関係や飲み会へ参加するのが当たり前な風潮など外国人には理解しがたい場面も多々あるようです。

また、言葉の問題や保証人を立てられないなどの理由により、部屋を借りることが難しい場合があり、日本で受ける差別的な扱いをされていると感じる方もいらっしゃるようです。

日本人として日本にいる場合には感じることのない不便さも、自分が外国に行くことを想像すれば分かりやすいように、日本に在留している外国人が抱えている悩みも多くあるため、相手の立場で考えることが大切ですね。

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この記事を書いた人

伊藤菜央(株式会社アイ・エフ・クリエイト 保険コンサルタント) 2級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)